ここ最近のTWICEの勢いの凄さには、まさに「夢の階段を駆け上がっている」ような感覚があり、これぞアイドルだというキラキラ感がまぶしい。
TWICEというのはおそらく史上初の真の意味での「グローバルアイドル」であって、メンバー構成とそのブームが及ぶ範囲の両面で多国籍という意味では、実は歴史的な出来事をリアルタイムで今行っている。
大袈裟だと思うかもしれないが、TWICEというグループはやっていることを考えれば世界の芸能史に残ってもおかしくないような快挙を、現代のこの時間軸で行っているといっても過言ではない。
何気なくこのブームを今の時代に体感しているかもしれないが、これは音楽史を考えた時に数十年後間違いなく歴史の出来事として評価されるだろう。
TWICEというグループは様々な面で21世紀というものを象徴している。
これまで世界的な音楽シーンをリードしてきたのは間違いなく欧米であり、主に一つの国に出自を持つメンバーによってなりたっていた。
例えば誰もが知っているビートルズは全員がイギリス出身の男性メンバーであり、その後に訪れるOne Directionもまた全員がイギリス人であった。かつてマイケル・ジャクソンや北欧スウェーデンのABBAがブームを巻き起こした一方で、音楽の主役は東洋人ではなかった。
TWICEの何が異例中の異例なのかと言えば大きく4つに分けられる。
1:全員女性である事
2:欧米ではなくアジア出身である事
3:多国籍である事
4:インターネット時代に適応しているという事
この4つの要素はまさに全盛期には重視されていなかった事であり、逆に言えば21世紀の時代に重視されて行く事でもある。
この全てを兼ね備えているのがTWICEであり、これは単なる最近のブームとして片づけてよい問題ではない。
もはや歴史上の出来事をリアルタイムにONCEは経験している。
ガールズグループ自体はこれまでのエンターテイメントや音楽のシーンに度々登場してきたし、少女時代や東方神起のようにアジアのグループが世界を席巻したことは過去に実例がある。
韓国だけでなく日本や中華系であっても、アニメーションや香港映画のように、もはや東洋人が世界を舞台に活躍することは日常になっている。
しかしTWICEの新しいところは、アジアの中でも多種多様なルーツを持つグループから成り立っているだけでなく、なおかつそれが非常に好意的に受け止められているところにある。
日本、韓国、台湾の出身からなるメンバーが同じ夢を追い活動しているところに対して、これほど熱烈な視線が注がれるという事は、それだけ世界が国籍や国境の壁を越えて共同の目標に向かうという事に共感していることを示している。
そのコンテンツを受け止める人々の姿勢や感覚の変化自体が時代を象徴している。
そして何よりTWICEが支持を集めた理由の一つとして、コミュニケーションツールとして拡大傾向にあるインターネットを活躍の舞台にしているというところにある。
実際に日本のテレビ番組を見て、それほどTWICEが出演しているという印象を持つ人は多くないだろう。せいぜいコマーシャルが流れるくらいで、連日一般番組に出演しているわけではない。
その一方で、もはや現代の若年層はテレビを決まった時間に見るというライフスタイルではなく、スマートフォンで自分の好きな情報をチェックするという時代になっている。
特に韓国の場合日本以上に先にIT化を国策で行ってきたという歴史があり、ネット社会の到来は日本よりも早い。
そこをまさにTWICEのプロデューサーである、パク・ジニョン氏は理解しており「現代型のアイドル」をプロデュースする先見性があった。
様々な時代背景が今のTWICEの姿に重なり、社会学であり歴史学であり、そして文化論でもあり、そして若者論でもある。
TWICEの魅力が理解できる人と理解できない人の間にある物が何かと言えば、それは時代感覚の違いなのかもしれない。
その新時代の感覚を身に着けている人はこれらのことが自然に理解できるだろう。
TWICEというのはまさに新感覚と言って良いトレンドだ。
というよりも、「とにかく可愛い」と感じるかが新感覚であって、TWICEに違和感を感じず受け入れられること自体が現代感覚だとも言える。
アジア人である日本人、韓国人、台湾人が協力し同じ夢に向かう女性の姿が、アジア圏だけでなく遥か遠い海の向こうでも好意的に受け止められている、そしてその活躍を知る部隊がインターネットであるという現象はこれまでの音楽シーンに見つけることができない。
確かに一つ一つの事象は過去に例があるが、同時に進行するということはほとんどと言っていいほど過去に例がない。
なぜなら過去にそれらの出来事が複合的に発生すること自体が不可能だったからであり、逆に言えばその光景を見ることができる世の中になったとも言える。
そう考えると実はTWICEというのはいろんな意味で世の中の変化を象徴しているグループだと言えそうだ。
もしかしたら数十年後の音楽史では歴史を変えた存在としてTWICEの名が語られているかもしれない。