読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

elken’s blog

ジャニーズとサッカーを中心にあらゆることを評論するブログ

なぜ中央アジア出身者がロシアで地下鉄テロを行ったのか

今世界を騒がせている例のロシア地下鉄テロの犯人とその動機が突き止められたようだ。

意外と早く判明しそのサンクトペテルブルクの一件はやはりテロだったと確定した。

犯人の出身地は中央アジアキルギス共和国だという事がロシア当局の操作によって判明したとの報道が出ている。

 

自分はこの事件についてニュースが入ってきた際いくつか予測を立てていたが全て外れていた。なるほど中央アジアと完全に予想外の展開になった。ロシアの情勢も思う以上に複雑化してきているしイスラム過激派の影響がこれまででは考えられなかった地域にも浸透している。

アフリカ、アラブ諸国、欧米に加えてパキスタンなどの南アジア地域、そして今回はキルギスなどの中央アジア地域にまで勢力が迫っている。

 

今回自爆テロを行ったとみられるアクバルジョン・ジャリロフ(22)は中央アジアキルギス出身者で6年前にロシア国籍を取得してロシアで出稼ぎ労働者のような形で暮らしており、キルギスに里帰りしたときに勧誘され人が変わってしまったようだ。

更に同じく3人の中央アジア出身者もこの事件に関連しロシア当局に拘束されている。

16歳ぐらいのときに家族を支えるために旧ソ連の構成国キルギスからやってきて国籍までとっておそらく仕送り生活をしていたと思われる。キルギスなどの旧ソ連構成国はロシア語が通じるため近隣の発展した国に行こうと思えばロシアがメジャーな出稼ぎ先になる。

その青年が今回サンクトペテルブルクの地下鉄で自爆テロを敢行し、また他の駅でも不発に終わった爆発物が発見されているという。

更にその青年に関わっていた3人の同じ中央アジア出身者も拘束され、中央アジア人のコミュニティでこういったイスラム過激派の思想が流布している現実が浮き彫りになった。

 

ロシアに中央アジア出身者が多く労働氏に来ているという話は聞いていたがまさかそこまでイスラム過激派の思想が布教されているという事までは思いもしなかった。個人的にも中央アジアは好きな地域でありキルギスも一度テレビで見ていきたいなと思っていただけあって残念なニュースでもある。

欧州社会の移民2世、3世が過激派思想に染まるというケースではなく今回の場合いわば1世に近い出稼ぎ労働者がこのような過激派思想に染まったという点では欧州と若干の差異があるが、これらの子孫が今後もロシアに定着した場合ロシアも西欧諸国と同じような移民問題を抱える可能性も出てくる。

西洋の移民社会と今回の出稼ぎ労働者コミュニティではまた違う問題だが出稼ぎ労働者が将来移民になって定着する可能性はある。

実際労働者不足で呼び寄せた移民の子孫が今先進国には多くいる。つまり西欧諸国が経験した問題を今ロシアは後追いしているし、20年後には今の西欧社会のようになっているかもしれない。ロシアの歴史を見ても10年、20年遅れて西洋化していくことが多い。ソ連が崩壊したことでなおさら西洋化が進んでいるのではないか。

 

そもそも旧ソ連時代は宗教を制限していたし、中央アジア諸国もそのソ連の一部で同じ社会主義の同胞として扱われていた。

こういった問題はソビエトが存在していた時期にはなかったし、人種差別のようなことも今よりは深刻ではなかった。ソ連マルクス主義の国であり宗教を否定していたし、人種というくくりによる国家ということも否定していた。

それがソ連が崩壊したことでロシアはロシア人の国家という風に明確になり、ロシアへの出稼ぎ労働者は中央アジアからやってくる貧しい労働者」という偏見や差別にもあっている。人種差別問題に関しては間違いなくロシアはソ連崩壊によって後退したと言えるし、中央アジアでも宗教という意味では過去に回帰している。

ソビエト社会主義共和国連邦という共同体には様々な問題点があり結局は崩壊したが人種問題宗教問題に関しては先進的な要素があったのではないかと現代の国際情勢を見ていると再評価せずにはいられない部分もある。

最近ロシアでもソ連自体の方が幸せだったのではないかという懐古感情が沸き始めているらしいしプーチンのロシアを再び大国に使用という政策はソ連時代回帰のようにも見える。

また中央アジアの国々としても一国で自立していくよりも世界の超大国の一員だった時代の方が強国でいられたという思いもあるだろう。

 

しかし現実は中央アジアで成功している国は資源国だけでありその恩恵にあずかれない国はロシアに出稼ぎに行くしか先が見えない。 

そんな中央アジア出身者が日々の過酷な労働生活と安アパートですし詰めの集団生活をしてる。

先行きが見えない人々が集まる安アパートはたまり場になりやすい。そういう場所はまさにイスラム過激派思想の温床になる。実際このテロにも自爆テロを敢行した1人意外にも3人が拘束されており次なるテロも行う計画だったようである。

 

彼らは自爆テロをすれば美女に囲まれた天国に行けると信じてる。日々の先行きが見えない生活の中であの世に行ったほうがマシという考え方になるし、教えに従い神のために自分を捧げるという事に誇りを見出す物もいる。

移民や出稼ぎで自分が社会への疎外感を感じ、似たような仲間が集まる。そんな希望が見えない中で神のために聖戦をするという充足感や、天国に行った後は美女に囲まれるという教えに活路を見出してしまうコミュニティが今欧米を中心に先進国で広まりつつある。

神に命を捧げることを美化するというのは過激派の手口であり、聖戦を意味するジハードにはそのような教えが存在する。過激派はまさにこういう貧しい移民に声をかけて勧誘を行う。

 

若いときは誰もが自分が何かの役割を果たしているという充実感を求める。

自分が聖戦の英雄になり天国ではそれが絶世の美女に認められ極楽で暮らせるというのはまさにそう言った充実感に近く社会で上手く行かない若者に強烈にうったえかける魅力がある。

将来に何の希望も見いだせない人間がそういう教えに希望を見出してしまうのは、もしかしたらこの過酷な現実社会においてありふれたことなのかもしれない。

現実を勝ち抜いていくことは難しく簡単には何も得られない、そこに虚しさを感じる、それは日本でも良くあることだ。実際にそういう事件も日本では起きており最後の理由を宗教にするかどうかの違いでもあるように思う。

今回の犯人も6年間ロシアで生活し恐らく疎外感を味わってきて、同じ中央アジア出身者とのコミュニティに居場所を求めていただろう。

特にロシアの労働環境や人種差別は厳しくなおさらそういったロシア社会への反発もあったのかもしれない。

2018年ロシアワールドカップのスタジアム建設で北朝鮮人が安い給料で働かされているという報道が出てFIFAから問題視されたという報道もつい最近出ておりロシアの労働環境はおそロシアという実態がある。

またロシアの格差社会は今非常に深刻化しており、オリガルヒと呼ばれる一部の新興財閥だけがその富を独占している。必ずしも全員が裕福ではなくそれゆえにソ連時代を懐かしむものも出てきている。

更にクリミア併合以降の経済制裁の影響もあり末端の労働者の生活はさらに厳しくなってきているだろう。それに加えプーチン国家主義的な雰囲気を作り上げマイノリティは居場所がなくなってきている。

その中でも特にサンクトペテルブルクは人種差別もキツいと言われており、もしかしたらそういったロシア社会への復讐の意味もあったかもしれない。

自国の人間ですらマイノリティであったり上位層の人間に対して憎しみを覚えることがある中で、外国人が覚える意識は想像を絶するだろう。

中央アジアからの出稼ぎ労働者」への目線はソ連時代に比べて格段に厳しくなってているのだ。そのロシアワールドカップも当然サンクトペテルブルクのスタジアムでも開かれ、欧州からの観光客も多く訪れると見込まれている。そういう意味でも非常に心配な今回のテロである。

 

またロシアのテロ問題は今回に限ったことではなく既にロシアの国家テロ対策委員会は過去1年間だけでもロシア国内で武装戦闘員140名ほどを戦闘で倒しており、テロ容疑で900人以上を拘束している。特にロシア国内南部の構成共和国でそういった過激派活動が行われており今ロシアにとって大きな悩みの種となっているようだ。

もはや実質内紛のような状況であり思ってたよりも深刻である。日本にはこういった報道が届かない上に、ロシアが実は多民族国家で様々な共和国があるという事すら知らない人も多い。

そしてそのロシア内の共和国にまでイスラム過激派が勢力を伸ばしており、ISの旗も押収されているらしい。ジョージア(旧グルジア)に近いチェチェンやダゲスタンなどは特にイスラム過激派活動が多いようである。

 

今ロシアは国内の中央アジア出身者や、南部地域の共和国などから過激派テロを実行する人間が現れるという問題と対峙している。陸続きであり中東地域とも近くイスラム文化圏でもある。シリア問題であれだけロシアがテロ対策で躍起になっている背景にはこういう問題がある。

自分自身こういう共和国にも行きたいと思っていただけに非常に心配であり、ロシアワールドカップが無事成功できるのかという不安もある。シベリアなども似も多数の共和国があり民族問題というのはなかなか簡単にはいかない問題である。

 

似たような多民族国家で言うと中国も複数のイスラム文化圏の民族を国内に抱えており、もしかしたら今後中国でも似たような形のテロが行われる可能性はある。そしてそれはもはや日本人にとって他人事ではなく完全に隣国の出来事になる。西欧→ロシア→中国と徐々に日本に近い場所にテロが迫ってて来ているのも現実として留意しておく必要があるだろう。

また日本でもそう言った海外からの労働者というのは存在しており例えば介護職あたりに東南アジアからの労働者というケースがある。非常にハードな職業でありロシアにおける中央アジア人労働者が置かれている境遇と近い物もある。

東南アジアにはイスラム文化圏の国が多いのも事実だ。

 

偏見を持つべきではないけど想定はしておくべきかもしれないし、日本人にとって完全に他人事と割り切れる状況でないことは下実である。

イスラム恐怖症を意味するイスラムフォビアになってしまうかもしれないがもうテロというのは遠い海の向こうの海外だけの問題ではなくなってきている。

日本人としてもなるべく中東やイスラムとは仲良くやりたい。しかし、日本は白人国家ではないし宗教にも寛容であり、イスラムは日本に好意的という幻想はもはや通用しない時代になってきている。今回のロシアの問題は日本にも無縁ではないということの示唆でもあるように思える。

10年後はロシアが今の西洋のようになり、日本や中国がロシアのようになっているかもしれない。そして20年後には西洋のようになるだろう。そして20年後の西洋はもはや西洋ではなくイスラム圏になっているかもしれない。今確実にテロ問題というのはグローバルな問題になってきている。