elken’s blog

ジャニーズとサッカーを中心にあらゆることを評論するブログ

最近のグアルディオラがマジで無能だという風潮

グアルディオラ、理想家であり理論家であり哲学者。

バルセロナのBチームを指揮した後、トップチームの監督に就任し大胆な方針によりバルセロナを復活させた名将だ。ロナウジーニョ、デコ、エトーなどそれまでの主力を移籍させイニエスタ、シャビ、ブスケツカンテラ出身選手を中心としたチーム作りに方針転換。

そして極端なポゼッションサッカーを志向し火星のチームにも勝てるとまで言われた伝説的チームを作り上げる。メッシ、シャビ、イニエスタの全盛期と重なったこのチームはチャンピオンズリーグも制覇し、サッカーの歴史上もっとも美しく、そして最も強いチームだと絶賛された。

 

またバイエルン・ミュンヘン時代もその革新的サッカーは旋風を巻き起こし、圧倒的な破壊力を持つ強力なチームを作り上げた。ビッグイヤーのタイトルには恵まれなかったがその最先端理論はやはりサッカー界で賞賛された。

 

そして今マンチェスター・シティの監督として辣腕を振るっている状況に至る。

しかしこのマンチェスター・シティでの指揮がここ最近になってとある疑惑を再燃させている。

「もしかしてグアルディオラって有能な選手に囲まれてただけの無能なんじゃね?」

バルセロナ時代も結局はメッシ、イニエスタ、シャビが全盛期だっただけでありバイエルンでも誰でも制覇できるバイエルンリーグで無双していただけという風潮だ。

 

実際今のプレミアリーグでもコンテ率いるチェルシーの大きく引き離されており一時は勝利から見放された時期が続いてEL行きまでささやかれていた。更にチャンピオンズリーグでもまさかのASモナコに敗戦し姿を消すこととなった。

これでは無能説が浮上しても仕方がない。まだ1シーズン目なのでここで判断するのは早計だが「まだ1シーズン目、2シーズン目」と言っているうちに結局UCLで優勝できず退任したバイエルン時代の再現がプレミアリーグで起きてしまう可能性はある。UCLどことろかプレミアリーグですら優勝できずに任期満了という結果は容易く想定できる。

まさか本当にただの有能選手に囲まれているときしか結果を出せない無能なのか?

グアルディオラの信奉者としては信じたくないが「美しいサッカーでなおかつ最強を極める」という幻想はもしかしたら崩れるかもしれない。美しさと強さを一挙両得しクライフのサッカーをより現代化させた名将という評価はこのプレミアリーグでの挑戦をきっかけに崩れ去るかもしれない。

「ペップはあまりにも高度なことをやろうとしすぎている。下手にはできないだけ」という擁護もあるがでは歴史上最高の選手、すなわちリオネル・メッシにしかできないサッカー理論などもはやサッカー理論として破綻している。

そもそもその擁護論を思いついたのは自分である。

ペップがあまりにも理想家過ぎてとてつもなく高度なことを考えていることは間違いない、しかしその水準にある選手がほんの一部に過ぎないのも現実。「最高のシェフには最高の素材を用意しなければならない」というタイプのこだわりの強い監督がグアルディオラだ。あるものの中で最大限の結果を出すというよりも、自分のやりたいことやこだわりを完全に実現させたがるタイプ、夢や理想、そして美学の実現を求めるタイプの監督なのがペップ・グアルディオラであり現実にその幻の素材は足りない。

カンテラで教育を受けた歴史上最高の天才たちが奇跡的にそろったあまりにも甘美な期間がまさにペップバルサ黄金期だった。

リオネル・メッシというサッカー史上最高の神、アンドレス・イニエスタという宇宙人、シャビ・エルナンデスというペップの理論を完全に把握できる数学者

彼らとともに作り上げるサッカーはまさにスペクタクルであり見る者を魅了する美しいサッカーだった。

 

しかしバイエルン・ミュンヘンにメッシはいなかった。他のポジションの選手ならばワールドクラスの選手がそろっていたり、アリエン・ロッベンは「選手としてもう一段階成長できた」と語るほどグアルディオラの手腕を賞賛しているが最後のピースとしてのメッシは欠けていた。その結果強豪相手との試合でそのブロックや密集陣形を崩せずに敗退に追い込まれたというのがバイエルン時代の毎シーズンの光景だった。

結局最後のところで歴史上最高のドリブラーメッシのスキルがなければ密集を打開できなかった。中盤でのポゼッションは間違いなく最高峰だったが本当に危険な強固に固められた場所を崩すほどのシステムではなかった。

ペップの狂気 妥協なき理想主義が生むフットボールの究極形

 

そして当然ながらマンチェスターシティにもメッシはいない。そもそも今後メッシのような選手を指揮する機会はもうないだろう。本人はありえないと断言しているが仮にバルセロナに戻ったとしても全盛期のメッシではない。そして世界中どこにいってもメッシはいない。

幻の食材はもう二度と手に入らないことにこのシェフは気づくことができるだろうか。おそらくはクリスティアーノ・ロナウドですらグアルディオラの美学には反する選手であるだろうし、もしかしたら使いこなせない可能性もある。ロナウドの長所を最大限に引き出すにはペップの美学や哲学を捨てなければならない。

グアルディオラのサッカーは選手を選ぶサッカーでもある。

f:id:elken:20170610164516p:plain

仮にこのマンチェスターシティでの停滞にブレイクスルーをもたらす選手がいるとするならばそれは来季の補強にかかっているだろう。仰天プランセルヒオ・ブスケツを呼び寄せる、もしくはシャビ・エルナンデスをアシスタントコーチとして招聘するなども実現すれば面白い。カンテラのエッセンスをより効率よくシティにもたらせる。

ただ現実味があるのはスターリング、ジェズズ、サネあたりの前線のポジションに「やっぱもっとすげぇ選手ほしい」と言って超ワールドクラスの選手を獲得する可能性。有力な若手選手であることは間違いないが、これまでのクラブと比べると格落ち感は否めない。ジェズズはシティの未来なのでその代りにクンさんが放出される可能性は高い。

ところでノリートは一体どこに消えてしまったというのか。個人的にスペイン出身のノリートはかなり期待していたしリーガエスパニョーラ時代も凄かったからグアルディオラに重用されると予想していた。しかしまるで話を聞かず放出候補にまでされていると聞く。バルセロナレアル・マドリードにゴラッソを決める選手がなぜ軽んじられているか理解できないし悲しい事態だ。

更にサバレタ、サニャ、クリシーなども放出候補になっているらしく抜本的改革もあり得る事態になっている。この夏もっとも移籍市場をかき乱すのはこのマンチェスターのクラブになるかもしれない。

グアルディオラのポジショナルプレー特別講座

 

そして願うのであれば、グアルディオラにはベンゲルになってほしくないという事。15年近く前の過去の栄光にしがみつきそれから一切タイトルに恵まれず居座り続けたベンゲル化してしまう可能性も否定できない。

もしかしたら2010-2011シーズンのバルセロナでのチャンピオンズリーグ制覇が最後の栄光になるのではないか、そういう危惧がある。リーグタイトルもシティでは恵まれないのではないか。そもそもコンテが有能すぎた。本来ならばペップがその地位にいるはずだったがペップファンとしては悔しい結果になっている。とにかく某ベンゲルさんになってほしくはない。ボス(笑)のようにペップ(笑)となってしまうのか。

ベンゲルも美しいサッカーだのスペクタクルなサッカーだの言いながら結局タイトルに恵まれずあまりにも長い日々を過ごしてしまった。

気付けば10年前のあのバルセロナでのCL優勝が最後という事になりかねない。それどころかリーグ制覇すら危ういのが現状だ。このまま本当に無能監督コースに突入してしまうのか。ベンゲルも当時は最高の名将のように扱われていたが今の扱いは散々でありネタ監督だ。

 

スペインやドイツでは1つの目標に集中できた。国内リーグではすべて本気を出さなくてよいしライバル争いもそれほど厳しくない。

しかしプレミアリーグではライバル競争は熾烈で下位クラブも本気で来る。二兎追うということがこのリーグでは強いられる。二兎追う事に慣れていないグアルディオラはこのクラブで非常に苦戦するだろう。

その苦戦の先に栄光はあるのか、それとも無能という汚名があるのか。どうなるか様子を見てみよう。