elken’s blog

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三笘薫さん、ネイマールではなく無事宇佐美2世になる

アルゼンチン戦の三笘薫、サッカーファンの間で言われているほど悪くはなかったと思うが、まぁ「期待外れ」というか三笘バブル崩壊といった感は否めない。

 

自分自身評価はしていたが流石に「日本史上最高のドリブラー」は言い過ぎだと思っていた。

まず日本史上最高のドリブラー中島翔哉だ。親善試合とはいえA代表ウルグアイとコロンビアを弄んだ選手は過去に例がない。

U24で通用していない三笘薫はまだ全盛期の中島には追いついていない。無論、怪我して再び中東に舞い戻った現在の中島翔哉よりは上だが、全盛期の中島はFIFA能力値で加速やドリブルでは海外のトップ選手並に評価されていたのも事実だ。ゲームの能力値はデタラメだとよく言われるがある程度の指標ではある。

 

三笘は一戦目序盤にあった自陣でのボールロストで一気に弱点が出てしまった。これは自分も所詮ゲームではあるがドリブラーなのでその心理がわかるのだが、ドリブル自信ニキは今日はやってやるぞという気持ちが強すぎて余計なところでドリブルをしてしまう。

低い位置でドリブルし始める中島翔哉と違って三笘薫は判断がいいという触れ込みだったが、普通に中島と同じことをしていきなりピンチを招いた。

 

自分はあのシーンを見てむしろ宇佐美貴史のキャリアを終わらせた魔のドリブルを彷彿とさせられた。

当時自信満々の10代宇佐美がバイエルンのデビュー戦だかでサイドで必要のないドリブルして失敗し信用を失い懲罰交代されレンタルたらい回しの道を歩むことになったアレだ。

むしろ海外の方が失敗に厳しく、三笘は川崎フロンターレの環境では有能として、まるでチェルシー時代のアザールのように天才として重宝され多少の失敗も大目に見てもらっていたわけだ。

 

Jリーグの間合いやファウルの基準を利用したドリブルという意味でも宇佐美に似ている。

自分は先程FIFAをやっていてまさに自分の自陣でのロストから失点したのだが、これはゲームだから許されることであって、プロでは許されない。

中島翔哉セルジオ・コンセイソン監督に激怒されていたのを見てもわかるように本当に危険な位置でのロストというのはあってはならないことだと考えられている。

 

そもそもドリブルデザイナーの影響で昨今ドリブルが神格化され、かつてのリフティングのようにもてはやされているがドリブルは非常に効率の悪いテクニックだ。

 

4大リーグでは1試合で3回突破すれば一流とされるほど成功回数は少ない。90分もやって3回あれば良いという程機会が少ない。それでいて失ったときのリスクも高く、なおかつ格下にしか通用しない。

ドリブルは基本格上には効かない技術であり、クリスティアーノ・ロナウドはそれを多用しなくなったし、メッシですらインテンシティの高い試合では狩場にされる。

グリーズマンは「ドリブルのやり方がわからない」と言うほどテンポの早いスタイルを好む。

究極パスのほうが早いので無くても良いのだ。

よほど集中して適切な場所で的確な判断を早く行い、なおかつその後のプレーのための視野を確保しておく必要がある。

軽い気持ちでやってはいけないプレーだ。ドリブルの失敗で試合の流れ、自分のリズムが悪くなるどころか試合結果やキャリアまで左右されるほど重いのである。

 

三笘薫も今回のアルゼンチン戦きっかけに代表定着して五輪でブレイクして、華やかなキャリアを切り開くつもりでいたのだろう。

いわば筑波大学に進学して、フロンターレでデビューしてと5年温めていた計画だ。

 

そもそも本来、順当に去年開催されていたのであれば選ばれてすらいないだろう。五輪は18人からオーバーエイジ枠を引いて15しか枠がない。去年の現時点での三苫は有名ではあったがまだ今ほど騒がれてはいなかったし、五輪代表候補としてほとんど語られていなかった。

もしこのような事態になっていなかったらもっと代表戦もあったはずなのでお試しとしてもっと呼ばれていた可能性もあるかもしれないが、1年延期した恩恵を最も受けた選手である事は間違いない。

 

ただそんな5年の積み重ねと運が絶妙に組み合わさったとしても、たった2回のロストで信用を失う。

ドリブルやキープのロストというのはそれほど恐ろしい。だから厳しく言われる。

また、交代で入った相馬が活躍した上に不動のスタメン久保建英と相性がいいというのも持ってない。そもそも東京五輪世代の試合を見ていれば相馬はこれまでもかなり活躍していたので、はいスーパースターの三笘さんどうぞと簡単に譲ってもらえる席ではない。

だからこそ、ただでさえ三笘は年齢も若くはないし海外オファーがそれほど来ていない状況なので五輪でアピールすることは必須だった。

 

正直、自分は三笘が中村憲剛のように生涯フロンターレで良いとも思っていた。日本人選手が評価されにくい海外に行って労働者サイドハーフ魔改造されるより、Jリーグで無双して、それで相手のディフェンスのレベルも向上し、Jリーグの注目度も上がればいいと思っていた。

ただ、ドリブラーは本当に極めようと思ったらやはり海外の間合いを知ることは大事で将来A代表でワールドカップに出たいのであれば海外挑戦は必要だ。

大迫勇也は特に海外挑戦で頼もしくなったし、久保建英や冨安健洋、堂安律なんてすぐ海外行ってA代表でも通用している。

三笘薫が今回の挫折を味わい、そして彼らを見て何を思うか。

 

まぁでもある意味三笘薫の実能力が明らかになったことで、ファンとしても海外挑戦も気軽に見れるというのはある。本人にとってもいい模擬試験となり準備期間を得られた。

「日本史上最高のドリブラー」だの「和製ネイマール、ミトマール」だのと過剰に持ち上げられていただけに、通用しなかったときのショックは大きい。今回の試合でまぁそんなものかと思って気長に見られるようになっただろう。

 

宇佐美も危険な位置での無駄なドリブル挑戦とロストは新人には許されないという事前情報があれば違ったキャリアだったかもしれない。

 

遠藤保仁が言ってた。

「今の子は俺が俺がという選手が多いけど、もっと周りを使えば早いなと思うことはあります」

結局サッカーとは視野だ。視野があれば判断も多彩に、そして早くなる。ドリブルもいいところで使える。雨後の竹の子のように発生するドリブル塾ではそこを教えないというか、視野の訓練というのは難しいのだ。それは遠藤のように常に日常で間接視野を意識するというような習慣から培われる。チャビも幼少期のサッカーからすでにそういう視点を持っていたというし、セスクはスペースを見つける能力を評価され見いだされた。

 

ドリブル塾というのは一対一や集団でコーントレーニングをやらせたり、足技を教えればそれっぽくなるのでかつてのリフティング講座のように作りやすい。

逆に構築された陣形で通用するような視野を養う環境というのは用意しにくい。

弓道居合道のように一つの技術だけを抽出して実戦とは関係ない美術的な物を作り上げるのは日本人が好きなことなのだが、サッカーと武芸は違う。武道と武術、剣道と剣術の違いだ。サッカーは武術や近代戦闘術に近いものであって、ドリブル道などという武芸的な存在はあってはならないのだ。

 

そういった昨今の「ドリブルバブル」というものが三苫の評価をここまで大きくしたとも言える。もちろん彼の場合周囲を使う判断力や得点力といった今までの日本製ドリブラーにはない特徴があり、だからこそ労働者として埋没してきたこれまでの日本人選手とは違う役割を期待されている。今までは日本製ボランチセンターバックが通用しないと言われていたが今では欧州基準の選手が現れ始めている。三笘薫はそれこそF1で日本メーカーやドライバーが通用するような姿を見たいという浪漫を背負っている。日本製ドリブラーがヨーロッパ基準のドリブルを兼ね備えた選手に改造される姿を是非とも見たいものである。

 

自分はドリブルに関して口うるさいので「ドリブル」でも調べて過去記事を読んでもらいたい。ドリブルばかり考察しているからこそのドリブルのデメリットも強く言わなければならない。

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