イングランド代表、そしてトッテナムに所属するハリー・ケインがここ最近異常なペースで得点を重ねている。
何でも年間のゴール数ではリオネル・メッシをも上回る数字を叩きだしており、もはやゴールを奪うために生まれてきた選手と言っても過言ではない。
あらゆるゴールパターンでゴールネットという目標を仕留めることができ、またポストプレーやサイドにおけるキープ力にも長けている。
いわゆるイングランド系のフィジカルに優れた選手としてセンタリングにヘディングで合わせるような選手をイメージしがちだが、彼の場合は足元の技術にも優れている。
更に本人は「バロンドールが夢であることを隠すつもりは無い」と堂々と大きな目標を公言し、野心に満ち溢れている。それでいながらまだ20代半ばの新進気鋭の若手であり、これからのキャリアが期待される。
ウェイン・ルーニーというエースストライカーがイングランド代表から引退し、次世代のイングランドの象徴はこの選手になっていくことは間違いなさそうだ。
ほんの数年前まではトッテナムサポーターの間では良く知られている選手という位置づけだったが、今ではもはや世界有数のストライカーにあげても誰も疑問符をつけることは無いだろう。
更にウェイン・ルーニーには無かった要素としてそのルックスに注目が集まる。
プレミアリーグを愛するイングランド人好みの男らしくむさくるしい武骨な印象は、むしろ頼れるストライカーに映る。
どの国の代表サポーターも自国のエース選手が頼りがいのある選手であってほしいと願う物であり、ハリー・ケインの「不良兵」のような雰囲気は現地サポーターにも愛されている。
まだイングランド代表としては目立った活躍をしてはいないが、それでも出場すれば2試合に1得点のハイペースで決めており本格的にエースとして君臨し始めれば、長らく国際舞台で結果から遠ざかっているスリーライオンズに栄光をもたらすことができるかもしれない。
個人的にはイングランド代表のファンというわけではないのだが、イタリア代表やオランダ代表が没落しつつある今サッカー界に活気をもたらす存在としてイングランド代表に期待し始めている。
「サッカーの世界でイングランドに期待してはいけない」とまことしやかに騒がれているが、自分自身の思い出としてベッカム時代のイングランド代表は本当にかっこよかったという思い入れがある。
今のイングランド代表ファンの多くはベッカム時代を知っている方が多いのではないだろうか。
ルックスに長けた代表の象徴という意味ではむしろルーニーより、デイビッド・ベッカム寄りの選手とも言えるかもしれない。
近年若い世代がイングランドでは台頭し始めているので、その世代の選手がフル代表の上がってくるときにハリー・ケインの全盛期が重なればイングランド代表の躍進も起こり得るだろう。
しかし一昔前のプレミアリーグ全盛期の頃のイングランド代表はそれこそ名だたるスター選手が揃っていたが、結果には恵まれなかった。
もしかしすると今のイングランド人選手もプレミアリーグ補正のようなもので優れた選手のように見えている可能性もある。
その意味ではハリー・ケインのイングランド国外挑戦という物も見てみたい。
本人はトッテナム一筋を誓っているため、ASローマでキャリアを全うしたフランチェスコ・トッティのような選手になるかもしれない。
しかし確実にもう一段階上のクラブでプレーできる選手であり、行くとしたらレアル・マドリードしかないだろうという程の存在だ。
大胆な予想をするならばもうレアル・マドリード行きは既定路線のようなもので、ガレス・ベイルと入れ替わるような形で数年後スペインでプレーしているのではないか。
ルーニーもクラブ自体はマンチェスター・ユナイテッドとエバートンを行き来したが、プレミアリーグのみでプレーしてきた。個人的にはルーニーのバルセロナ移籍が噂されたときにイングランド以外でプレーする姿を見たいと思っていただけに、ハリー・ケインの国外挑戦も見てみたいという想いがある。
一番プレミアリーグサポーターが萎える展開はプレミアリーグ内の強豪クラブに移籍することだろう。
かつてリネカーはバルセロナ、ベッカムはレアル・マドリードに移籍した。
それならばハリー・ケインが公言する「バロンドール獲得」のために更なるステップアップを目指すことは一つの選択肢になる。
それと同時にやはり彼のミッションはイングランド代表に栄光をもたらすことだ。
今の所ルーニーやベッカムを超えるインパクトを残せているわけではないが、まだ代表におけるキャリアは始まったばかりでありまだチャンスは未来に存在する。
国際舞台で主役となるイングランド代表を見たいと願う人々にとってはまさに救世主であってほしいのがハリー・ケインだ。
破竹の勢いで得点を量産し続ける彼の次なるターゲットは更なる野望に満ちているはずだ。