シーズン開幕後の不調を乗り越え、なんだかんだでまた決勝に駒を進めそうなのがレアル・マドリードで、CL第一戦1stlegで難敵バイエルン・ミュンヘンのホームで逆転勝ちを収めている。
更にバルセロナを破ったASローマに大差で勝利を得たリヴァプールが、決勝進出の可能性を高めている。
現在の状況をまず整理してみるとこうなる。
・バイエルン・ミュンヘン(ホーム)-レアル・マドリード(アウェー)
ファーストレグの結果:1-2
・リヴァプール(ホーム)-ASローマ(アウェー)
ファーストレグ結果:5-2
この結果を踏まえれば、アウェーゴールを2点も奪い取っている上に先勝しているレアル・マドリードが圧倒的に有利だ。
CL3連覇を狙うモチベーションに満ちているマドリー相手に、サンチャゴ・ベルナベウでアウェーゴールを奪い取るだけでなく、失点を抑えるというミッションは非常に困難だろう。
そしてリヴァプールは確かにアウェーゴールを奪われているものの、現時点で3点差の猶予がある。
何かしらの波乱が起きるとすれば、アウェーゴールという望みをつないでいるASローマに可能性があるがリヴァプールの勢いを食い止めるのは難しい。その一方でリヴァプールと言えば劇的な勝利の後に驚くような敗北をすることがアイデンティティであり、何が起こるかわからない。
UEFAチャンピオンズリーグに限らずサッカーの試合が順当な結果になることのほうが稀なので、実はというとバイエルンかローマのどちらかが奇跡を起こす可能性は十分にある。
ただしそれでも常識的に考えればレアル・マドリード対リヴァプールの決勝が濃厚だと言わざるを得ない。
そしてこの決勝の組み合わせは非常に面白く、スペインの伝統的なチームとイングランドの伝統的なチームの激突になることが予想される。
スペインにおいてレアル・マドリードが歴史的にも、実力的にも絶対的な地位にあったことは否定できない。
そしてリヴァプールもかつては歴史的な品格と、実力を兼ね備えていた名門クラブだ。
イングランドで最も勝ち進むべきクラブであり、実質的にイングランドプレミアリーグを代表するようなクラブが決勝に駒を進めたと言える。
サッカー史を紐解けば、実はリヴァプールこそがイングランドを代表する名門クラブである。
どちらも決勝に強く決勝でほとんど負けたことが無いレアル・マドリードと、かつてイスタンブールの奇跡を巻き起こしたドラマチックなリヴァプールの試合は非常に見ごたえがあるだろう。
昨シーズンがスペインサッカーとイタリアサッカーの激突だったと見るならば、今大会はスペインとイングランドの頂上決戦だ。
滅びたと思っても必ず様式美のようにはい上がってくるマドリーの生命力はもはや異次元でしかない。
そして長い時間を経てリヴァプールはまたかつての輝きを取り戻そうとしている。
サッカーファンとしても待望の組み合わせであり、現実に起こり得るならば今からでも待ち遠しい。
願わくばこの決勝戦が新しいサッカー界を象徴する物であってほしいと思う。
クリスティアーノ・ロナウド、カリム・ベンゼマ、ガレス・ベイルのBBCトリオが一時代を築いたことを否定するつもりは無い。
しかし今マネ、フィルミーニョ、モハメド・サラーという威勢の良い新星スリートップが台頭し始めている。
スペインの時代が長く続いたことは栄光の日々ではあるが、同時にそれが停滞となりつつあるのであるならば、新しい風を期待したくなる。
グレートブリテン島から吹く風が、フットボール界にもう一度新たなトレンドを吹き込もうとしている。
それを妨げる事は白い巨人にとっても容易ではないはずだ。