elken’s blog

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W杯決勝のカードがクロアチア対フランスに決まったわけだが

ワールドカップは準決勝が一番面白い説がまた実証されたのではないかというくらいに、どちらも名勝負だった。

W杯がもうすぐ終わるという寂しさもありながら、決勝をかけたチーム同士の熱い戦いに感動させられた。ワールドカップとはこういうものだ、この2試合を見れただけでもこの大会を待ち望んでいた甲斐があった。

 

ベルギーを応援していた自分としてはこの舞台に彼らが辿り着けなかったことは悲しいが、フランスも見事だった。

そして何より今大会のクロアチアの躍進は凄まじい。

本当に死力を尽くしてここまでやって来た彼らの姿にサッカーがどういった競技であるかを改めて教えてもらっている。

難しい戦術的な議論はともかく、そんなことよりも「情熱」である、そして国を背負うというプライド、それを見せつけられているような気がする。それほどに彼らクロアチア代表の母国への思いは情熱的だ。

 

ワールドカップというのは「勝つ国が勝つ」と言われる大会であり、魔物が存在する。すなわち優勝国というのは伝統国に限られ、中々新しい優勝国が誕生することは無い。

ワールドカップ的な戦い方ができる国が勝つわけであって、まさに先日CL決勝のレアル・マドリードVSリヴァプールのように戦い方をわかっている国がトロフィーを手に入れる。

優勝経験国のフランスが試合巧者としての壁でクロアチアの勢いを防ぐのか、それともクロアチアは新しい歴史を作るのかが楽しみな試合だ。

 

今大会前に自分はフランス優勝予想でいたので、そこは筋を通すためにもフランス優勝を想定しているが、それは必ずしも個人的な願いとは相いれない。

日本でもおそらくクロアチア人気の方が高いだろう。

クロアチアは旧ユーゴの国らしく、とにかく足元の技術やアイデアに長けており、そして母国のために情熱的な姿がなんとも言えないような共感を誘う。

 

フランスももちろん良いチームである一方で、どうしても多国籍軍団という印象を受け、自国の選手だけで戦っているクロアチアのほうが日本の事情としても近いものがある。日本人の感覚に近いのは、プレーの内容的にも、そしてチームの構造的にもフランスよりもクロアチアのほうが似ているのは事実だ。

ただこれはあくまでサッカーを通して反グローバリズム的な主張をしたいわけではなく、現状の日本とはクロアチアの方が近しいスタイルだと言うだけの話である。未来はどうなるかは当然わからない。

 

クロアチア代表の中でもモドリッチのサッカーの巧さには相変わらず驚かされる。

一つ一つの些細なプレーに工夫や知性が込められている彼のスタイルは、いわゆるフィジカル不足を補って余りある。フランス代表のポグバやマテュイディのようなプレーは日本人には難しい世界のように思えるが、インテリジェンスとテクニックでゲームを支配するモドリッチのやり方は工夫次第では取り入れられそうな物だ。

今回、もしかしたらバロンドールを取るのではないかと言われているモドリッチは母国の英雄ボバンを超えているどころか、「クライフの後継者」との呼び声まで上がっている。

ポジション自体は違う物のサッカー観という意味では、前回大会クロースをMVPに上げた故ヨハン・クライフが存命していたのであれば、間違いなく彼のお気に入りだったはずだ。

決勝の結果次第ではモドリッチはサッカー史上最高の中盤の一人として今後数え上げられる領域に来ている。

 

その華麗なる司令塔と今回の準決勝において渡り合ったのがイングランド代表のデレ・アリだ。デレ・アリは延長線の最期こそフラストレーションを爆発させるシーンがあったが、試合を通じては非常に巧みなボール捌きを行っていた。

ワールドカップの終わりが寂しくなり、新シーズンに思いを馳せる身としては是非とも彼がバルセロナに加わりラキティッチとパウリーニョの後継者になることを期待したいという思いに駆られる。

 

もう一人新シーズンの動向が気になるのは何かと物議を醸しているエムバペだ。

中には「ネイマール二世」「ネイバッペ」や「エヌバペ」と揶揄されるほど、今大会印象の悪い遅延行為を行ったが、個人的には彼が高い評価を受ける理由を理解した大会となった。

ルカ・モドリッチ対デレ・アリが司令塔対決だったとするならば、エデン・アザール対キリアン・エムバペはドリブラー対決だった。

すなわち司令塔が勝敗を決めたイングランド対クロアチアと、ドリブラーが勝敗を決めたフランス対ベルギーという構図だ。もちろんそのほかの選手も高いクオリティを見せていたが、自分の中で印象に残ったのは司令塔とドリブラーだった。

 

この準決勝の二試合が面白かったのは激しいドリブラー同士の争いと、司令塔同士の意地の戦いが見れたことにあったように思う。

結果的に言えばフランスはセットプレーの一発で決勝進出を決めたので、その試合運びの巧さが評価されるべきだし、クロアチアはペリシッチとマンジュキッチの素晴らしいゴールによって試合を決めた。

ただサッカーを見る上でドリブラー同士のライバル争いが見れた試合と、司令塔同士が本気でやりあった試合の内容も評価したい。

トップレベルの才能が激突するとこうなるんだなという素晴らしい試合を二試合立て続けに見れた事に感銘を受けずにはいられない。

そして願わくばこの二試合を超える、素晴らしいまでの決勝を目撃したい。