elken’s blog

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ぶっちゃけACミランは中国資本で復活するのか?

最近いろんなごたごたを乗り越えてようやく中国資本への売却が決定したACミランだが、その新生チャイナミランに輝かしい未来は待ち受けているだろうか。

 

この数シーズンのACミランは散々だった。過去の栄光はどこ吹く風、辛酸をひたすら舐めつくしてきたのがここ最近のロッソネリである。欧州での優勝回数はレアル・マドリードに次いで多いクラブがここ数シーズンチャンピオンズリーグはおろかヨーロッパリーグへの出場権すら獲得できていない。

一体なぜここまで落ちぶれたのか、その最大の要因は資金不足だ。イブラヒモビッチチアゴ・シウバを放出したシーズンからこのサイクルは始まった。それまでかつてイタリア首相も務めたメディア王ことシルヴィオ・ベルルスコーニFIFAの規定でかつてほど潤沢な資金を投入できなくなったことにより経営は悪化、有力な選手を次々と手放し連れてこれる選手は2流、3流の選手がほとんどとなり全盛期グランデミランの時期ならばメンバー入りもできないような選手ばかりになった。

もはや完全にセリエAの中堅クラブとして落ちぶれたミランはその旧体質の経営やサポーター文化によって落ちるところまで落ち次々と監督を変えては失敗するという醜態をさらしていた。ヨーロッパの舞台から遠ざかりやることなすこと上手くいかず光が見えてこない日々が続いた。

チャイナミラン

しかしそのACミランについに転機が訪れる。

中国資本による買収である。ここ最近外資による欧州クラブの買収は相次いでおりその成功によって一躍欧州のトップクラブに躍り出たクラブは多い。たとえばオイルマネーで補強しチャンピオンズリーグ常連となり国際的な強豪クラブとして認識されるようになったマンチェスター・シティパリ・サンジェルマンは代表格だろう。

また同じセリエAでもインテル・ナツィオナーレ・ミラノ、通称インテルインドネシア資本に買収され更に中国資本へと渡った。

誇りあるイタリアの名門クラブがアジアの手に渡ることを疑問視する現地イタリア人もいるが、実際にはこれも時代の流れだと受け入れているサポーターも多い。たとえば日本のプロ野球チームが中国企業の傘下に入った場合多くの野球ファンは複雑な心境になるだろう、そして今ミラノを本拠地に置く二大名門クラブが中国資本の手に渡った。

 

今欧州サッカーバブルは最高潮に達しもはや資金力がなければそのトップシーンへついていくことはできない。これも時代の流れでありサッカーが巨大化し、グローバル化をした今悠長なことは言っていられない。

むしろこれでかつての力を取り戻すならば喜ばしい事であり、金の力でもなんでも強くなるACミランが見たい、もう降格圏クラブにすら負けるのはうんざりだというのがミラニスタ偽らざる本音だろう。

 

ではそのACミラン再建計画は上手く行くのだろうか。

現状売却が決まったばかりでその判断は正確に下すことはできない。

まず一番の懸念材料は今回買収した中国資本グループがそれほどサッカーに熱心だとは感じられない点である。あくまで投資として買収しており、中東のオイルマネーによる道楽的な意味合いを持つ投資とは若干異なる。

今回のACミランを売却したチームもそれほど大きなグループとは言えずここ最近成り上がった資本としかいいようがなく長期的な経営に意欲的だとは言えない。現状どうにも軽く参入しているイメージしかなく「見捨てるときはすぐに見捨てる」という短期的なイメージしかわかないのが現状だ。真にACミランというクラブを立て直そうという意欲は感じられずあくまで利害に基づいた表面上の関係に思えてならない。

スタジアムや育成組織を根本から整備し長期的視野で計画的な運営をしているユベントスに比べて内実が伴わないような印象を受けるのも事実だ。その一方で昨今の今サッカー界を席巻するチャイナマネーはそういった計画性や歴史を凌駕するほどの資金力があり、ユベントスが苦労して積み重ねたものを一瞬で追い抜き去るポテンシャルもないわけではない。これが吉と出るか凶と出るかはまだ不透明だ。はたしてアリとキリギリスの寓話のように堅実に運営をするユベントスがこれからも勝利し続けるのか、チャイナマネーですべてを巻き返すミラノ勢が息を吹き返すのか、しばらく様子見が必要だろう。

 

またかつてACミランが欧州を席巻した時代は戦術の革新が伴っていた。戦術大国イタリアからは名将が多く誕生しゾーンプレスを導入したアリゴ・サッキはその代表格だろう。サッキミランはクライフ率いるドリームチームのFCバルセロナを4-0で打ち破りその完成度を示した。

今果してそのような新戦術の誕生がイタリアのミラノから起こり得るのか、今のところ監督を1シーズンごとに変更し続けるACミランからそういった可能性は感じられない。資金だけあっても理念や戦術、一貫性と哲学が伴わなければ進歩を遂げることはできないだろう。そして投資の見返りがないと悟った中国の資本家は去っていく、そういった未来は想像に難くない。

 

しかし今ACミランどん底のスランプに陥り、ミラニスタとしては藁にもすがる思いで中国資本に助けを求めているのが実情だ。長期的な経営改革は現状夢物語であり、外資による強化が現実的な方針となる。そして幸いにもACミランはその外資を惹きつけるだけのブランドイメージがある。むしろここ最近外資で栄光を勝ち取った新興勢力に比べてブランドや実績があるのは事実であり、仮にこの新しいサイクルに乗ることができればそういったクラブ以上の成功を収めることができるかもしれない。

再びACミランが欧州とセリエAを席巻する日がやってくるのか、それとも外資による短絡的な復権計画には限度があるのか、いずれにせよ今後数年セリエAの話題には彼らは再び舞い戻るであろう。