スペインリーグ1部昇格を目指して行われていたプレーオフ決勝のテネリフェ対ヘタフェの第2戦が行われた。第一戦がホームで1-0だったものの、アウェーで1-3という結果に終わったテネリフェは悲願の昇格を果たすことができなかった。
柴崎岳としてはまたも寸前のところで栄光を取り逃した結果になるが、契約が半年だったため個人昇格を果たす可能性は残されている。
ファーストレグの成績は1-0で、アウェーゴールを与えなかったという点では良かったがホームで得点を重ねて余裕を保つことができるほどの数ではなかった。
次絶対勝たなければならないと覚悟を決めたチームがホームで団結したとき、その攻撃力を守りきることは難しい。
現実に「ヘタフェとは実力差があり過ぎた」「この結果は妥当」「この状況で一部に昇格しても難しい」といった感想が多く、この結果は納得のいく部分がある。
柴崎岳として悔しい点があるとするならばアシストを決めたにもかかわらず後半開始直後に交代を命じられたことであるが、その時点で1-3になっていたため監督はプランBに移行することを選んだのだろう。疲労が蓄積したこともあり、柴崎岳の挑戦はここで終わりを告げた。
しかし物語はまだここで終わったわけではなく、柴崎岳個人の去就問題がここから再燃することになる。プレーオフで行われた試合の3点に絡んだ柴崎に個人昇格のオファーが舞い込む可能性は大きく、リーガ・エスパニョーラ1部でその実力が通用すると判断されればトップリーグのチームに移籍することができる。
元々テネリフェへの移籍も半年間2部リーグを経験してスペインに慣れることが目的であり、チームとしての昇格は最優先事項ではなかった。元々柴崎岳本人がスペインで通用するかどうかさえ懐疑的な視線を送られていたのだから、このように実力を証明できたこと自体が既に及第点に達している。
テネリフェの昇格が果たせなかったことは絶望ではなく元々想定の範囲内であり、それゆえに半年契約でもあった。
ただその一方で果たしてこのまま個人昇格をすることが正解なのか、そしてそもそもオファーがあるかどうかも分からない。
せっかくこれだけテネリフェで絶対的な地位を築けているのだからあと1年昇格のために戦う事は出場機会やチームへの適応という事を考えたとき良い選択となるかもしれない。
ここから1部のチームに仮に移籍したとしても出場機会があるかどうかはわからない。「ワールドカップ1年前」という事を考えたとき、既に慣れ親しんでおりチームメイトとの関係も良好なこのCDテネリフェで着実に経験を積むことのほうが実はベターな選択なのではないか。
長期的な視野で見た場合目前の個人昇格を選ぶよりも、もう1年しっかり監督やチームメイトから信頼されているチームで出場を重ねるプランがあってもいい。
今回は半年間の契約だったためフルシーズンでは出場しておらず、来季もう一度2部で1年間戦い経験を積んでロシアワールドカップに行くという考え方もできる。
やはりスペインリーグ1部の新チームに移籍した場合、人間関係がどうなるかもわからず技術レベルで完全に通用するとも限らない。リーガ1部で散発的に出場してワールドカップメンバーにも選ばれないよりは、2部のテネリフェで絶対的な選手としての地位を確立してロシアに行く方が良いかもしれない。
そして来年のワールドカップ本大会で活躍すれば、今すぐに個人昇格を目指すよりもよいオファーを受け取れる可能性がある。
今すぐに個人昇格を選ぶよりも、2部でのフルシーズンを通した活躍とワールドカップ本大会での活躍をアピールポイントにしたほうがより良いクラブに行けるのではないか。
その一方でそのロシア大会で活躍するために個人昇格を優先しそのクラブで実力を磨くという考え方もできる。2部での経験がこれ以上の成長をもたらすかどうかも未知数である。
どちらが選手として大きな成長をもたらすか、そのことをインテリジェンスにあふれた柴崎岳は誰よりも理解しているだろう。
柴崎岳本人がどういった決断をするかは本人ではないためわからないが、いずれにせよ今回のプレーオフの結果を受けて真剣に考えているに違いない。
柴崎がどういった決断をするのか、その行く末が明らかになるのはもう少し先のことになりそうだ。