この世界で最も美しいハンドガンを上げるとするならばCz75を上げるだろう。中欧の工業国チェコスロバキアが製造したそのハンドガンは今も人気が高く、高い名声を誇る。
非常に美しいデザインであり、製造工程も当時共産主義国であるため採算を考慮せずにつくられているため非常にクオリティが高い高級な製造方法で行われている。
人間工学にも基づいたデザインであり、スチール削り出し加工によって手に吸い付きフィットするような感覚を持つのがCz75だ。
世界中に輸出され現在でも出回っており、個人的にもいつか実銃を使用してみたいという程の憧れの銃でもある。
自分の場合エアガンで一応使用したことがあるがエアガンでさえもその持ちやすさを感じることができた。これが金属製の実銃ならどれほど持ちやすいのだろうかと想像せずにはいられない。
ひんやりとした金属が手に吸い付く感覚は言葉には言い表せないないだろう。
銃という武器だけでなく、工芸品や美術品としての価値もある。
冷戦時代にチェコスロバキアという工業国が作った、その浪漫と憧憬も感じる。
弾丸は実は西側基準に合わせて作られており西側でも使いやすい設計になっている。
元々チェコスロバキアはかなり高度に発展した工業国であり第二次世界大戦におけるドイツ軍の生産を支えた国でもある。戦車なども製造しており、過小評価されがちだが実はかなりの工業国なのがチェコスロバキアだ。
チェコスロバキアの人々には優れた美的感覚があるのだろうか。
首都プラハは世界で一番美しい風光明媚な都市とも言われ、人形劇のようなユニークな文化もある。チェコ料理は実は隠れた人気を持つし、詩などの文学の国でもある。
更にサッカーチェコ代表は一時FIFAランクで2位になったこともあるほどチェコがサッカーを席巻した時代もあった。ロシツキーやネドヴェド、ツェフのような世界的な名選手を輩出し革新的な国でもあった。プラハの春のようにいち早くソ連に反旗を翻そうとした国でもあり調べてみると非常に興味深い国もである。
1993年にチェコスロバキアが解体しチェコとスロバキアに分かれたがかつての栄光は今も色あせない。
日本ではなかなか中央ヨーロッパの文化について取り上げられることは少ないが文化的に成熟した国が多いのもこの地域の特徴だ。ドイツ文化やオーストリア・ハンガリー文化などがその最たるものでチェコやスロバキアもその影響を受けつつ独自の文化をはぐくんできた。
食文化や芸術文化に関してはオーストリア・ハンガリー系の影響を受け、軍事や工業に関してはドイツの影響が強いのがチェコスロバキアという解釈もできる。
Cz75をそういう文化的な視点で考えるならばオーストリア的な感性とドイツ的な工業技術のハイブリッドとも考えられる。ハンドガンの歴史に残るほどの名作銃を生み出した文化背景を遡っていくとそういう歴史の浪漫も感じる。
そう言った背景はともかく、やはり何度見ても美しい銃であることは間違いない。冷戦期のチェコスロバキアで人の手によって丁寧に製造されたクオリティを持ち、その時代の雰囲気を感じさせる。ある意味共産主義体制だから実現できたコストを考えずにつくられた銃でありクオリティの観点からすると間違いなく評価が高く、世界中のガンコレクターがいつか手にしたいと願う一品である。逸品というのがふさわしいだろうか。
もはや芸術や工芸の分野であり美しくかっこいい銃だ。自分自身ハンドガンの中では最も好きな銃であり、この独特な雰囲気の虜でもある。初めて見たときなその謎めいた姿でそれほど惹かれなかったが徐々に惹かれていき、今は最も好きな拳銃にまでなった。