先日のユベントス対ACミラン、土壇場のPKを決めてユベントスが勝ち越した時にこの騒動は起きた。ユベントスの至宝パウロ・ディバラはこの判定に激怒したACミランサポーターを批判。
「ミラニスタは6年ぐらい不平不満を言っているね。そんなものに僕らは慣れているし、文句を言うぐらいならもっとやるべきことがあるんじゃないか?」
正直この言葉に自分はACミランのファンとしてうなずく他なかった。もうこのクラブは一体何をやっているんだ、と。同じことを繰り返している。アーセナルやユナイテッドを馬鹿にできないどころかその2大ネタクラブをはるかに下回る。
もはやネタにもされない、あまりにも悲惨過ぎて。バルセロニスタ気取りの時はノリノリの自分も、ミラニスタ気取りの立場に回ると元気がなくなるし彼の言葉に対して何も反論できることが無いよ。
そしてそれは同じくセリエAでプレーする他クラブの選手の目にも明らか。
ディバラは気づいてた、このクラブが真の意味で終わっていることに。
2012年からイタリアのパレルモでプレーし始めたディバラにとってまさにセリエAで過ごした期間のほとんどは落ちぶれたACミランの姿を見る期間でもあった。2006-07シーズンにUCLで優勝した姿をアルゼンチンで見ていた少年がセリエAに来た時はもはやその面影はなかった。
まずこのクラブ最大の問題点はそのクラブの体質そのものにある。サッカークラブとしての構造、そしてそのサポーターの質、そのすべてが現代化することに失敗している。全盛期セリエAの構造そのまんま引き継いでいて、今の時代ではそれが遅れたものになっている。対極的にユベントスは現代化に成功していてセリエAで唯一ヨーロッパの舞台で通用するチームになっている。
やはりカルチョスキャンダルでのセリエB降格をきっかけに様々な改革を行ったのが大きい。中規模スタジアムを自前で作りカルチョビジネスを現代化させることに成功した。ドイツ代表やユベントスのようにサッカーの世界では大きな挫折をきっかけに改革を行いそれが10年後に芽が出るという事がある
しかしACミランがやったことと言えば不満を言い続けることだ。ミラニスタは批判すれば何かが変わると思っているようなサポーターばかりで本田圭佑もそこに苦言を呈している。当時は本田圭佑のACミランへの提言は叩かれたが、ディバラも同じようなことを思っていたとなると本田の言っていたことには一理があった。
もちろん本田圭佑はACミランの選手なのだから自分の所属するクラブに対する意見と、外部の選手からの意見は同様には語れない。
しかしミラニスタも同様に選手に対して批判しか行わない。このクラブは年中批判を行っている。結局セリエAでも近年の定位置にあたる7位あたりに戻り同じことが繰り返された。
セードルフもダメ、インザーギもダメ、ミハイロビッチもダメ、モンテッラもダメ。監督をとっかえひっかえし哲学がない。
本田圭佑が次の移籍クラブに求める「プロジェクトが存在すること」というのはそれがまるでなかったACミランの惨状を知っているからだろう。サッカークラブには哲学や指針がなければならない。それが存在せず、更にサポーターはとにかく批判気質。まるで先行きが見えないのがACミランが抱える問題だ。
華やかなセリエA、華やかなACミラン、再び表舞台に舞い戻ることがあるのだろうか。
更に例の中国資本による買収計画、それもなんと頓挫しかけているらしい。もはやチャイナマネーに希望を見出すしかなかった状況なのにそれすらも延期。そしてディバラ君には馬鹿にされる。定位置に戻りEL(ヨーロッパリーグ)にすら出場できない。
ユベンティーノ「ミラン?あんな中堅クラブのことを語る必要がどこにある?こっちはチャンピオンズリーグで忙しいんだ」
このクラブ、相変わらずまだ先が見えてこない。本田圭佑は忍耐が必要だと言った。ミラニスタに最も足りない物だ。10年、20年の単位でこの改革は待ち続けなければならないだろう、かつての栄光の日々に戻るにはその栄光を積み重ねるまでにかかった日数と同じかそれ以上の時間が必要だ。