実は今回2017年11月10日のブラジル代表戦はハリルホジッチ就任以降最初の強豪国相手の試合だった。
そういえばハリルジャパンになってから強豪国とやった記憶がないと思って調べたところ、やはりブラジルワールドカップ以降の強豪国との試合はほとんどアギーレ時代に集中していた。
実質今回が初めて世界の強豪相手にそのハリルスタイルを試す試合だったと見ることができる。
いつメンとばかり戦っていたアジア予選も終わり、ようやく強豪国相手に現時点での実力がテストされることになった。
見ていて楽しいサッカーよりもワールドカップ本戦で強豪国に勝つスタイルを追求してきたハリルジャパンにはたして世界に通用する要素があったのか。
まず今回の大前提として今のブラジル代表は世界最強の集団だという事、アルゼンチンが苦戦しチリが落選した激戦区の南米予選を楽々勝ち抜きロシアワールドカップに世界最速で出場を決めたチームだ。
そんなセレソンことブラジル代表に3-1という結果はそこまで悲観することではないと見ることもできる。むしろ槙野のゴールで1点取れたことはポジティブ、浅野のビッグチャンスが決まっていれば3-2で終えられた可能性もある。
更にサッカーにイフがあるとするならば冒頭のPK判定でいきなり流れが悪くなってしまったことで計画が狂ってしまったのもアンラッキーだった。
ワールドカップではこういうことが起きてしまうといういい準備にもなったし、ここから立て直す必要があるという"課題"は見つかった。
マルセロのゴールもPKを川島が止めた後の流れで決まったものだとすればカイジの班長ではないがノーカンで、その2ゴールを除外すれば流れの中から本当に決められたのはジェズズの1ゴールのみ。
そして浅野が岡崎だったら決めていたので2ゴール、実質前回の予想通り2-1で日本代表の勝ちである。(もちろん本気で言っているわけではない)
後半に至っては現実的に1-0で勝利しているため、強引にポジティブに考えるならばそこまで悪い試合だったわけではない。相手が現在世界最強のブラジル代表ともなればなおさらだ。
とまぁ、無理やり好意的に捉えれば絶望するほどの試合ではなかったけども素直に「ブラジル人サッカーうめぇ、向こう100年勝てないな・・・」と思った試合だった。
もう今後ブラジル代表と試合する時はホーム&アウェー形式にして2nd legは野球で対決することにしたらどうだろうか。
ルールはサッカーと同じメンバーから選ぶものとする。
野球ならクリロナでさえ投げ方が変になるから楽勝や、ネイマールもまともにバットに当てられないやろ(白目)
逆に日本代表選手ならば野球経験はそれなりにありそうだし勝てる!
前半はそんなことを考えざるを得ない程圧倒的に実力を見せつけられもはや現実逃避に走っていた。あれでコウチーニョやパウリーニョが出場しておらずガチメンではなかったのだからもはやその差は絶望出来ですらあった程だ。
相手の攻撃では随所でワンツーを遊びのように決められる、こちらの攻撃はことごとく読まれている、シュートと言えるシュートも無い、何もかもが通用しない展開だった。
マルセロのスーパーミドルやテクニックはブラジルではサイドバックを一番上手い人がやると言われるだけあって圧巻、これが長友が言っていた「世界一のサイドバック」なのかとも感じた。
個人的に2点目マルセロのミドルシュートは悪夢の再来である。
なぜならば昨シーズンレアル・マドリードとバルセロナがギリギリの優勝争いを繰り広げているときに、セビージャ戦のアディショナルタイムで決めたゴールに似ていたからだ。
「あのセビージャ戦でレアル・マドリードが負けていればもしかしたら昨季もバルサが優勝していたのに!」と今でも悔しいゴールだったことを覚えている。
レアル・マドリードサポーター目線では救世主のゴール、しかも利き足ではない右足で決めている。紛れもなくこの陽気なブラジル人は今世界最高のサイドバックの一人だ。
ただそんなブラジル代表に朝貢するだけの得点自動販売機になると思いきや後半は立て直すことになる。
これは意外と単純な理由で結局例のブラジル恐怖症が発症して慣れるのに45分かかったというのが真相なのではないだろうか。
視聴者の立場としても前半は普段良く知らないトルコリーグにいるようなブラジル代表選手が日本陣内でボールを持つだけでも怖かったほどに迫力があった。
ただこれも慣れる物で後半からは落ち着いてみることができた、選手の立場ならなおさらそのことを感じるだろう。案外こういうメンタル面というのはスポーツに大きく作用する。
「後半面白かった」という意見は多く、個人的にも前半からこれができていればよかったのにと思いながら見ていた。まだどうしてもブラジル相手には特殊な感情抜きでは戦えないのがサポーターを含めて日本サッカーなのかもしれない。
後半はブラジルがこれ以上点を重ねる必要が無くパス回しに徹していたという要素はもちろんあるし控えの選手のテストだったという意味合いも強い。
ベストメンバーで本気で後半獲りに来るブラジルはこんなものではない、ワールドカップ本戦ではあり得ない展開だったことは事実だろう。
ただそれでも後半は過度にブラジルをリスペクトしすぎることなく戦えていて実際浅野のビッグチャンスが生まれた。
また乾貴士はスタートから出場する姿が見たかった、もはや普段レアル・マドリードやバルセロナと対戦しているため今更緊張する物でもないのかもしれない。
逆に原口元気は期待していたほどの動きはできていなかったことに加えシミュレーション行為でイエローカードを貰ってしまった。ネイマールのダイブ行為を批判することはできない、なぜなら原口元気も原口マールだったからだ。
杉本健勇は高さがかなり期待できるという印象を受けた。オフサイドにはなったもののあのヘディングシュートの時の跳躍力は全盛期のクリスティアーノ・ロナウド並に飛んでいた、ロングボールも競り勝っていたため後半の放り込み要員としては面白い。
サイドバックの2人、つまり長友佑都と酒井宏樹はそこそこ通用していたような印象を受けた。とくに酒井宏樹はさすがマルセイユでやっているだけあってネイマールとの対戦経験も生きていた。
興味深かったのは今回導入されたビデオ判定、これには賛否両論ある。
端的に言ってやはり長く見ていてダレる、そして流れが止まってしまう。
しかしネイマールが酒井宏樹を隠れて叩いていたシーンが審判の目にも明らかになりネイマールはイエローカードを貰う事になる。
あの判定でだいぶ溜飲が下がった人は多いのではないだろうか。実は乾貴士に対してもバルセロナ時代試合中に叩いており、隠れて悪いことをする癖がネイマールにはある。今後こういうプレーが減少するのであればビデオ判定は必要な物だと認識されるようになるだろう。
醜い部分も含めてサッカーではあるけれどもネイマールのようなマリーシアを嫌っている人も多いのは事実だ。
実際この試合相当数の日本人がネイマールのことを嫌いになったのではないだろうか。
バルセロナ退団以降「パリで勝手に頑張って」と思ってまぁ気にはかけていた。少なくとも失敗を願うことはしなかった。
バルセロナファン目線では一応MSN時代の楽しかった思い出もあるしCL制覇の功労者でもあるから思い入れはある。ネイマールが左サイドでボールを持ってドリブルする姿や転がる姿はもう親の顔より見た光景なぐらい見てきた。
ただ未だにあんなことまだ続けているんだなというのは少しがっかり。
「まるで成長してない・・・」と思いながらコロコロ転がり大袈裟に痛がる姿を見ていた。
パリ・サンジェルマンでもカバーニと揉めて問題を起こしているし早速バルサ復帰かマドリーへの禁断の移籍が噂されている。
サントス時代も隠れてチームメイトをいじめてカメラに撮られてるとわかった途端止めに入って善人を演じたり、バルサに入団してきた新人選手を殴りにかかったりこういうことばっかりやっているのがネイマールの正体でもある。
なんというかネイマールは小者っぽい、ずる賢い小悪人といった感じだ。
イブラヒモビッチが「俺は確かに悪いがワルは堂々とやる、人だって蹴るし殴るが気に入らないならお前も殴り返せ。それに弱い奴より強い奴を狙う」というスタイルならば、ネイマールは酒井宏樹や乾貴士にやったようにバレないところで仕返しされない時に悪いことをする感じがある。
イブラレベルになるともはやそれが個性になるけども、ネイマールはどうしても小物っぽいためこういう所を嫌う人が多いのは理解できる。
もうバルセロナ在籍選手でもないし擁護する必要もないから日本に多いバルセロナサポからも見放されていて、もはや擁護している人はほとんどいないだろう。PSGファンですら謙虚なカバーニに対して尊大に振る舞う姿や特別待遇に辟易しているのではないか。
イブラヒモビッチ→格闘家と言われても納得がいくオニェウと骨折するまでガチ喧嘩
ネイマール→新入りのチームメイトや下っ端、大人しいアジア人を狙う
イブラがジャイアンならネイマールはスネオ、そんな印象だ。
それでもバルセロナ時代はなんだかんだで見ていて楽しい選手だったから好きな選手の一人だった。決して今も嫌いな選手ではない。
バルセロナ時代のネイマール見ていた時の自分
「対戦相手イッライラでワロタ、もっと時間稼げ、よっしゃPKゲット!」
今のネイマールを見ている自分
「はよ起きろや、このダイブ野郎!」
仮にバルサがPSGとCLで対戦するか、レアル・マドリードに移籍して同じことをバルサ相手にやったら手のひらを返したようにネイマールを叩くだろう。
カンプ・ノウで転げまわればフィーゴ以来2人目の豚の頭を投げられる選手になってもおかしくはない。
手のひら返しといえば最近少しずつ本田圭佑が再評価され始めている。
本田ほど手のひら返しをされたアスリートは日本のスポーツ史全体で見てもそれほど多くは無いはずだ。
手首がねじ切れてもおかしくない程誰もが手のひらクルックル、この試合を見て自分自身「本田ー!!はやくきてくれーっ!」と感じた。
なんか本田成分が足りない、結局やっぱ本田必要という印象を受けた試合だったとも言える。結局本田さんなんだよなぁ、というのがもう何年も続いている。なお本田が出場した過去のブラジル戦もしっかり負けている模様
わりとガチで本田の復帰はあり得るというか、実質ワールドカップメンバーに当確しているからハリルが別の選手を試すために今回招集は見送られたのではないか。
実際この試合を見た限りでは長谷部、井手口、山口の中盤で行くなら本田を中盤に入れても良いし久保と浅野もやはり右サイドの選手としては物足りない。
現実として右サイドで強豪国相手に突破力と得点力を最も発揮できる日本人選手は本田圭佑な気はする。武藤嘉紀のサイド起用も試してみて欲しくはあるけども、本田圭佑は瞬間的スピードが無いことで突破力が無いというイメージで語られすぎているように思う。
酒井宏樹というワールドクラスのサイドバックを活用する能力も本田にはある、酒井の能力を引き出すためにもかつてアバーテにアシストを量産させた本田圭佑は必要なのではないか。
本田は常に"逆算"していて多分ロシアワールドカップで活躍する計画を今メキシコの地で練っている最中だ。
「ワールドカップは直近1年間が全てだと言っても過言ではない」と語っていたけども、その逆算でメキシコのパチューカを考えに考えて選んで入団した。
30過ぎてからドリブル力向上に取り組んで有言実行する本田△(久しぶりにこのフレーズ)
???「アイツJAPAN復活は正解じゃないフシュー」
総評
欲を言えば冒頭のPK献上無しで見たかった試合、あれが無ければ展開は違っていた。
ただサッカーの世界ではこういうハプニングが起きてしまうのも事実で後悔はできない、特に数試合しかないワールドカップ本戦でこういうことが無いように修正する必要がある。
2回もPKを取られればゲームプランは完全に崩壊してしまう、南米に対するリスペクトや恐怖意識がハリルジャパンにもあることが分かったという意味ではいい収穫だった。本戦までに何回か南米の国と試合を組んで慣れていくことが求められる。
皮肉ではなく「課題が見つかった」という言葉が的確な試合だった。
スターティングメンバーの選考に関してはスタート時点では正解だった。
結局すべてが結果論で後から批判することは簡単、あの時点では守備的な中盤の3人に加えて原口のサイド起用というディフェンス重視の考え方をしつつ久保裕也の得点力にかろうじて光を見出すというハリルホジッチ監督の意図は理解できる。
相手が現時点で世界最強のブラジル代表という意味では間違った布陣だとは思えない。
ただ実際に試してみて原口と久保の両サイドが世界の強豪相手に渡り合えるかどうかには疑問符が付くような試合だったことは否めない。ベルギー戦どう修正して来るかは見どころ。
そしてとにかく今回ハリル体制になって以降初めての本格的な強豪国との試合で、それがしかもブラジル代表だったという点では「こうなるのは仕方ない」ということを代表ファンとしては考えたい。
これで単純に今の日本代表は駄目と判断してハリル解任論をヒートアップさせるようではいくらなんでも早すぎるし、もう少し強豪国との試合があればよかったという意味では協会のマッチメイクの問題にも発展する。アギーレが途中で解任されたという事情によってハリル体制に時間が無かった事も考慮に入れたい。
そして何と言ってもブラジル代表は凄い。
欧州サッカーファンにとっては日本代表の選手よりも常日頃から見ているという選手ばかりで、本気を出されていたら6-0行ってたかもしれないほどに実力差があった。
正確に言えば日本が弱いと言うよりもブラジルが強すぎる。
少し前まで決定的なセンターフォワード不在でジエゴ・コスタがブラジル代表を選んでいればとさえ言われていたのにガブリエル・ジェズズという選手が現れて、カゼミロという選手が世界最高のボランチにまで成長したことで弱点が皆無に近くなった。
欧州最強はコンフェデレーションズカップを3軍で制覇したドイツ代表だろうか、ロシアワールドカップではドイツVSブラジルという2002の再現が起きるかもしれない。
最後にちょっとだけ思ったのが南米の国がここまで苦手ならば本格的にコパ・アメリカに参戦したほうが良いのではないかという事。
ワールドカップ直後という強化にもならない中途半端な時期にアジアカップに参加するよりは、アジアカップを辞退してコパ・アメリカに本気で参加するということはできないのだろうか。次優勝したら殿堂入りという事にして南米対策のためにコパアメリカに注力したほうが長期的な強化策になるはずだ。
アジアの国は予選で何度も戦うのだからわざわざアジアカップにまで出場する必要があるのはかは疑問だ。
そしてあまりにも南米に慣れていなさすぎるというのは真剣に考えなければならない問題だと今回のブラジル戦を見て感じた。
次はベルギー戦、ここ数年欧州に大敗した試合はほとんど存在しないため対等に渡り合う展開を期待したい。