最終的な勝利に向けて乗り越えなければならない状況というのは数多くある。
必ずしも一種類の苦難にだけ耐えればいいというわけではない。
重圧や緊張ののしかかる勝負とか、試合の中で負けかけていて相当がんばらなきゃいけないとかってのは辛い。
重圧のかかるや極度の緊張に襲われる状況というのは吐きそうになるくらい辛い。手や足が震えたり痺れたりする。
だけどそういう重圧のある状況にすらなれない状況がある。
たとえば怪我。
なんとか今年中に移籍しないといけないのに怪我してしまって頑張ることもできない
前半の活躍じゃ絶対移籍できない、遅れている、なんとかしないといけない!ってときにけがをしたりとか前半せっかくいい状況で来たのに怪我をしてしまって何もできないとか。
戦争だって実戦が起きて命の危機にさらされて精神がおかしくなりそうという状態も苦しいがとにかく勝たないといけない状況なのに援軍が遅いとか兵器が故障したり弾薬が足りなくて戦う事すらできないとか、そういう時に感じる焦りも辛いんだろうと思う。
つまり最終的な勝利に向けて戦わなければならないのは重圧だけではない、焦り、もどかしさ、遅いことへのイライラなどもある。
重圧や緊張とだけ戦っていればいいのならそれはむしろまだ楽。
実際はいろんな種類の感情と戦わなければならない。
怪我治るの遅いとか、怪我してしまったことへの後悔
サッカー選手が戦わなければならないのは試合中の緊張ばかりではない。
フォワードはゴール前の攻防の激しさとばかり戦っていていいわけじゃない。
外してしまった時の感情、ゴール前の激しさに負けてしまったときの情けなさ
そういう物ばかりではなく、とにかくボールが来ない、守備に追われる、そういうもどかしさとも戦う必要がある。
まだ重圧や緊張と戦ってる時のほうがマシだと思えるほど、こういう焦りやもどかしさは辛い。
それが怪我となるともっと辛いだろう。
なんとか戦って状況を変えなきゃいけないのに、それをする事すらまずできない。
こういうのはもっと再生医療が発展する、怪我が早く治るように医療が発展する、スポーツ科学が発展する溶かしていかないといけないと思う。
とにかく何とかしないといけない状況なのにそれができないというのは辛い。
スポーツ選手の怪我というのはそれが何か月も続く地獄である。
足踏みさせられる時間が続く。
こういった類の問題は難しい
リーグ戦の前半大活躍していた選手が怪我で急に離脱してしまう。
最初うまく行っていたことがうまく行かなくなることは多い。
前半強かったチームが失速したり、ゴールを量産していた選手が急に何もできなくなる。
昨シーズンの本田圭佑は開幕戦からロケットスタートだったが急にゴールからは遠ざかった。
ACミランも失速した。
もっとさかのぼれば、本田圭佑のキャリアを左右する怪我のあったシーズン
あのシーズン、前半CSKAモスクワで本田はゴールを量産しまくっていた。
この調子ならビッグクラブに移籍できるはずだと本人は信じていたはずだ。
しかし悪夢の怪我が起きる。
あれ以降本田圭佑は怪我で半年以上棒に振ってしまった。
それまであったパワフルなプレーはできなくなってしまった。
それが正解かどうかはわからない。
本田はプレースタイルを変更し、ACミランまでたどり着けた
本人や識者の中には怪我があったからこそ移籍できたという人もいる。
とくに本人の場合はそう言い聞かせないとやっていられない部分もあったと思う。
だけど実際にはブラジルワールドカップでは惨敗。
キャリアをかけて挑んだブラジルで惨敗してしまった。
そのショックは計り知れない。
もしけがを治す技術が発達していたらとか怪我が起きていなかったらとか想定すると、ひょっとしたら日本代表はブラジルで笑顔だったのかなとも思う。
とにかく何とかしないといけないのに、それすらもできない。
何とかしようとしてそこで失敗することならまだ耐えられるが、それすらさせてもらえないもどかしさはもっと辛い。
しかしこういう類の問題に忍耐強く耐えることも、実戦の緊張や重圧に耐えることと同じくらい大事なことなのである。
最終的に勝利に向けて耐えなければならないことにはいろんな種類がある。
本田圭佑の言う「忍耐」というのはそういう事も挿しているのかもしれない。
CSKAモスクワ時代の怪我で本田はそういう忍耐を身に着けたと思う
やらなければならないのにできない、そういう時はひたすらしぶとく地味に耐え続ける
そこでその足踏みがあったからこそよかったと思えるような考えを身に着ける、忍耐力を身に着ける、そういうことが大事なんじゃないかなと思う。
戦うことで味わう苦痛も乗り越えなければならないが、戦いすらさせてもらえない時に味わう忍耐も勝つためには大事なことだ。