世間的にはそれほど注目を集めず、地味だと思われてきたワールドカップ後の日本代表が、この度南米の強豪ウルグアイと対戦した。
結果は4-3というスコアで勝ちきったものの、その内容は公平な視点で見ても圧勝の一言に尽きる。
正直なところこれが東アジアの国と南米の国の試合とは思えない程、日本がウルグアイを圧倒しておりもしかしたら更なる追加点もあり得る試合だった。
更に言えばウルグアイも決して手を抜いていたわけではなく、エースのカバーニはシュートを決められなければ地面を激しく叩き、ゴールを決めれば闘志と喜びを露わにしていた。
素直に言えば単純に「アジアと南米の力量の差が縮まった」という事に他ならない。
かつてアジアといえば南米を大の苦手としており、むしろ欧州の国々に比較的善戦するという傾向があった。狡猾でずる賢い南米の巧さに翻弄され、スタミナやアジリティで欧州には善戦するという構図から、むしろ南米の方がアジアにとって戦いやすい相手になろうとしている。
事実としてここ最近、日本と韓国が南米相手に勝利を収め続けており、もはやかつてほど南米への苦手意識は無くなってきている。
これまでは南米と言えば雲の上の存在だったが、今ではもはや追い付こうとしている印象の方が強い。信じられないことにもはや南米がアジアのお得意先となっているのだ。
もちろん南米ホームで戦った場合には違う結果になるかもしれないが、着実にその差は近づこうとしている。
大体この流れは日本の鹿島アントラーズがクラブワールドカップでコロンビアのインテル・ナシオナルに勝利し、韓国代表がコロンビア代表に親善試合で勝利を収めた頃ぐらいから始まっており、南米相手にもアジアは十分に戦えるという機運が醸成され始めている。
その後、ワールドカップで日本代表が公式戦でコロンビアに勝利を収め、ワールドカップの舞台でも勝ち目があるという可能性を示した。
コロンビア、ウルグアイ共に立て続けに日本と韓国に敗れ去り、ブラジルやアルゼンチンもかつてほど圧倒的な存在ではなくなりつつある。
個人の技術の差が戦術や育成の成長によって狭まり、なおかつビデオ判定によって以前ほど南米の狡猾さが発揮しにくくなってきているというのが大まかな流れなのではないかと自分は見ている。
これから南米の国々が強みとするのは試合運びの巧さといったサッカー的な経験に限定されるようになり、技術とフィジカルの差はかつてほど大きくはなくなろうとしている。
現に今回のウルグアイ戦を見ても、むしろ日本代表選手の方が華麗な南米人らしい技術を披露しており、特に中島翔哉のシザースは見事だった。
堂安律のドリブルも迫力があり、南野拓実の得点力も光った。
逆にウルグアイ代表はこれと言った見せ所も無く、得意のカウンター攻撃は迫力を欠き、要所では南米人らしいセンスを感じさせるものの全体の攻撃としては上手く機能していなかった。
さすがにウルグアイもアジアに二連敗となれば国民も許しはしないだろうはずで、この試合に勝つモチベーションは高かったはずだ。
しかし現実の結果として内容でも得点でも日本に圧倒され、このアジア遠征は二連敗で去っていくことになった。
サッカーファンならば南米人のアジアに対する差別的行為を嫌という程見てきた経験があるだろう。そういった過去を考えると、いよいよ南米がサッカーでもアジアに勝てなくなったという事実は感慨深い物がある。
むしろアジアにとってこれから難しい相手となるのは欧州であり、アフリカ系の選手を高度に教育して無尽蔵に投入できる西欧の国は今後強敵になっていくだろう。
南米に以前ほど苦手意識を持つ必要はなくなっているが、同時に欧州の壁も厚くなってきている。
それにしても今回二得点を決めた南野拓実は、笑ってしまうぐらいの超絶イケメンだ。
攻撃参加の意識も高くなおかつ見栄えがいいので、男女ともに見ていて楽しい選手だ。9番というストライカーの背番号がとてもよく似合う。
自分は以前から南野拓実は山崎賢人に似ていて、喋り方も顔も永瀬廉に似ていると思っていたのだが、まさかこれだけ代表で見た時が華があるとは思わなかった。
今の日本代表はとにかくギラギラ感があり、スピード感のある連携が非常に見ていて楽しい。
個人技でも連携面でも前に進む速さが特徴であり、アグレッシブな爽快感がある。
これほど攻撃的かつ野心的なサッカーをしている代表はこれまでなかったのではないか。
いよいよサッカーにもアジアの時代が来たか、そう思わせてくれる代表になろうとしている。