キャラクターの絵を描くことが好きな人ならば一度はオリキャラを描いたことがあるはずだし、オリキャラを専門的に描くという人も多い。
上手く書けたオリキャラは版権もののキャラクターより愛着が持てて、オリキャラを描くことにはまるという人は多い。自分自身オリキャラを描くことが好きだったり人のオリキャラを見ることが好きだったりする。
何かを見て描くというよりも自分で考えて描くのでそこには創造性やイマジネーションが求められる。それゆえに完成したキャラクターは唯一無二の自分のキャラでありさまざまな人が自分でキャラクターを作り上げる。
更に言えば今有名なキャラクターも元々は誰かが考え出したオリキャラ。
自分が考えたキャラクターが人気になり商品化すればそこには当然お金も発生する。公式キャラクターをいくら書いても基本的にはお金も入ってこないがオリジナルキャラクターには夢がある。
ではそのオリキャラの描き方とはどういう物なのだろうか。
人によって様々な手段や方法がありそれぞれが個人的に得意とするやり方があるが基本的な方法として有効な描き方やそのステップについて考えてみたい。
1:どのような世界に登場するのか
基本も基本、キャラクターとはどこかの世界に住む存在である。
そのキャラクターが存在する世界観、作品を考えることが最初のステップであるし、この大きな土台を決めたほうが次々とキャラクターを作っていける。自分で漫画や小説を考えてその中の主人公やヒロインという設定でキャラクターデザインしていく手段もあるし、公式作品の中のオリジナルキャラクターという考え方も可能だ。
たとえば自分の好きなゲームやアニメがあって、そのシリーズの続編や外伝という設定で自分のオリキャラを考えることもできる。すでにある公式作品の中に自分のオリキャラを登場させるという同人作品的なやり方だ。
次にその世界観から完全に作り出すというやり方。
この場合キャラクターが一切存在しないので1人を作るだけではなく様々なキャラクターを何人も設定する必要がある。それゆえにこのやりかたは本格的に作り上げて何人もオリキャラを考えたい人向きだ。
公式作品の続編というオリジナル設定ならばそれほど多くのキャラクターを作らなくて済むし公式作品のキャラクターとの絡みを描くこともできる。
逆に作品自体を完全に作ってしまえば全てにおいて自由自在、何人もオリキャラを描きまくれるというメリットもある。
2:キャラクターデザイン
世界観や登場する作品が決まれば次はいよいよキャラクターデザインにはいる。世界観を決めていればある程度キャラクターはこの時点ですでにイメージできている。
主人公が必要、ヒロインが必要、悪役が必要、ライバルが必要。そういう基本的な設定がある程度決まっているのでデザインをイメージしやすくなる。
そしてこのキャラクターデザイン、オリキャラは顔だけを描けばいいという世界ではない。髪型を考える必要もあるし、衣装のデザインを考える必要もある。髪型はアニメキャラクターの場合色も自由自在だし、衣装は服だけでなく靴やアクセサリーなど様々に存在する。
つまりキャラクターデザインとは同時にヘアーデザインやファッションデザインもこなさなければならないという。どこかでみたようなありきたりなものにしたところでそれは多分誰もオリキャラだと認めないし髪型や衣装にオリジナリティを出すことが個性あるオリキャラの描き方になる。
この場合完全に自分独自で服や髪形を考えられる人がいるならばその人は天才だろう。現実的には髪型の場合ヘアカタログや美容院のサイトなどのサンプルを参考にするのは一つの案になる。あまりにもアニメっぽい髪型にしすぎるとオタクっぽくなりすぎるので実際に存在するスタイリッシュな髪形を参考にすることは自分もよくやっていた。
有名なアーティストの髪型を参考にしたり、最近のトレンドの髪型を特集した本などを見ると結構参考になったりする。
また衣装に関しても同じでファッション雑誌はもちろん参考になるしアーティスト関連の衣装も参考になる。たとえばアイドルの衣装は男女ともに参考になるし、海外アーティストのライブ衣装なども参考になる。
オリキャラといえばアニメや漫画の世界だと思われがちだが、実際はリアルな世界のものも参考になる。アニメや漫画ばかり参考にしていると「どこかで見た」「典型的なアニメキャラ」と言われるようなデザインになってしまう。
またどのような参考であれそれだけを模倣するスタイルになっても面白みがない。それらはあくまで参考であって、そこから自分流にどれだけアレンジしていけるか。服にしろ髪型にしろその部分のアレンジの加減がいいオリキャラを描けるかどうかの分かれ目になる。
3:キャラクター設定
キャラデザが完成したら次はそのキャラクターの内面設定。
デザインが決まったらオリキャラ完成というわけではない。そのキャラクターが何歳なのか、出自はどこなのか、特技はどうなのか、その作品においてどのような活躍をするのか、セリフはあるのか。
そういった様々な内面要素があって初めてオリキャラは完成する。
このキャラクター設定もまたキャラデザに次いで重要な部分だ。人がそのキャラクターに興味を持つきっかけはもちろんデザインや登場作品が入口になるが、その後さらにそのキャラに興味を持ってもらおうと思ったら面白い設定やどんな言動なのか気になるような設定にする必要がある。
「おっ、なんだこのキャラクターは」と思ってもらうには面白い特徴的なキャラ付が必要になってくる。たとえば芸能人でも何もない面が面白くない芸能人はいくら見た目が良くても人気が出ないが、キャラクターが面白ければそこまで顔がよくなくても人気が出る。それと同じで二次元のオリキャラであっても内面は非常に重要。
この内面部分をどういう設定にして魅力的にするかがオリキャラの大事な要素になる。
4:そのキャラクターの絵を複数描く
オリキャラのデザインを一枚書いて終わりだと誰も興味を持ってくれない。
何枚か書いてその世界やそのキャラクターがどういった存在なのかイメージが伝わってくることが大事だ。更に何枚も描くことによってオリキャラのデザインも当初からより改善されていく。何枚も書いているとここはこうしたほうがいいという改善点が自分の中で見つかって更にそのオリキャラが魅力的になる。
できればその作品の中で活躍しているシーンなどの絵が理想だ。
そのためには動きのある絵を描けなければならない。動きのある絵やその作品内のシーンを描けばその作品に興味を持ってもらえるきっかけになる。
何枚か書いてキャラデザを洗練させたり、その世界がわかるような絵を描くことは非常に重要だ。
やはりわかりやすいイラストがあるとその作品を見て見たくなるものだ。
5:オリキャラをどう広めていくか
オリキャラをどの範囲内で描くかというのは一つの重要な視点になる。
友達間だけのオリキャラとして身内で楽しむ場合はこの方法は必要ない。しかしある程度世の中に自分のキャラクターを広めて行って、そのキャラのファンができてほしいというならば広め方は非常に重要だ。
シンプルなことで言えばやはり画力。
手作り感あるオリキャラの絵のファンは一定多数存在するし、自分もその一人だ。しかしながら世間の大部分はやはり画力で判断する。ある程度のクオリティがあって上手く見えたほうが人は興味を持ってくれる。ネットでの公開を考えるのであればやはりアナログ絵よりもデジタル絵のほうが普及しやすい。アナログ絵はよほどうまくないかぎりデジタル絵に比べて不利な側面がある。よほどアナログ絵で特殊な技量がない限りはデジタル絵の方がやりやすい。
デジタル絵最大のメリットはやはり色付けがしやすいという事。アナログ絵だとどうしても色を塗るのが大変で白黒絵になってしまうことが多い。
それではキャラクターの魅力は伝わらないし、キャラクターデザインという物を考えたときに色の設定も非常に重要。色の使い方もキャラデザの重要な部分なので色を簡単に変えられるデジタル絵はかけたほうが良いに越したことはない。
そしてその完成したオリキャラを広めていく手段はいくつかに分かれる。
イラストサイトだけでやっていく場合もあるが、最近ではイラストサイトは非常に競争が厳しくよほどうまい人じゃなければなかなか見てもらえない上に、更にオリジナル物となるとものすごく上手くなければ人気は出ない。
基本的に公式の版権絵のほうが見てもらいやすいし需要がある。それをオリジナル物で覆そうと思ったら多大な努力や高い技量が必要になる。
そのため見てもらう場所を他に移すという事も重要だ。
例えばツイッターなどのSNSを使う手段はイラストを描く人の間ではよく使われる手法だ。人がいる場所で書くという事は非常に大事。見ている人がいなければモチベーションもなくなるし、見ている人がいれば次も書こうと思える。
それゆえにSNSを駆使することも大事だ。
しかしそればかりに気を取られていても意味がない。
本当に大事なことは地道に画力を上げていくことであり、そっちの方向で努力しすぎると実力を上げることをしなくなってしまったりそもそもイラストを描かなくなってしまう。ピクシブなどの1つのイラストサイトだけにじっくり腰を据えてひたすら絵を描いていくことが本当は一番の近道。
6:他者と交流する
オリキャラの魅力というのはやはりそのキャラクターを誰かに書いてもらったとき。その時初めて自分のキャラクターが誰かから認識されたような気分になる。オリキャラの描き合い、オリキャラを描いている人同士の交流は非常に重要でいわばオリキャラというのは人脈づくり的な側面もある。
もっと言えばコミュ力、コミュニケーション能力。
どれだけ上手いオリキャラでも、誰も書いていなければそのキャラは広まっていかないしそんな上手くないキャラクターでも他の人とどんどん交流してそのキャラクターが広まって言ってるケースは多い。
最近自分はピクシブを利用していないし絵そのものも書いていないけど正直コミュニケーション能力は非常に重要というか、オリキャラはコミュ力ゲーだな思った部分がある。
なかなかただ書いてるだけじゃ「そのオリキャラ描かせてください」と絡んできてくれる人はほとんどいないのが現状。そういう人は物凄く上手くてファンがたくさんいる一部の人だけで他のユーザーとの交流がなければ普通の実力では本当に何もないのがこの世界。
ただこれはすごくいい部分もあって、一度コミュニティが形成されて皆でオリキャラを描いてワチャワチャすればすごく楽しいし凄くやる気にもなる。それが楽しいからまた絵を描こうと思えるし書けば更に実力が上がっていく。
いいオリキャラを描こうと思ったらてっとり早くオリキャラ描きの仲間を作ることが一番。最近自分はそういう交流を断っているけどそうやって描いてた時期はすごく楽しかった。やっぱり一人で描いてると虚しい部分もある。
コミュ力つけてワイワイやるのが一番の近道かもしれないし、そうやってオリキャラを描く文化が流行って盛り上がっていくこと自体は凄く良い事なんじゃないかなと思う。ネットが何でも版権絵や公式絵ばかりになるとつまらないし、オリジナル物が世界に広く見せられることがインターネットの魅力でもある。そうやってオリキャラを描くことや、描きあう事、創作文化が流行ること、個人のオリジナル物の創作がネットで人気になることはすごくいいことだと思うし自分自身そういう事がもっと流行っていってほしいなとも思ってる。
そういう意味でこのオリキャラの描き方が少しでも参考になって初めて見たいと思う人が増えてくれればそれほど幸せなことはないなと自分は思う。
是非個人創作文化がもっと発展していってほしいなと願わずにはいられない。