韓国のガールズユニットTWICEに日本人メンバーがいることはよく知られている。
ミナ、サナ、モモの3人を合わせて「ミサモ」と言われることが多く、それぞれ本名は名井南(みょうみな)、湊﨑紗夏(みなとざきさな)、平井もも(ひらいもも)という日本人である。
また台湾人メンバーのツウィをここに加えて、「ミサモツ」と略されることもありTWICEの外国人メンバーは韓国本国でも新しい外国人アイドルの道を切り開きつつある。
最初韓国のガールズユニットにいて、メイクも韓国風である事や他の韓国人メンバーや台湾人メンバーと似ていることから誰が日本人であるかはわからなかった。
しかし徐々に慣れていくと不思議なことに日本人だということがわかるようになって来たり、そもそも日本語を話しているシーンも多く確かにこういう人周りで見かけたことがあるというような顔をしている。
見慣れれば明らかに言動も見た目も日本人で確かに韓国人メンバーや台湾人メンバーと違うことがわかるようになる。
そしてメイクやファッションも良く見れば日本風で、TWICEというグループにおいていいアクセントになっている。韓国人メンバーばかりだと従来のガールズユニットのように近寄りがたい雰囲気があるが、日本人メンバーが入ると韓国人メンバーの魅力も逆に際立つようになる。
自分がTWICEで好きなメンバーはむしろダヒョンとチェヨンという韓国人メンバーなので、決して韓国アイドルに否定的なわけではないが日韓台が一つのグループになることでそれぞれの魅力が増すことは凄く意外だった。
自分はサッカーファンでもあるので多国籍の選手が一つにまとまればそれぞれの良さを持ち合わせて素晴らしい物を作り上げる光景を何度も目にしてきた。
まさかそれがアイドルやガールズユニットというジャンルでも共通しているというのは凄く新鮮な驚きで、日本人メンバーが上手く溶け込んで魅力を発揮していることも嬉しいし韓国人や台湾人のメンバーも魅力的に見える。
最初日本人が韓国のグループに在籍しているという時、正直な話ちょっと偏見はあった。日本人っぽくない人なのかなという偏見や、韓国で嫌な思いしていないかなという心配があったのも事実だ。
しかしそんなことは完全なる杞憂でむしろ日本人メンバーが上手く溶け込んでいる上に、日本人らしさがいいアクセントになっていることに気付いた。
実際韓国でもミサモの3人は人気が高く、韓国人のファンにとってもう何度も見慣れたガールズユニットにはない魅力を感じているようである。日本人らしさが韓国人にとっても新鮮に見えるようで、これは自分がダヒョンやジョンヨン、ジヒョ、チェヨン、ナヨンを見て新しさを感じることに似ているかもしれない。
やはり最大の成功要因は関西人のノリが韓国でも十分に通用したところにあるのではないだろうか。関西人が持つ個性の強さが実は韓国ではちょうどいいレベルで、むしろ韓国人よりキャラが濃いレベルにすらある。
よく言われる面白エピソードとして「大阪のおばちゃんは関西弁で韓国のおばちゃんと強引に話ができる」という話があるが、リアルにそれをやって実現できているのがサナとモモの2人でありバラエティでも面白いキャラを発揮している。
一方でミナはその2人に比べると少し静かでむしろ3人で一番日本人っぽいのはミナかもしれない。クールなブラックスワンでありながら、バラエティになるとノリの良さも見せる。
それと同時に単に主張が強いだけではなく日本人的な気遣いができるのがミサモの特徴でもある。
TWICEが出演した番組でコンロで何かを食べるシーンがあり、そのコンロが少し発火したことがある。周りの韓国人メンバーがそれを気にせずに食べているときに、真っ先に吹いて消したのがサナだったというのが韓国で絶賛されているらしい。
このエピソードに重なるのがサッカー日本代表の本田圭佑が海外のリーグに挑戦したときの話だ。
本田圭佑は日本で王様キャラやビッグマウスキャラとして知られているが、その我の強さが外国人に押し負けない能力として発揮されている。その一方で日本人的な気遣いも決して忘れず、オランダリーグ時代キャプテンをしていた頃はその気遣いがチームを円滑にしていた。
ちなみに本田はガチガチの大阪人であり英語もなぜか関西弁に聞こえてくるぐらいである。
それで言えばサナの韓国語もどこか時々関西弁っぽいイントネーションに聞こえることがあり、それが韓国でも通用している秘訣かもしれない。
モモも日本語を話すとちょっとぎこちない時があるけれども、関西弁を話すとものすごくナチュラルで本当に関西人だと感じる。
日本の番組でミサモの3人が標準語で話した時ちょっとイントネーションが違うのは、彼女らが普段は韓国語中心の生活なことに加えて元々関西弁がネイティブだからだろう。
その関西的な要素でむしろ韓国人以上に韓国に溶け込み、その一方で日本人的な要素も発揮しているというのが韓国では新鮮な魅力になっている。
そして驚いたのが韓国は儒教社会だけあって、日本人メンバーが年上ならばしっかり「姉(オンニ)」として年下メンバーが慕ったり後輩を可愛がるような風土があるという事。
つまり日本人メンバーが韓国のグループで嫌な思いをしているということは全くなく、むしろ楽しそうに溶け込んでいる。
仮に日本のグループで韓国人メンバーが日本の後輩をイジる感じになったときはおそらく批判される可能性が高いが、韓国ではそんなことは関係なく日本人メンバーがお姉さんメンバーとして上になっても特に問題視されずに受け入れられている。
むしろミサモに関しては主力レベルでダンスも中心を務めているときがある。韓国人のほうが年下の妹っぽい小さいメンバーがいたり、逆に日本人の方がメインダンサーだったり従来のイメージとは違うところも面白い。
日本だと年下の妹っぽいキャラクターが人気になることが多いので、ミサモの3人はスキルの高さやキャラの面白さが評価されていなかったかもしれない。
国によって評価基準が違うことはTWICEを見ていて楽しい魅力である。
むしろ韓国人のほうが日本人以上に礼儀や上下関係を大事にしていたりするというのは自分のイメージと違っていて驚いたしTWICEを見ていていろんな発見がある。
これまたサッカーの話で言うとJリーグに来た韓国人選手は一見すると韓国サッカーのように日本人に反発的なのかと思いきや、むしろ礼儀正しく溶け込んでいることが多い。
サッカーにおいてキ・ソンヨンのような選手もいれば、本当に日本を大事にしてくれるパク・チソンもいるような話で、1人のイメージだけで判断してはいけないんだなと改めて感じたところがある。
実際TWICEの韓国人メンバーも面白い子が多く、自分はダヒョンの大ファンになってしまった。
いろんな国のメンバーがいるというのはまさに発見の連続だ。
そしてミナ、サナ、モモの3人のように意外な魅力を韓国で発揮する日本人がいる事にも気づいた。
日本人だから応援するとか韓国人だから応援しないという偏見で考えてはいけないんだなとTWICEを見て感じたことはとても大きな発見だったと思う。