麻雀の歴史について調べていたら日本で初めて麻雀について書いたのは夏目漱石だという事を知った。麻雀を日本人が最初に知ったのは近代に入ってからの話で、かの夏目漱石が満州と大韓帝国に旅行しに行った時に初めて見たことが最初の見聞のようだ。
「四人で博奕を打っていた。(略)厚みも大きさも将棋の飛車角ぐらいに当る札を五六十枚ほど四人で分けて、それをいろいろに並べかえて勝負を決していた」
それが書かれているのがこの『満韓ところどころ』という随筆であるとのこと。
麻雀が明治や対象の日本に入り始めたころの麻雀の対戦とかアングラ感あってかっこいい。近代の時代になって鎖国が終わり日本が海外に視野を広げていく時代に、中国で夏目漱石が見たのが「麻雀」という今では日本で広く親しまれているボードゲームだ。
自分は麻雀をプレーするわけではないのだが、その中国的な雰囲気や時として賭けにも使われる漫画のアカギにあるような昭和や昔の日本の雰囲気にも惹かれている。その歴史を調べるとまさに夏目漱石の「満韓ところどころ」という作品に行き着く。
個人的にこの時代特有の言葉「満韓」という単語にワクワクする。
韓国併合以前の状態、そして満州が戦略的にいつか手に入れなければならないという時代であり壮大な大陸構想を考えていた時代である。
満韓交換論や日露協商とかこの時の歴史用語もワクワクするし、韓国併合に至るまでの様々な動乱は調べてみると本当に面白い。いろんな意見があり一方の見方だけを正当化するつもりは全くないが、それぞれの思惑が錯綜する帝国主義の時代を想像するとその時代なりの浪漫を感じる。
帝国主義が吹き荒れていて同時に日本人が大陸への浪漫を抱いていた頃の言葉。満州と大韓帝国だったころの韓国をまとめていう「満韓」という単語にするのがまさに明治時代だなというのを感じる。
そういう明治のころの満韓への感覚が現れていそうなこの随筆をぜひとも当時の時代の感覚や認識を知るために読んでみたい。まず旅を描いた作品というのはたいてい面白いし、自分も旅をした気になれる。
憧憬を想像によって更に熱くする。
そしてそうやって明治の浪漫、憧憬感を読んだ後、漱石がたどった旅程でぜひとも自分も旅をしてみたい。よく松尾芭蕉の奥の細道の旅程を辿って旅する人いるけど自分はこの漱石の「明治大陸浪漫街道」を旅行してみたいと考えるようになった。
公民館や古本屋、図書館にあるようなちょっと古い本にある満州の記述とか特集などは当時として夢見たものと現実に思いをはせて読むと面白い。
近代化を歩む日本、そしてそこから見た満州や朝鮮という場所。
日本近代文学の創始者夏目漱石の視点。
すべてがワクワクする要素だ。
大連、哈爾濱、奉天この辺りは歴史的なロマンを感じる地名であり、日露戦争で重要な争点となった「旅順港」の眺めも当時の夏目漱石の視点で見ると今とは違うはずだ。
だからこそぜひいつか漱石と同じ旅程で行ってみたい。
そのためにはまずこの『満韓ところどころ』というタイトルからして明治近代化浪漫を感じる随筆を読んでみたいと思う。漱石が近代に抱いた複雑な思いとは何なのか。発展する近代、その中で見えてくる矛盾と一見華やかなように見える新しい文明の現実がある。
最近自分の中で更に満州への憧憬や浪漫というものが熱くなっている。大陸に新しい国を作ろうとした浪漫。壮大だった、あまりにも壮大だった。それは確かに失敗に終わったかもしれないがそういう大規模なことをやろうとする人たちがいた時代なんだなぁと。
満州国の最期は本当に悲惨なことになってしまったが、初期の満州国は日本にもない最新設備が導入され壮大な多民族国家の建設を構想する人々も存在した。実際には様々な利権が絡み、そして第二次世界大戦も起こってしまったため現実には夢を見ていた形にはならなかった。
その憧れがうまくいっていたらどんな国になっていたのか。
その憧れを構想していた時代がまさに満韓ところどころが執筆された時代と重なる。
当時の大韓帝国を見てこの場所をこれから開発していこうと考えた人々の思い。そして次々と完成していく満州や新京。当時の満州国の建築は本土日本と比べても最先端の設備が導入され、国際色豊かな都市でもあったと満州出身者は語っている。
こういうマニアックな感性を理解してくれる人が増えてほしいとも思うしこういう旅情とかノスタルジーとか、旅心や憧憬みたいなものっていいよねと最近しみじみ一人で思うことが増えている。
いつか自分の人生が落ち着いたとき、そういう自分なりの感性や浪漫を集めた小説を書いてみたいとも思うし自分がこの旅程で旅をして精神的にも成熟したら1つの小説を書きたいと思う。実際に旅してこの時代から一世紀立った今の東アジアを見つめたような小説や旅行記を自分で書くことも面白そうだ。
浪漫、現実、近代・・・そういったものが何なのか21世紀のこの日本から見つめる小説をいつか書いてみようと思う。
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