ついに本田圭佑の所属先が決まり、ボタフォゴ加入が正式発表された。
一度はオランダフィテッセに決まったものの、即座に退団が発表されて一ヶ月ほど経過したが今度こそブラジルに身を固めたようだ。
クラブ側は、ゲームボーイ版の初代ポケモンと組み合わせた映像を公開しており歓迎ムードだ。
これまで日本人選手といえば侍や旭日旗のイメージだったが、ポケモンのパターンというのは面白い。日本人のイメージとしてポケモンは度々使われるので、世界でポケモンが日本の象徴として認識されているということも嬉しくある。
まず今回の決定打が、現地サポーターの熱狂的な歓迎に本田が感動したからということで、これは欧州にこだわっていたスタンスを変える程のインパクトがあったと考えられる。
本田がフィテッセを退団したとき、ここでは本当に情熱を傾けられないというような事を語っていたが本田はパチューカの時を見ても常にモチベーション重視なところがある。
橋下徹との退団で燃焼が大事だと言われ、深く共感していたように、どれだけ本気で打ち込めるかということを求めるのが本田だ。だからこそ肩書はチャレンジャーなのだ。
本田のブラジル移籍は日本サッカーにポジティブな影響をもたらすだろうと自分は思っている。
ブラジルでプレーした有名な日本人選手としてまず一番に挙げられる存在はキングカズこと三浦知良だ。もっともカズの場合、無名時代に渡っているので有名選手がブラジルでプレーするというのは実質本田が初めてなのではないだろうか。
フィクションならば大空翼がブラジルからバルセロナに羽ばたいたが、今の時代南米から欧州に旅立つストーリーは日本では現実味がない。
どうしても欧州がゴールとなっている現代サッカーではわざわざ南米に向かうことがないと言える。高原直泰がアルゼンチンリーグに所属したケースはあるものの、ここ近年というよりも歴史上日本のサッカーファンが南米のリーグに注目した現象というのはほとんどと言っていいほど無い。
日本のサッカーファンはブラジルを神聖視しているわりに、案外ブラジルの全国選手権を見ない。精々コパリベルタドーレス杯くらいで、そもそも禄に中継していないので機会そのものがない。
正直に言えば欧州に行きそこねた選手か、帰国組、あるいは無名の若手くらいでマニアしか見ていないのが現状だ。サンドウィッチマンの富澤が南米サッカーマニアだという話は数年前にクラブワールドカップ特集で知ったが、メジャーな趣味ではない。
しかし欧州との格差が開いたと言われつつも依然として次から次に南米から名選手が現れる。
Jリーグとしてもそういう育成リーグを目指している、あるいは立場が似ているわけで一体何が違うのか、この原石の時点に秘密があるのではないかということを学ぶ必要があるのではないか。
加工貿易に対する原産地や第一次産業とでも言うべきか、とにかく素材という意味では一級品の南米、特にブラジルをより多くの日本人が見ることは大きな意味合いを持つ。
ブラジルという特別な存在は、日本のサッカーファンにとって聖地でもあり一度サッカー王国でプレーしたいという思いはサッカー人なら抱いて当然の感情だ。それに本田圭佑の場合2014年の悔しい忘れ物もある。
グアルディオラがリージョの指導を受けるためにメキシコに行ったように、探求というのはリーグのレベルや環境を超えることがある。イニエスタ程の選手でさえ、サッカーにおいてはマイナーな日本で新しい事を発見するわけで、無駄な国というのは存在しないと言っても過言ではない。
それゆえに本田ファンとしても日本のサッカーファンとしても今回のボタフォゴ移籍はいろいろな楽しみが想像できるわけで、この度自分はとてもワクワクしている。
日本人といえばサッカーが下手な人という意味合いだったカズの時代から、今や現地ブラジル人から日本人が歓迎される時代になった。まだまだワールドカップで上位に進出し超一流選手を輩出する段階には至っていないが、それでも目の肥えたブラジル人から加入前の段階で熱烈に求められる時代になったことは素晴らしい進歩だ。
ワールドカップで3大会連続でゴールとアシストをした選手は歴史上10人もいない。
そして世界で最も有名な日本人でもある。
日本のJリーグサポーターがセレソンに選ばれたことがないブラジル人であっても、多少の実績があれば熱狂するように、ブラジルの自国リーグサポーターからすれば本田は英雄になり得る存在なのだ。
ところで本田が公言してやまない東京五輪、7月24日からなのだがサッカー代表のメンバー発表を調べると前回大会は7月1日となっている。
つまり現時点から考えると5ヶ月が勝負の時間ということになる。
ロシアワールドカップの時も、時間はないようである、と語っていたように今回も無いわけではない。そして本戦でゴールとアシストを決めるのだから、本田ならあり得なくはないと思えるのだ。
もちろん現状選ばれない可能性の方が高いが、この5ヶ月楽しみは増える。それで今回は満足だと、本田ファン歴が長い人間としてはどっしり構えていられる。
ただ本当に何かありそうなのが本田だ。
北京五輪の時に後に金メダルを取るアルゼンチン代表のリケルメがどこにいたかというと、母国のボカジュニオルスで彼がメッシの力を最大限引き出してベテランと新星の融合で大会を制覇した。
久保建英や堂安律との調和があれば、今の停滞しつつある日本代表を逆転に導けるのではないか。大一番と大舞台に強い本田が入れば、非常にスペクタクルなスタイルでメダルを狙える領域に来る。
もちろんチームの崩壊というリスクもあるが、今の五輪代表候補は何かメンタルの部分で欠けている。現実でもそうだが一回り上の存在というのは時として非常に頼もしく心強い先輩になることがある。
イブラヒモビッチが加入したACミランもその典型例だ。
頼りない森保体制でこのまま突き進むよりはケイスケホンダだと思えるほど今の状況は厳しい。
南アは文句なしの救世主、ブラジルは戦犯、ロシアは評価はわかれるが自分は評価したい。
そして北京五輪では造反した。おそらくこれがサッカー選手としての現役最後の大きな大会になるはずだ。本田圭佑物語のサッカー編における最終章、終わりよければ全て良し、どっちに転んでも面白いことだけは間違いない。