elken’s blog

ジャニーズとサッカーを中心にあらゆることを評論するブログ

石ノ森章太郎物語は中島健人の代表作といっても過言ではないクオリティ

セクゾの夏が終わる「24時間テレビロス」のような謎の虚しさを感じる心理は「自担Gの晴れ舞台が終わって虚しい」と毎年ジャニーズファンの誰かが経験している事である。

 

去りゆく頃の夏の風は少しだけ寒い気がする。

そんなことを多分、24時間テレビを真剣に見る人もそうでない人も、何か風物詩として感じるのだろうし、夏が終わるという感覚も相まってちょっとだけ肌寒く感じる。

 

春の花が咲いているのに、時折冬の寒さが戻ってくるように感じる季語を花冷えと表す。

中島健人氏の花言葉語録を若干パクッっているわけではないが、気取って言うならば秋と、その先にいずれやって来る冬を予感させるような、終わりゆく夏の風は24時間テレビの翌日に吹く気がする。

 

そんな中島健人氏の主演した『石ノ森章太郎物語』は、控えめに言って代表作の一つだと言えるかもしれない。

非常に大袈裟な表現になるかもしれないが、自分は今後「トキワ壮」を取り上げた映像作品として今後漫画ファンの間で視聴必須なぐらい、時代背景を良く描いていたという感想に辿り着いた。

 

冗談抜きで、中島健人やSexy Zoneのファンだからおすすめしているのではなく今後、日本の漫画創作の黎明期を知りたいとなったとき、わりとこの石ノ森章太郎物語は入りやすく学びやすい短編ドラマになるのではないか。

なぜならばそもそも石ノ森章太郎という漫画家を取り上げた実写化作品自体が少ない上に、何より石ノ森章太郎物語への愛を感じたことが評価されるからだ。

この時の監督、本当に石ノ森章太郎やトキワ壮の時代が好きなんだなと笑

 

つまりこの作品、真に偉大なところが純粋に日本の映像創作コンテンツを作り上げた一人の作家のを取り上げた映像作品としてクオリティが非常に高いという本質にある。

少年期から漫画に憧れ手塚治虫の作品を手伝ったことや、白黒テレビの普及、漫画が大人が読むものではないと扱われいた時代背景の描写、月刊から週刊へと変化していった時代、そういった熱気と激動の時代の雰囲気が上手く現れていた。

そして中島健人の衣装なども現代とは違うスタイルに上手く溶け込んでいたところは、Sexy Zonのファンとしても、普段と違う姿が見れて楽しかった。

 

それは実際に、この石ノ森章太郎物語を見た人の感想にも表れている。

「そもそもこの人が中島健人を知らない」という方が結構見てくれていて、最近の芸能界にそこまで興味が無い層の人もかなり高評価していたというのが根拠だ。自分が普段知っている人も、トキワ壮や石ノ森章太郎の話だという事で、いつもは24時間テレビを見るわけでもないのに、今回は放送前から楽しみにしていた。

 

むしろこのドラマの凄いところは、これまでの中島健人が主に女性ファン層向けに演じていた作品の枠を飛び越えて、ひとりの俳優として従来の視聴者層と異なる分野に飛び込んだということに集約される。

 

トキワ壮時代の漫画黎明期の雰囲気を知りたい層というのは、実は根強く存在していて、そういった層からの評価が非常に高かった。

自分が普段見ているネットの場所でも、普段24時間テレビに感動するようなキャラクターではない人が「今回トキワ壮目的で見たけど、かなり面白かった」という感想を上げていて、自分はケンティーを知っている身として少しうれしくなった。

きっとその人たちは中島健人を知っているわけでもないし、実際に中島健人の演技について触れているわけではなかった。

 

ただ普段ジャニーズやセクシーゾーンにそこまで関心を持たない人まで見てくれて、面白かったよという感想を持ったことがとても新鮮だった。

そもそも中島健人自身、そもそもほんの最近世間にセクシーなナルシストキャラが知れ渡ったくらいで、自分の周りでも「朝の10時くらいに全力でムーンウォークしてて、ナルシ発言して笑った」と言われて妙に嬉しかったのはこの夏の思い出だ。

 

それを言えば中島氏以外にも、マリウス葉は世間的に今の成長した姿が一般認識となったというか、とにかく殻を破ったという印象が強かった。

 

24時間テレビを一瞬見たという知り合いが、この朝っぱらからムーンウォークしてナルシスト発言してる人って中島健人だろと気付くことの意味みたいなものを感じて、ちょっと笑ってしまった。

 

なんだろうなぁ、あの無駄にイケメンすぎるのに、妙に面白い感じがどうしても出てしまうケンティー、嫌いじゃない!

ついでにいえば、今回の石ノ森章太郎物語でも一番思ったのが「中島健人はほんま何やってもケンティーやな笑」ということで、普段見ている人ほど中島健人らしさを随所に感じたように思う。

 

これまでのジャニーズやSexy Zoneとしての活動、アイドルとしての姿とは打って変わってこの話自体は昭和を舞台にして、高校生役から父親役まで幅広く演じていたし、本当に面白い作品に仕上がっていたという評価を惜しみなくできる。

本人も仮面ライダーが好きなことがあり活き活きとした演技に強いモチベーションを感じたし、何よりやっていて楽しかった。

 

そして、いい意味で、やっぱり中島健人だった!笑

これは実はすごく良い才能で、「木村拓哉が何やってもキムタクだ」と評されるようにその役を本人色に染め上げてしまう癖の強さがあった。

どんな役を演じても木村拓哉がキムタク、山下智久が山Pなのと同じで、中島健人はケンティーだ。

それが違和感なく作品の世界の世界観と調和しており、気づく人には気付く絶妙な個性が発揮されていたように思う。

これは決して矯正するべきものではなく、むしろ魅力で実際に作品単体としても面白かったことは間違いない。

 

シーンとしては本当にいろんな面白い場面があって、例えば見事な白桃をがっつり晒したところは「自称正統派アイドルなのによくここまでやるな!というか、事務所よく許可したな笑」と意気込みを感じた。

中島健人さん、この作品で華麗な白桃を晒しております!笑

アイドルらしいそんな優雅な入浴シーンでもなく、トキワ壮の漫画家仲間たちとの昭和らしい光景として、ここまでやるのはキャラの殻を破っていた。

 

そういうところが本当に良くて、別にケンティーだからどうのこうのというよりも、戦後昭和の文化史の話としてもよく解説されていて、24時間テレビ的な雰囲気とも違っていたところは異色な作風だったように思う。

そもそも24時間テレビという番組自体が、年々現代の世論を受けて雰囲気を変えていて、短編ドラマも今回は大きく違っていた。

全体的に明るい感じで、これからの漫画作品の時代を作っていこうという駆け上がっていく物語がテーマであり、時代背景も上手く解説していた。

 

姉との物語や家族との話は感動の物語でありつつも、それは不思議と話として入ってくるエピソードだったし、基本はオタク的というか日本の漫画文化が育っていく時代のマニアックな雰囲気が濃密に現れていた。

 

特に今では『おそ松くん』のリメイクで時代を超えて評価されている赤塚不二夫との友情は男子同士の熱い友情もありながら、コメディチックで本当に楽しかった。海外旅行から帰って来て、悲しみから逃れられないけどもそれでも楽しい事は作り出せて行けるという二人のやり取りは熱い友情を感じた。

 

24時間テレビの中で登場した短編ドラマと聞くと、重厚な物としてイメージしがちかもしれないし、実際に自分もそうだった。

ただ中島健人のいい意味でのケンティーらしい演技力と、そもそも石ノ森章太郎というマニアックな人物を題材に取り上げたという奇遇なハーモニィーがとても面白い話を作り上げていたと思う。

もちろん今と同じような人間誰しもが感じる虚しさや悲しみを感じながらも、それでも新しい時代へと向かっていく、そんな雰囲気があって未来に向かっていく感覚は今の時代にまぶしく輝いて見えた。

なんだろうとにかく、この時代の作家たちの情熱が今に伝わってくるように感じられたし、そこに中島健人が持つ不思議な明るさが絶妙に際立っていてとても面白い物語になっていた。

きっとまたあの時代に、当時を知らなくても戻りたくなる感覚を覚える気がする。