所詮にわかサッカーファンの適当な意見に過ぎないのだが「なんかトルコ代表パッっとしないよなぁ」という漠然とした思いが自分にはある。
この度W杯欧州予選で落選し2018年FIFAロシアワールドカップへの切符を断たれたことが決定したトルコ代表だが、どうもトルコという国のポテンシャルのわりに近年ワールドカップと縁がない。
国家としてもオスマントルコの歴史があり近年は経済発展を遂げつつある新興国であり決して小国ではない。
確かトルコ代表がワールドカップに出場した最後の大会はまさにイルハンブームが巻き起こった2002年日韓大会が最後でありそれ以降表舞台から姿を消している。唯一ここ最近トルコ代表がセンセーショナルな国際舞台における活躍を巻き起こしたのはEURO2008のミラクルターキーが最後だ。
詳細にチェックしているわけではなく随時試合を見ているわけではないのだが「トルコ代表もっと来てもいいはずだよなぁ」という凄く曖昧な感覚が自分にはあるし、もっと活躍できるはずではないかという漠然とした感情もある。
トルコという国はサッカーに国策として力を入れているにも関わらず近年結果が出ていない。ガラタサライやベシクタシュ、トラブゾンスポルへの国家的優遇がトルコ代表に反映されていないことは事実だろう。
おそらくトルコ代表がワールドカップに出場できない理由は単にヨーロッパ予選が厳しすぎるからという事にもあるだろう。
クロアチア代表ルカ・モドリッチが予選で苦戦して激怒しているという話題を耳にしたが、それほど欧州ではどの国でも高いモチベーションで挑んでおり小国と思われている国ですら真剣に戦いを挑んでくる背景事情が存在する。
間違いなく近年においてトルコ代表は国策にも似た国内リーグ強化が施されているが、その力を持ってしても欧州予選を勝ち上がる夢が叶わない。
現在におけるトルコ代表で最も優れた選手はバルセロナのアルダ・トゥランだが彼は既に代表を引退している。更に次世代代表を担うはずだったハカン・チャルハノールもACミランで苦戦している日々だ。
仮にメスト・エジルやイルカイ・ギュンドアンがトルコ代表を選んだのであれば国際的に地位を築けたのかもしれないが現実的に彼らはワールドカップへの安定的な出場を重視している。
サッカーだけではなく国際社会においても新興国だと期待され若年層世代が増加しているトルコがサッカーでこれだけ苦戦しているというのは、それだけこの競技において競争が激化しているということの証左なのだろうかとも考える。
近年むしろ北アイルランドやアイスランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、そしてスロベニアというもはや小国の中ですら更に小国の国が躍進している。それだけワールドカップは夢の舞台であり大国であるからといってそれがW杯出場を確約するものではなくなっている。
まさにブラジルが経済的に発展したことによってW杯優勝から遠ざかり「化け物っぽさのある選手がいなく小粒感が増した」という現象に似た様なものがトルコ代表に起きているのではないか。
トルコサッカーの実情に詳しい人や、本当にトルコの人がいるのならばコメント欄でぜひ教えてもらいのだがなぜ彼らはW杯に出場できないのだろうか?
極東の傍から見れば「アジア予選に参加したほうが良いのではないか」という思いもあるのだが、トルコ人の感情としてはUEFAチャンピオンズリーグとFIFAワールドカップを天秤にかける想いがあるだろう。
こういった欧州とアジアの狭間のような国については三種類の事例が存在する。
1:トルコ代表→クラブでは欧州における地位を築くが代表では縁が無い。
2:ウズベキスタン代表→アジアからW杯出場寸前に進んだ。
3:カザフスタン代表→UEFAに所属したがクラブでも代表でも活躍できていない。
様々な規約の煩雑さは存在するが仮にトルコがUEFAを脱退しアジアサッカー連盟にオーストラリア代表のように参加してカタールワールドカップ予選に進出すればW杯出場の可能性は飛躍的に高まるだろう。
しかしそれは同時にUEFAチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグへの参戦権を失うことも意味する。当然EUROにも出場できない。理想はまさにCLもW杯も欧州から参戦することでありトルコはそれを目指している。
仮に特例で日本にUEFAに移籍し毎年JリーグにCLとELの参戦権与えられるが、W杯出場は非常に厳しくなるが長期的にはW杯上位進出の可能性があるという条件が与えられなならばどういった選択を取るだろうか。
アジアカップで優勝することとユーロのグループリーグ敗退のどちらに価値があるのか。
いわばトルコ代表に突き付けられ選択はそのような物なのではないか。
現にFIFAランクにおいてトルコ代表は日本代表よりも上位でありUEFAに参加したことには大きな意味があるのも事実だ。
しかしその一方でAFCに参加したウズベキスタン代表は展開次第によっては今回の予選でワールドカップ出場の可能性もあり得たところにまで上り詰めた。
そしてカザフスタン代表は形式上UEFAに籍を置いているが、ほとんど代表の強化も国内サッカークラブの強化も果たせていないしウズベキスタンにはFIFAランキングで大きな差をつけられている。
「サッカーにおいて何が幸せなのだろうか」というテーマは哲学的な問いでもある。
おそらくサッカーについて熱狂的に語る人が多い国は日本よりもトルコだろう。
ワールドカップに出場を確定させたからといって日常的にこの競技で盛り上がり国民文化として定着しているわけではないのが日本で、一方ワールドカップ出場は逃したが国内リーグは元レアル・マドリードの選手がスペインよりも熱狂的だと語るほどの「スュペル・リグ」が存在する。
しかしながらもう10年以上もワールドカップから遠ざかり、今回の予選でも出場寸前という状況にすら進出することができずに終わったこともトルコの実情だ。
日本とトルコ、カザフスタンとウズベキスタン、どの国がサッカーファンとして楽しい国なのかと言われれば素直に即答することの出来ない自分がいることも本音として存在する。