ついに今年の2018年FIFAワールドカップがロシアで開催される。
しかし正直なところ「ワールドカップムード」のようなものはまだ醸成されておらず、むしろ今年がW杯の年だと気付いていない人すら多いのが現状だ。
遡ればちょうど4年前の2014年は懐かしく、ワールドカップだけでなくソチ五輪も控えていたため印象に残っている人が多いのではないだろうか。
リプニツカヤの美しさが知れ渡り、羽生結弦が金メダルを獲得して、レジェンド葛西が伝説を作り上げたのがソチオリンピックだった。
一方で今回の冬季五輪&ワールドカップの年はどちらもいまいち冴えわたらない。
韓国の平昌オリンピックは相次いでウィンタースポーツの強豪国が外交の問題から辞退し、もはや韓国人ですら悲観し落ち込んでいる。
更にロシアワールドカップも、ロシア経済が見通しに比べて低迷したことであまり国際的な話題にはなっていない。
そして追い打ちをかけるように日本代表自体が同様に停滞しており、どうせ今回は期待できないだろうというムードが漂っている。
2010年の岡田ジャパンのように国民からバッシングを食らうならまだマシだろう、もはやハリルホジッチを批判しているのは完全にサッカーファンだけであり名前すら覚えてない人の方が多い。
興味も関心も無いというのは批判以上に悲しい状態である。
しかしあえて言うならば今回のロシアワールドカップは全くと言っていいほど期待できないわけではない。思い返してみれば2014年、日本代表が直前の親善試合で軽々と捻りあげ強化試合にすらならないと舐めていたコスタリカがベスト8に躍進した。
その後中南米の強豪国として数えられるようになった過程を振り返るともはや完全に日本代表と立場が逆転してしまっている。
そして期待されていなかったような国がグループリーグを突破したりベスト8にまで進出するようなケースはワールドカップの歴史を見ればいくらでも実例がある。
出場権を獲得した以上、そこに夢は存在する。
その夢すら見ることができない強豪国が今回の予選では続出した、それに比べればまだ希望の路程に存在するのが日本代表だ。
ポーランド、コロンビア、セネガル、決してグループリーグ突破が不可能だとは言えない組み合わせだ。このグループリーグをかろうじて勝ち点1差だけ上回るような奇跡の突破をして、決勝トーナメント初戦で延長線を終えてPK戦で何とか勝てばそれだけでもうベスト8が実現する。
これまで実現することができないと完全に諦めかけていたベスト8もよくよく考えてみれば絶望的ではない。
本田圭佑のいう「ライオンと勝負するわけじゃない、馬と競争するわけじゃない」を応用するのならば何も優勝しろと言っている人は誰もいない、ましてやライオンとの戦いに行って来いと言っているわけでもない。
ドイツ代表もブラジル代表も倒して最高の形で優勝しろとまでは誰も言わない。
ザッケローニ時代やジーコ時代のように「今の代表は最強、ベスト8な余裕で行ける」と調子づくべきではないが、過度に卑屈になり過ぎる必要もない。
アルゼンチン代表サポーターが「86年以来の優勝」やポルトガル代表サポーターが「ベスト4進出」を求める事が適切な目標設定ならば、日本代表サポーターがベスト8を要求することはそれほどおかしなことではない。
むしろ一国の代表を背負ってわざわざ海外に試合をしに行くのであれば、それくらいはして来いと言う気概があっても良いのかもしれない。
自分には甘いのに他者には厳しいと言われればそれまでだが、サッカーのワールドカップというのはそういう場でもある。
選手の立場としてもサポーターや国民が無関心ならば見返そうという気は起きない。
もはや弱いとさえ言われなくなり誰も見向きもしない状態というのは前代未聞だ。
前回大会のベスト8が夢見がちな期待ならば今回のベスト8は厳しい要求だろう。
逆に今度グループリーグ敗退という醜態を晒すのであれば、もはや日本代表という物を見切るというぐらいの厳しめの姿勢が必要だ。
もう日本は「感動をありがとう」という段階を卒業しつつある。