新日本風土記はなぜ旅情を誘うのか
NHKBSで放送している新日本風土記という番組がある。
この番組は風土記という言葉通り日本の何気ない日常風景やそこにある生活をアーカイブスとして記録していくことを目的に作られている番組である。
そして自分はその新日本風土記の大ファンでこの番組を見ているとどこか旅をした気分になれるというか旅情を誘われる。単なるワイドショー的な旅番組ではなくリアルな日常や歴史を文学的に切り取っていて本当に日本人の何気ない日常生活であることが多い。
取り上げる場所もセンスがあって、廃墟や昔酒場としてにぎわったところを取り上げてその懐古心をくすぐることもあるし、有名な都会の場所にある何気ない日常を取り上げたりもする。東北の冬、博多、祇園、津軽海峡、すすきの、首都高、北酒場、そういったいろんな美しい生活を取り上げている。
ただそこにある現実、風土のようなものにある美しさというのをこの番組は記録して行ってその膨大な記録というのは数十年後、数百年後に間違いなく貴重な記録になるだろう。
100年後の民俗学のようなもので間違いなく重要な資料になるしその頃の日本は今とだいぶ景色も違っているかもしれない。しかし同時に今と変わらない景色もきっとあるに違いない。
この番組は元々新日本紀行という番組でその頃の過去映像がこの新日本風土記内に出てくることもある。数十年前の映像、自分の体験したことのない時代にすらどこか懐かしさを感じる。そういった作りになっているのが魅力だ。
この番組はそういう意味で一人しんみりと見ることに向いている番組と言える。普通の旅番組とは一味違って、本当にその世界の奥深いところを垣間見ることができるし、本当にその場所にって見たいという気分になる。
もし生活に余裕ができればいつか新日本風土記で取り上げられた場所を旅してみたい。
「奥の細道」の回があったけども、自分はこの新日本風土記の場所を旅して見たいとも思う。それをいつか旅ブログとしてこのブログにも書けたらと思わずにはいられない。元々このブログをいつか旅ブログにしてみたいとも思っているので新日本風土記にあるような旅情ある作りにして記事を書けたらどんなにいいことだろうかとも思う。
中でも印象に残っているのは城崎温泉の回。
城崎温泉はこの番組をみて一度見に行きたいと思った。旅館の蟹はかなり印象に残ってて、日本の旅館っていいなぁと感じた。
あとは廃墟の回もかなり雰囲気がよかった。昔バブルの時に作った遊園地が今運営が厳しくなって廃墟になっているのはどこかさびしげで、だけどもどことなく風情があった。
この番組にありがちなことが、バブルの時代や景気良かった時代の話。全体的に懐古的な雰囲気がある。城崎温泉も昔はもっと繁盛していたとか、すすきのもバブル時代は凄かったとか。津軽海峡の連絡船でその連絡船が運航していた頃の話とかもあったり。そういう話が凄く風情あって、どこか寂しげだけど憧憬の念がわいてくる。その時代のその場所を知らないけど、その時代を暮した人の話が番組内で出てきてそれで想像するから何か美しく、そして懐かしく感じる。
そういったインタビューで出てくるのも魅力で、その時代をリアルに生きた人の話、そして今も暮らしている人たちの何気ない光景が魅力的でもある。
同じ日本だから行ったことないのにどこか日常風景としての魅力を感じる。
そういう意味でこの番組はまさに「風土記」であり何気ない生活の記録でもある。
ナレーションが松たか子というのもよくて、松たか子さんの語り口は凄くほんのりしていて美しい。世間的にはアナ雪の人かもしれないけど、自分にとって松たか子は新日本風土記の人
この番組恐らくは40代以上がメイン視聴者層であると思われる。おじいちゃんおばあちゃんが見てそう。こういう情景あるしんみりとした番組の良さがわかるのは40代越えてからになる。
ただ10代、20代でもこういう旅情のわかるセンスがある人は間違いなく楽しめる番組。どこか遠くに行きたいというのは年齢関係なく誰しもが思う時がある。
そんな人の心情にしんみりとはいってくるのがこの新日本風土記なのではないだろうか。