elken’s blog

ジャニーズとサッカーを中心にあらゆることを評論するブログ

戦争物じゃないガンダムに意味はあるのか?

よくガンダムの戦争を舞台にした物語は現代の子供たちや若者に合わないと言われている。ガンダムが放送された当初はその設定は斬新で支持を集めたが今の時代には戦争物が流行らないという論調だ。

元々ガンダムが斬新だったことはその世界ではそれが本当に戦争をやっているという世界観を作り上げたことである。あくまで国と国、正規軍と正規軍、組織と組織、人間と人間の戦いの構図だった。毎回スーパーロボットが出てくるわけではなくザクという量産機が登場して来たりたまに最新鋭機体としてグフが出てくる。

そういったあくまでその世界では戦争をやっているという世界観を成り立たせてきたことがガンダムヒットの要因であり今日まで支持を得ている。

 

しかし現代になってその情勢は変わってきた。

端的に言って今のアニメファンや子供ははアニメでわざわざ戦争を見たくないのである。陰気な戦争、小難しい政治の話、そういうのはもはや面倒なものでしかないのだ。

基本的には日常アニメやアイドルアニメが人気であり、戦いを舞台にしたアニメがあるとしてもそれは戦争ではなく異世界だ。

ライトノベル的な爽快感のある戦いを求めていて、ゲームをやる感覚で敵を倒し爽快感を得ることがアニメ視聴の目的になっている。ようするにオタクの質が変わったのだ。

 

そんな中でガンダムはこれから戦争物をやっていく必要があるのだろうか?

ガンダム=戦争ということをやってももはや今の時代には受けないという論調は多い。

しかし同時に戦争で亡くなったらもはやガンダムである必要性がないという意見もある。そして自分はそれに賛成だ。あくまで戦争が見たいからガンダムをやっているわけで、部活物ラブコメをやったビルドファイターズトライは散々な結果になった。

ガンダムは戦争物でなければならない」という教義にとらわれて柔軟性を失って衰退してオワコンになっていくのであれば大胆な改革をした方が良いのも事実だが、同時に哲学を失ってしまえばそれはガンダムではなくなる。

世界的にカウンターサッカーが流行ってるからポゼッションサッカーを捨てる、美しいサッカーを捨てるというようなことをバルセロナがやったらカタルーニャ、そして世界中のバルセロニスタには憤慨するだろう。今のバルセロナは少しカウンター要素を取り入れているがそれでも美しいサッカーをするという根本的な哲学は変わらない。

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貫くところは貫く必要がある。結果が出るのに時間がかかったとしても哲学を持つ必要がある。さらにガンダムが衰退してきているのは戦争物だからという認定自体がそもそもナンセンスなのではないか。戦争物であってもヒットさせる方法はいくらでもある。

現代的な要素を取り入れつつ現代化させ、なおかつ伝統的な要素もしっかりとやりきることが一番の方法ではないのだろうか。

そもそも今の時代に戦争が受けないというのは誤りである。

実際ミリタリーファンはかなり増えてきている。そういったミリタリーファンを取り入れるようなコアな作品にするのも一つの解決策だ。

一般的には戦争離れをしているが、逆にミリオタ層そのものは昔より増えている。つまり昔は平均的に戦争に興味があったが今は物凄く戦争に興味がある層と全然戦争に興味がない層の二極化が進んでいる。

こういった時代背景を的確に読んで工夫されたアプローチを取ればガンダムの復権は可能だ。とにかくマーケティングや魅せ方にひと工夫が求められる。内容を根本的に変えれば何かが解決するかと言えばそうではない。バルセロナが勝てなくなってきたから美しいサッカーを捨てて完全にアンチフットボールをやりますじゃダメでやってきたことは貫いて改善しつつ新しい要素もエッセンスとして加えていくということが大事になる。

根本的な部分を変える必要はないが、その見せ方や追加要素の部分で工夫する必要がこれからのガンダムには求められる。戦争物でなくなったらもはやガンダムである意味がないし、部活ものばかりやられても困るし、多人数アイドルものをやったマクロスデルタはこけている。ガンダムがそんなことをやったらデルタの二の舞であり、既にBFTという失敗がある。

 

そもそもマクロスフロンティアにしてもコードギアスにしてもガンダム00にしてもそんなに昔の事ではない。10年前と言えば10年前だが画風自体は今でも通じるし若いファンも多い。むちゃくちゃ時代遅れというわけではないし、戦争をやりつつそのほかの要素を充実させれば十分にファンはつく。

コードギアスはかなりヤバいことをしていたが声優目的やキャラ目的で根強い女性ファンは多いし、ガンダム00ティエリアダイエットのようなことをしていた女性ファンがいたし、そもそもマクロスフロンティアにいたっては女性ファンが主力だった。

 

しかも実はガンダム00ガンダムSEEDを今も見る女性ファンは結構いたりする。

それはなぜかと言ったら声優目的。好きな声優の過去出演作品として00やSEEDを見る女性ファンは結構多い。

おそ松のヒットをみてもむしろ露骨な女性向けアニメって女性ファンはあまり好きにならない。これは逆のことも言えて男性も露骨な萌えアニメよりオタクをターゲットにしたアニメよりも、普通のアニメの女性キャラの方が好きだったりする。

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つまり戦争要素というものは決して今のアニメファンにとって邪魔な要素ではない。ガンダムを何で見ないかと言ったらそれは戦争をしていて陰気だからというわけではなく、今のガンダムにそれ以外の魅力がないからというのが最大の本質。

それが以外の魅力がしっかりあれば戦争物でも見るわけであり、現在見られてないのはそれ以外の魅力がないことが原因。

逆に陰気な世界観の方がキャラクターが魅力的に見えるというのも考えられる。ガンダムSEEDのキャラクターが魅力的にめいたのは大規模な戦争をやっている危険な世界だからという雰囲気があったからよかったわけで、例えばキラ・ヤマトアスラン・ザラが普通に日常アニメのキャラクターとして出てきたら何の人気も出なかったに違いない。戦争はマイナス要素どころかむしろキャラクターの魅力を引き立たせる舞台背景にもなる。

戦争要素がダメな要素と考えるのは短絡的な発想であり、本当に改善しなければならない問題は別にある。そのことをガンダムファンは議論していかなければならないのではないだろうか。

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