誰がこの本田圭佑の移籍を予測できただろうか、正直なところ「何が何だかわからない」という青天の霹靂に近い感想を抱いた。
今回本田圭佑が移籍先として選んだのはなんとメキシコリーグのパチューカであり、多くのサッカーファンが驚いている。
様々な移籍の噂記事が現れては消えていく中で、メキシコリーグという報道はほとんど見かけることがなかったため改めてサッカーメディアというのは新聞を売るためだけに根拠のない飛ばし記事を書いていることが浮き彫りになった。
それも含めてサッカー文化であり、喧々諤々さまざまな予想をすることも楽しいのだが今回のパチューカ移籍は本当に誰も想像すらしていない移籍だったと言える。
正直なところ自分自身この移籍話についてあることないこと様々に語ってきたが、メキシコリーグのパチューカというのは本当に予想外の結果として驚いているし「意外」という意見が大半を占める。
そんな驚きを隠すことができない本田のパチューカ移籍だが、現実的な選択としては決して悪くない移籍だろう。
まずメキシコという国自体サッカーにおいて存在感がある国であり、サッカーだけでなく経済や文化においても高いプレゼンスを持つ国である。
メキシコ人にとってサッカーは生活の一部であり、また世界最多のスペイン語話者人口を誇る国でもある。
実はスペイン語圏において非常に存在感のありスペインやアルゼンチン以上の規模を持つ。人口は日本とほぼ変わらない規模にあるため、本国スペイン以上にスペイン語大国でもあるのだ。
そしてサッカーの面ではアメリカ大陸における強豪国として知られており、北中米の盟主でもある。よく言われるのがメキシコ代表のサッカーは日本代表にとって参考になるということだが、これは本田圭佑にとってポジティブな要素になるかもしれない。
現在の本田圭佑はいわゆるパスサッカーに適合した選手となっており、セリエAやACミランのスタイルよりはメキシコやパチューカの戦術の方が実力を発揮できるのではないだろうか。
本田が「ソリッドでクラシカルなサッカー」と評したACミランやセリエAのスタイルと、メキシコ流の戦い方のどちらにフィットするかは一つの見どころになるに違いない。
またパチューカというのはメキシコのみならず北中米におけるビッグクラブであり、強豪チームで司令塔的なプレーをすることが得意な本田にとっては絶妙なところを選んだことになる。実際に直近のメキシコリーグにおける優勝チームがCFパチューカでもあり、クラブワールドカップに北中米カリブ王者として参加する姿は日本のサッカーファンにとっても印象深い。
先日ガラタサライとの移籍が破談になったということが報道されていたが、その理由はクラブ側の姿勢に問題があったと言われている。
これは憶測でしかないが、もしかしたら出場契約の面で本田の意向を汲み取ってくれたのではないだろうか。あるいは新しいプロジェクトに向けて本田圭佑に情熱を伝えてくれたのかもしれない。
とにかく本田圭佑はビジョンのあるプロジェクトを組織的に行っていくことを重視しており、本田在籍時代のACミランにはそれが欠けていた。
今回本田圭佑が欧州やアメリカ、中国、Jリーグへの移籍よりもメキシコのクラブを選んだ要因はそういったところに合っても不思議ではない。
本田が選ぶからには何か独自の理由があるはずだ。
「なぜパチューカを移籍先に選んだのか」というのはこれから本田本人から説明される機会があるかもしれない。
またパチューカというクラブは選手への待遇が良く、リーグ自体も非常に盛り上がっているという側面がある。ACミラン時代を体験した本田圭佑ファンはとにかく熱狂的なサポーターに囲まれて楽しくサッカーをしている本田を見たいという思いが強いのではないだろうか。
もう批判をしたいだけの人々から攻撃される悲壮感の漂う姿を見たくはないというのが本音だ。得意なプレーで勝負し本当にサッカーに対する情熱があるサポターに囲まれる本田を見たい、そのためならば欧州であることに拘ることもない。
そういう意味で今回のパチューカ移籍はかなり良い移籍であるように見える。
その移籍に関わる内実も興味深く、そしてそれ以上に実際に本田がメキシコリーグにおいてどのようなプレーをするかも楽しみにせずにはいられない。
Las primeras palabras de Keisuke Honda como nuevo jugador tuzo! #ElÚnicoEnMi💙 Bienvenido! pic.twitter.com/1VgErPP4fX
— Club Pachuca (@Tuzos) 2017年7月14日