主にプーチン政権の対欧米強硬路線に焦点を当てた番組だった。
全体の印象としてはプーチン批判の番組
ただ随所に出てくるロシアの言い分もわかると個人的には感じた。
欧米はロシアを押さえつけようとしすぎているのかもしれない。
日本には恐露症という言葉があるけど欧米もどこか本能でロシアを恐ろしいものだと感じている。
だから必要以上にロシアの台頭を怖がる。
「ロシアは恐ろしあ」 この感情が西側諸国は強すぎるのではないかと思った。未だに熊が暖かい場所を求めて南下、西進してくる感覚をロシアに対して持っている
西洋の対露意識はある意味では日本の露西亜への見方に通じるものがあると感じた。ロシアは周辺諸国への圧力を強める国とみられる傾向にあるが同時に彼らには彼らなりの考えがあるという見方も可能な番組だった
1:影の支援者マロフェーエフ登場
まず出てきたのがマロフェーエフというロシアの実業家みたいな人
この人がクリミアの時に支援していたとか、ロシア政府と深いつながりがあるという内容。
ざっくりいうとプーチンの犬である。
強いロシアを作って行こうとするプーチンの熱狂的支持者
クリミア独立記念パーティなどを主宰していた。
この人のインタビューはこの番組でちょくちょく出てくる。
フランスの極右政党「国民戦線」に対しても支持をしていると番組では報道していた
ロシアは欧米のナショナリズム回帰への動きを支持している。要するにこの人は右翼や愛国主義者、全体主義者としての思想に傾倒しておりロシアだけでなく欧州全土にそういう動きが広まってほしいと考えている。
とにかくアメリカ一極化を防ごうというのが狙いで、アメリカの犬になってるヨーロッパをもう少し自立させようという狙いがあるらしい。個人的にもやはりそういう西洋各国の列強が華々しく覇を競い合っていた時代が好きなのである程度の共感は感じた。少なくとも移民に蹂躙されるだけの西洋よりはよっぽどいい。
そしてここ最近プーチンのロシア国内での支持率が上がっているという事
支持率90%とあったが確かに最近そのニュースを聞いたことがある。
その時は嘘だろと思ったし政府の操作だと思ったけど、90%支持率はあながち嘘ではないと思った。とにかくロシアでは領土を取り戻した英雄でこれで一気に支持率が高まってるらしい。
ロシアの女子大生「日本でも北方領土を手に入れたら支持率が上がるでしょ?」
この言葉に自分は反論ができなかった。安倍総理が北方領土を取り戻したら日本での支持率はとんでもないことになるだろう。ワールドカップ優勝並に盛り上がるかもしれない。
そのため歴代最高の指導者という声もあった。クリミアの奪還はロシア人にとってそれだけの偉業だったのだ。プーチン以降生活も豊かになってる。
日本で考えると安倍総理が竹島や北方領土を取り戻し、経済発展もかなりすすめたようなものでそう考えると90%の支持率はそこまでありえない数字でもない。
しかも強い頼れる指導者像を打ち出している。この混沌の現代において人々は強い指導者を求めている。つい数年前までプーチンは独裁者という風潮があったけど、領土を取り戻すという象徴的なことをしてまた英雄に返り咲いたと構図だと思う。戦略的要所であるクリミアを無血で取り戻した英雄
その英雄が今強いロシアを煽っていっている
個人的にはここからロシアがぐっと来るのではないかと感じた。
2:ロシアは経済制裁の危機に立たされている
ただ実際どうするのかというのはある。
国力、軍事力の後ろ盾には経済が必要でその経済が今制裁されている。
この状況でプーチンがどう動くかという戦略にすごく興味がある。これがまさしく「プーチンの賭け」という番組タイトルの由来であろう
今更態度軟化させたら支持率は下がる。この救国の英雄路線でいくと支持率を維持できる。
しかし現実問題どうやって対抗するのか。中国と連携したり、どこか独立の動きのある地域を支持したりはしているが肝心のロシアそのものの力は上がっていかない。
これまでの経済成長も欧米と仲良くやっていたからできたと言えるが対立路線を強くし過ぎて経済制裁までされてしまった。
ただこれで引き下がると、やっぱりプーチンは欧米には勝てないという雰囲気になる。行き詰った指導者がさらに対外強硬路線に出るというのはよくありがち。独裁者は行き詰った局面をナショナリズムと戦争で煽ろうとする。なかなかこういう局面で撤退を選べる指導者というのはいない。
ここでプーチンがどうするのか。一見するとこの戦略はミスのように思える。
たかがクリミアを手に入れるため、ウクライナの欧米よりを防ぐためにここまで強硬になる必要性はあったのか。(ロシア人の価値観では領土こそ至上価値なので、西側の考えではなかなか理解できないが)
領土を手に入れたけど経済は失ったという構図に思える
こうの采配をどう見るか。今の時代に領土やナショナリズムは経済の重要性を上回るのだろうか?
もうプーチンとしても突き進むしかないのかもしれない。強硬路線で支持率を維持するスタイルは勝ち続けなければならない。止まってしまえばその時点で終わりの永遠と続く狂気のレース
経済を失ったことの代わりにわかりやすいものを手に入れないといけない。そうなれば突き進むしかない。
しばらく前までBRICsと言われてたけどもうロシアが経済発展の国というイメージはなくなりつつある。
やっぱりおそろしあな国、危ない国と思われ始めてる。
自由主義世界は再びロシアの危険性に気付き始めている
3:ロシアは常にわかりやすい悪役にされがち
ただ同時にロシアはすぐやってちょっとのことで怖がられてしまうという不利なイメージがあるとも思う。日本人だって領土を奪われているしロシアが歴史上やってきた悪行は紛れもない事実である。それゆえにロシアは悪役じゃないという主張も虚しく響く現実はある。
アメリカが何かしてもそこまで強硬な国だと思われないけど、ロシアはちょっと何かやるだけで言われる。世界がアメリカのジャイアニズムに慣れて感覚が麻痺してる。アメリカは悪いことをやってももはや目立たないが、ロシアが悪いことをすると過剰に報道され目立ってしまう。アメリカが世界のメディアを牛耳っているのは今更いうこともない公然に秘密だ。それ故にライバルとなるロシアは悪役として報道されやすい
同じことをしてもロシアのほうが悪く見られてしまう。
米国=良い奴、露国=悪者
これはロシア側から見ればなんで俺たちばかりとなるかもしれない。日本だってアメリカに悪役にされていた時代があったのでロシアが不当に悪役にされているという主張もわからなくはない
世界の恐露症によってロシアは自由な行動ができない。
何かやろうとすると弾圧される、アメリカ一極集中に立ち向かおうとすると出る杭が打たれる。ライバルとなる存在を何としてでも叩こうとするのがアメリカだ。このようにアメリカが既得権益を守るために過度にロシアを悪者扱いしているという見方もできる。世界はアメリカの支配に違和感を持たなくなっている、アメリカに飼いならされている、それをロシア側はアメリカおかしい!と言って変えようとしている部分もある。ロシア人がそれに対して被害者意識を持つのは仕方ない。自分たちは不当に弾圧されている、アメリカばかり良い思いをしている。そしてそれをプーチンが煽り「こういう時こそロシア人は団結しなければならない」と主張する。ロシア人はこういう危機の時に国を大事にする愛国主義の情熱を持っている。
もしかしたらロシアはもっと突き進むかもしれない
彼らはそういう国なのだ。
そしてそれに対してワクワクしてる自分がいないと言えば嘘になる。
ロシアについて何回か記事書いてるし上坂すみれみたいにロシア趣味がある。厨房時代から大好きな国がロシアなのだ。
ソ連時代にあこがれもある。
だからロシアもうちょっと強くなったほうが面白いし、そういうロシアを見たいというのもある。強くなきゃソビエトは面白くない
西側と強調して経済発展するよりも、多少経済捨てて軍事や強硬な外交を選ぶほうが露西亜っぽい。
単なる牙の抜かれたヨーロッパになるよりはそっちの方が見てて面白い。
ロシアまで西側の一員になったらそもそも東側がなくなってしまう。こういう悪役に自分は惹かれる。だからロシアにはそれを維持してほしい。結局自分が悪役好きすぎるんだよなぁ。
そしてそういう悪役から北方領土を取り戻してロシア人に蟹を取らせまくって日本人がロシア人の労働で蟹とか食べまくる展開胸熱。大規模コンビナートでロシア人が日本人のために現代版蟹工船みたいに働くとか面白いそう
とにかく普通の国になったら自分はロシアに興味を持たない。
ロシアウォッチャーとしてはもっと強硬なくらいの方がロシアらしくていい。
4:ロシア人にとって経済は最優先事項ではない
この番組でもアメリカの政治学者が言ってたけど「ロシアは経済なんかよりも国の安全、領土の保持の方が大事」という価値観がある。彼らにとって最も大事なのは領土であり国防
経済の方が大事だろという欧米人の価値観とは違う。西側の価値観とは真っ向から反する。流血の歴史があるからそういう価値観が遺伝子にある。
普通のヨーロッパ人や白人ではない。ロシア人はロシア人であり独特な民族。ロシア人を通常のヨーロッパの感覚で考えると大きな過ちを犯す。
ロシア人にはロシア人の哲学強烈な安全意識があの国にはある。露西亜人が過度に国の安全を意識するというのは何かの本でも読んだことがあるがあの国は不安を感じやすいのかもしれない。だから何重にも鍵をかけたり柵をする感じでで自分たちの勢力圏を広げていこうとする。
スペインやイギリスのような拡大意識、手に入れようという意識とは違って守るために拡大してく。あくまであの国にとって侵攻は利益の為ではなく国防のため。心配性であるが故に過度に領土を保護しようとしそれが拡大主義に見られてしまう。
このように自分たちの安全を確実なものにするために勢力を拡大していくという発想がある。
スペイン人は短絡的、あれが欲しいから!奪えば楽だろ!というラテン気質。だからあまり植民地しっかり開発しなかったしただ奪うだけだった。イギリスは確かに長期的な開発をしたただそれも「こうしたほうが効率良いしもっと奪える」という利口な発想、ずる賢いと言えばずる賢い。ラテンのスペイン、アングロサクソンのイングランド、スラヴのロシアはそれぞれ違う考え方を領土いう物に抱いている
英国は長期的に絞りつくすためにある程度与えるようなこともした。
露国はそういう楽観的なラテン気質とも、長期的な計算をするアングロサクソン気質とも根本的に異なる。スラブ気質とでもいうべきだろうか。ロシア人は単に不安なだけ。あくまで安全のため。
外からみればそうは見えないけど、ロシア人の価値観や立場ではそう見える。
ここが西側の認識とロシアの認識との乖離
西と東では大きく考え方が異なる
西側が思ってるほど悪気はないし、彼らなりにあれは正当な権利なのかもしれない。
それが西側から見れば凄い怖いことに見えてしまう。悪の侵略者に見えてしまう。そもそもロシアのやり方を侵略者とみてしまう事自体、西側にも心当たりがあるということ。あれが侵略に思えるような発想の仕方を西側がしている。
日本人としてはここを公平に見るべきだと思う。露国側でもない西洋側でもない、それが日本だが現状欧米寄りの考え方なのも事実。
欧米の考え方もわかるし、ロシアの考え方もわかる
日本人は第三者なのでどっちの考えも理解する必要がある。
いや現状北方領土を侵略されているので、これに対してロシア人はインベイダーやプレデターではないと思うのは無理かもしれない。日本人だって江戸末期から露国には怖い思いをさせられてきた
ただあれは侵略気質というよりロシアなりの安全保障気質なのである。
そこを理解すると北方領土問題の解決にも役立つかもしれない。
北方領土問題に関してはもちろん日本の物だと思ってるし個人的には南樺太まで取り返せと思っているけど(欲を言えば北樺太と千島列島も)、現状ロシアを追いつめすぎても危険だとは思う。ロシアを舐めてはいけないのは歴史の教訓だ
5:戦争とは複数の正義のぶつかり合いである
番組の内容の話に戻るが、先述のマロフェーエフ曰く「ロシアはアメリカと両手で抱擁しようとしたら裏切られた。」
ソ連崩壊後民主主義や欧米と強調し経済発展路線を選んだらいつのまにかロシアの力が弱まってNATOがロシアの国境領域まで拡大して来た。
この事実は不安になりやすいロシア人にとって「アメリカが迫ってきた」という感じるのは仕方がない。被害者意識を持つ理由には一理ある
これを危険なこと怖い事に思うのはロシア人の発想からすれば必然。外交問題は常にその国の当事者として想定する必要がある。こういう状況を見てると強いロシアを取り戻そうとするプーチンは頼もしく見えるかもしれない。露西亜人の思考から見ればこれは「プーチンは国を守るために頑張っている英雄」なのである
ガンダムSEEDのパトリック・ザラもコーディネーターからすればコーディネーターの権益や命を守ってくれる頼もしい指導者である。一見過激な思想も当事者からすれば勇気ある発言だ。世界中がそういった指導者を求め始めている。
ただその守ろうという意識が強すぎると何かをやりかねないという予測もある。
ZAFTやプラントは長年の被害者意識に加えて国防の観点から地球に進出していった。ガンダムSEEDは所詮フィクションだが歴史の本質と共通する部分はある
ロシア軍も被害者意識、安全保障意識をこじらせると何かをやりかねない。きっと世界中に軍を展開し本土の安全を確保できているアメリカがうらやましくてそうなりたいのかもしれない。もっと広い領域に軍を展開し本土の安全を守りたい。そもそもアメリカ人も実はああ見えて不安を感じやすい民族。銃を持つのも結局は保身のため。アメリカ人の理屈では攻撃のために銃を持っているわけではなく自分の身を守るために銃を持っているんだ。
米ロもお互いに自分の安全のためにあそこまで過剰に軍事力を持ってる。
その安全確保のために世界が犠牲になってると言えば犠牲になってる。それで安定してる部分もあるが。ちょっとこれ以上ロシア人が弾圧されているんだという意識を持つと本当にヤバイなという空気は感じる。それに対してまた欧米が「ロシアは強硬な路線に突き進んでいる!侵略意識を持っている!」となると、更にロシア人としては不安になり一気に軍事拡大へと突き進むかもしれない。彼らの中には不当に煽られているという被害者意識がある。
どちらから始まったともいえない悪循環がそこにはある。
ガンダムSEEDのナチュラル対コーディネーターもどちらから始まったなんてのは断定できない。自然といろんなことが積み重なっていった。なんとなく相手が怖いという事から全て始まっていくのだ。歴史上の戦争のほとんどがそうである。卵が先か鳥が先かというのと同じ。
ロシアが先に強硬になり始めたと決めつけるのは西側の身勝手。西側がロシアにそう感じさせる前兆はあった。ただ西側がそう感じ始める原因もロシアにあるし、その原因は西側が作ったともいえるし更にその原因はロシアに・・・という無限の矛盾
ロシアに恐怖を感じさせたのも西側であり、西側に恐怖を感じさせたのもロシアである。
露西亜と西側の関係は非常に複雑だ。
お互いが理解しあえないでいる。ぶつかり合う運命なのかもしれない。
戦争はどちらが悪とかではなくどちらにも戦う理由がある。どちらとも悪でありどちらとも戦争である。一方的な見方などできないし一方的な味方などプロパガンダにすぎない。このような状況ではあと2つ、3つ対立を呼ぶ決定的な切っ掛けががロシアと西側にあれば代理戦争くらいはおきてしまうかもしれない。
ここ最近の対欧米強硬路線によって第二次冷戦が発生。ロシアが支援するボスニア・ヘルツェゴビナにおけるセルビア人地区の独立問題などで代理戦争が発生。
そういったシナリオもあり得る。ロシアがこの世界秩序を変えようという事に強気ならば十分に再びロシアがロシア帝国、ソビエト連邦に次ぐ「ロシア版第三帝国」を目指すのではないか。
ロシア人にはロシアは大国であるべきというプライドがある
マロフェーエフ「ロシアは世界の舞台に華々しく復帰した。これからは世界のいろんな国が我々の助けを求める」
ちょっと前のロシアはまだ欧米と協調路線だったけどもう戻れない段階に足を踏み入れ始めている。ここからロシアが何をするか。ロシアウォッチャーとしてはそこが興味深い。例えば新兵器の開発はあり得るだろう。ロシアは常に軍事力を後ろ盾にする。
6:ロシア軍最新型兵器を続々と開発
そしてそれは実際起きた。対ナチス戦勝記念70年、つい最近新しい戦車が発表されたのはミリタリーファンの間では有名だ。
こういう記念式典で新型兵器を披露する姿勢は好きだ。ソ連時代の大正義感を彷彿とさせる。やっぱり帝国主義や覇権主義時代でこういう大規模な競い合いが起きてた頃なんだよなぁ。最近は歴史にワクワクしなくなったんじゃ~(結局大正義感が大好きなだけ)
披露されたのはT14アルマータという新型戦車。
このように新兵器はちゃくちゃくとできてきてる。最新世代のステルス戦闘機は既に公開されて久しい。ついに陸軍でも露軍は本気を出し始めた。
個人的にこのデザインはかなり好き。現代戦車で一番好きかもしれない。
この戦車は結構画期的らしい
・地上戦よりも対空防御を重視した次世代戦車
(制空権が不十分な状態でも展開できる可能性?)
・車体は他にも応用できる。装備を変更できる。ストライクガンダムがソードストライクになったり、ランチャーストライクになったりするみたいなもの?
ただロシアが本当にアメリカ一極の世界を終わらすというパラダイムシフトを狙うのであればそもそも現代戦で戦車に拘ることのほうが古い考えで、戦車という物をどうこうしようというよりも車を超えた陸上兵器を作らないといけないのかもしれない。
実際T14アルマータはコスト的に問題視されている。発想そのものは現代的で画期的だが軍事用品としては効率の悪い存在かもしれない。それにロシアが高度な発想などに淡わない。T34を量産しまくって国中から若者を狩りだすのがロシアンスタイルだと思うんだよね。
しかしそれくらいの大きなブレイクスルーを起こさない限りなかなかアメリカには立ち向かえない。その先にあるのは陸上兵器と空中兵器というものを統合した新しい兵器かもしれない。分けて考える時代から今度は統合した時代。あらゆる局面で使える戦術的に柔軟性の高い兵器
そういうのがその内できるんじゃないかと想像しているし、それを可能とした国が次の軍事的覇権を握るかもしれない。
それはもしかしてモビルスーツか!?
T14アルマータの車体共通化にはむしろ予算高騰の可能性にもなるという指摘もある。やはりコストで見ればT34を量産しまくる古き良きロシアンスタイルのほうがいいしそれで結局最後は戦争ン勝てばいいのだ。
ただ実際戦争になったときは使いまわせるし整備そのものは早くなる優位性はあるかもしれない。もしそうだとすればロシア軍は既に実戦を想定している
しかし個人的にこのアルマータに関してはパワーバランスを大きく変えるほどの物であるとは思わない。
実際に戦ってみたらどうかはわからないけがめちゃくちゃ凄いとは感じさせない。
仮にエイブラムスやレオパルドよりも強い戦車を作ったとしてもロシア軍の不利は変わらない。劇的にパワーバランスを覆すほどのものではないという印象だ。
ロシアは陸がかなり多いという事情や独ソ戦において戦車が大活躍して国防を達成したという歴史的経緯があり戦車信仰が強い。 しかし現代戦はもはや今はミサイルや無人機の時代へと移行しつつある。戦車に拘るのはかつての大艦巨砲主義と同じではないかとも思う。もちろん現代でも大事ではあるけど戦車の有効性が続くのはそれほど長くはないと思う。
オワコンではないけど、終わりかけてるカテゴリー。戦車=オワコン
依然として重要ではあるがこれからその重要性が下がることはあっても上がることはないと思う。重要ではあるが滅茶苦茶重要ではない
連邦がこれを覆すにはもっと画期的な何かを作るしかない。
ロシアならそういう事ができそうだしミリオタとしてはそこを期待してる。戦車ファン陸軍ファンは正直ロシア大好きであるし自分もその一人だ
ロシアはときどきわけわからない物作るからそれが面白い。その新しい兵器が第二次冷戦の時に発生した代理戦争で西側の兵器と衝突しそこでロシア軍側の優位性が示されれば一気にロシアは打って出るかもしれない。なんかそういうことにワクワクしてしまう僕は不謹慎でしょうか。
今時そんな近代のような戦争が起きるはずがないというのは西側の価値観
ロシア人の発想は西側の発想と異なる。彼らが何を大事にするか、どういう思考をするか。イマドキ大国同士の正規戦争は時代遅れ、それが世界のトレンドだがそれって西側オンリーの考え方でもあるんだよなぁ。ロシア人はそう考えていないかもしれない。今でもロシアの日常生活の動画とかとんでもないし「only in russia」というジャンルが流行るぐらい彼らは特殊で異質な存在だ
そこを見誤ると認識の食い違いが発生する。あくまでロシア人の発想という視点で考える必要がある。中国とロシアは依然として近代的な発想をする。近代というと新しく聞こえるがモダンというものはもはや古い時代を意味するようになってきている。現代は現代の発想にたどり着いているが依然として近代の思想が支配している地域が存在するのも事実。近代と現代の違いを理解しなければ現代史は理解できない。
7:ロシアは理解の範疇を超えている国
しかし実際ロシアが世界中にそうやって展開していくにはロシアの力は弱いのではないかという思いはやはりある。なぜここまでロシアが強気になれるのかがわからないし、現代において経済発展より立路線を選ぶのかというのはやはりどうしても不可解に映る。最近自分の中でロシアはG8の先進国なのではないかという認識が崩れ始めている。ここ最近やはりソ連だったのではないか感じることが多い。
軍事版ディズニーランド建設について過去に記事を書いたがウクライナ併合を見てもソ連みたいなことするし、個人崇拝の色も強くなってきている。
併合なんて言葉をまさか21世紀に聴くとは思っていなかった。併合という言葉は完全に近代史の物だと思っていた。しかもあれをソチ五輪期間中かそのちょっと前位にやったのである。ロシアの感覚はやはり現代のスタンダードとは異なる。
発展したロシアをアピールするいい機会にもかかわらず領土優先でソ連みたいなことをした。
これは理解の範疇を超えておりとんでもない奴らだと感じた。それがいいことだとは思わないけど現代においてそういうソ連みたいなことが見れるのはロシアマニアにとっては刺激あるニュースだったとは思う。何度も言うが自分はロシアが好きでありそういう発想にワクワクするタイプである。不思議でわけわかわからない国だから面白い。
そういう国だから本当にわけのわからないことをしでかす可能性は十分にある。この番組を見てて本当に強硬路線になってきているんだなというのを感じた。
まして経済制裁を受けている。個々で行き詰れば暴走する可能性は高い。
ロシア人の発想ならそこで行くかもしれない。プーチンとしてもそこでは引き下がれない。世界新秩序を建設したいという野望はあるはずだ。
経済弱くなってきてる一方でプーチンの権力は強くなってきてる。
こういう状況は典型的なやばいパターン
負の反比例が今の露西亜では起きており、歴史において数々の悲劇を生み出したパターンと奇妙なほど一致する
プーチン「不安はわかる、厳しい状況だ。しかし乗り越えられない者ではない大事なんはロシアを守ることだ。そのためには団結が必要だ」
この年の終わりにプーチンがした演説なんかそういう状況の典型的な演説
前述したように彼らは国防意識が高く国を守るというフレーズに弱い
ドイツやフランスに侵略された過去がある故に国防意識が高い。日本人にとっては理解しがたいだろうが本土が当時最強の陸軍国に攻められた感覚というのはロシア人のDNAを刺激し続けているのだ。国の本土に大群が押し寄せる感覚は日本人には理解できない物なのかもしれない。
経済危機、そしてその経済危機を打破しなければならないという意識=国防という大義名分、強烈な指導者の登場。日本ではあまりロシアのことを報道してないけど、こういうのを見るとロシアを軽く考えちゃいけない。何かが起こるかもしれない。
そうなればいよいよソ連復活である。経済捨てて軍事全振りの国家へと変貌していくだろう。前述のようにロシア人はさほど経済を重要視していない。
プーチンがロシアで突き進むために邪魔するものはもはやない。無敵のプーチン皇帝が新生ロシアを指揮していく時代。領土を無血で取り戻したことによる圧倒的な民意がある。領土は彼らにとって至上価値である。かつてヒトラーはズデーテン地方やオーストリアを無血で手に入れたことによって国を熱狂させた。
マロフェーエフ「ロシアは過去1000年必ず最後は勝ってきた。ロシア国民が団結すれば世界最強の国になる」
↑これ本当に言った
オバマ「ロシアは最近攻撃的」
アメリカ大統領がこういう発言をするのも無理はないだろう。
しかしプーチンはそのアメリカに対しインタビュー番組でこう発言する(意訳)
「あいつらの正当性ってなんやねん?誰が勝手に基準つくっとんねん。ワンマン主義はあかんで、ほんま混乱するだけ」
「偉大な経済大国だと偉そうにしとるのがアメリカや。手術みたいに介入して、失敗したわ、次行くわ、みたいにゆうとる」
世界の問題の根源はアメリカの独善的な正義感はあるという持論だ。
アメリカの弾圧に苦しむ人々から見ればプーチンは世界秩序を変えようとする解放者に映るだろう。そしてそのイメージ作りソ連がかつて西側支配に苦しむ国に対してやってきたプロパガンダの手法でもある。偉大なる解放者、新時代の創設者。それは革命の典型的な手法だ
彼はヨーロッパに対しこうも言う
「ヨーロッパは時代遅れ。冷戦終わったのにアメリカの子分みたいなことやってる。ロシアはソビエトやない。ワイらへの恐怖心を冷戦時代のように持ちすぎてるねん」
某アメリカ(誰がそのソ連を復活させようとしてるんですかねぇ・・・)
とにかくプーチンはヨーロッパ諸国に自立を訴える。未だに冷戦時代の構図のように欧州はアメリカにくっついている。欧州の中に一国でも見方を見つけたいのかもしれない。
かつて大国と言われたイギリス、フランス、ドイツにかつてのような栄光はない。単なるヨーロッパの一国に見える。
それに対しロシアは1つの自立した強国に見える。最近の欧州はどこもちいさくちいさくまとまって覇権を目指さなくなった。かつての偉大な大国だった過去に憧憬の念を抱く欧州人は多く存在する
そこに憧れるヨーロッパ人はもしかしたらいるかもしれない。最近EUという枠組みに異を唱える人は多くいる。EUはひょっとしたら泥船ではないか。実際にイギリスはEUから離脱し、ドイツはEUで弱小国のもたらす負の経済にうんざりしているしフランスはあふれかえる移民に辟易している。
やはり自分たちの国は自分たちで引っ張っていかなければならない。
そしてプーチンはそういった勢力を支援している。
前述したフランスの国民戦線への支援。欧州連合に疑問を唱えるフランスの国家主義政党
国民戦線の躍進はここ最近の欧州政治ではよく聞く話だ。かつて夢を見たヨーロッパという共同体の現実に欧州人は気づき始めている
プーチンとしてもヨーロッパに1つくらい同盟国を作りたいと思っているだろう。その国がどこになるか。
ロシアは歴史的に見てスパイを送って内部で対立させることが好きな国だ。スパイ大国と言っても過言ではない。欧州同士の対立を引き起こせば当然ロシアにとって利益やチャンスになるだろう 特にフランスは怪しい。フランスは過去にNATOを離脱したことがある。ド・ゴール主義という言葉があるようにフランスは自立を重んじる。
プーチンがアメリカに対抗する戦略を思い描くならばフランスの欧州連合離脱はその1かもしれない。可能性は決して高くないがフランスが欧州連合を離脱するのであればそれは歴史が動く時だろう。そして実際にイギリスが動いた。欧州は激動の時代へと向かおうとしている。
ボスニア・ヘルツェゴビナでセルビア系住民が独立を求めている動きがある
彼らの言い分は「クリミアみたいに助けてくれ」だそうだ。
これに対し歴史的に関係の深いセルビアはロシアを選ぶかもしれない。
NATO=クロアチア、ロシア=セルビアとなれば再びクロアチアvsセルビアの構図が発生する。
8:現代の国は大正義感を失っている
またロシアは対外戦略として中国と密接な同盟を組み始めている
ここ最近の中露関係はかなり良好だと思う。この番組でも中国との良好な関係を示すシーンがあった。中ソ対立の時代もあったが社会主義政権が崩壊した現代になって再びまた2つの大国が巡り合おうとしている。
冷戦時代、ソ連時代はそれほどには中国と仲良くなかったけど歴史上今一番中露関係がいい時期かもしれない。ソ連の失敗は中国との協調を上手くできなかったことが原因の1つのように思う。共産主義陣営で内ゲバしすぎた。共産主義という内ゲバの火種がなければこの両国は利害で一致する。
中国も領土問題でもめてる。強硬手段にでて西側から非難が来ればハブられたもの同士でもっとくっつくかもしれない。既得権益を破壊しようとする熱意が中露の両国にはある。言うまでもないが既得権益とはあの国だ。
中露共に世界から弾圧されているという被害者意識が拡大していけばプーチンという強烈な指導者の元行動に出始めるかもしれない。
プーチン=ヒトラー、習近平=ムッソリーニというのは飛躍しすぎた目測だろうか。アフリカなどの独裁者が中国の資金で中国と共にさらに独裁を強めていくという事実がある。関節支配でアフリカを手に入れることができればこの陣営が有利になる可能性もあるだろう。
いずれにせよ個人的にはロシアはもっと愛国心煽りまくってほしいと思う。なんだかんだでそういうことにワクワクするのが自分である。そういう意味でロシアワールドカップが楽しみ。どれだけ共産主義チックなイベントになるか。今の時代で大正義感ある煽動をしている国は限られている。そういう近代的な大国が今世界から姿を消しつつあり寂しい時代になった。
ヒトラーはベルリンオリンピックの成功でナチスの威光を示した。とにかく派手なオリンピックにした。
2018年のロシアワールドカップ、サッカーファンとしてはもちろんだがロシアウォッチャーとしても楽しみである。派手な意向を示すことは近代的で現代の今では遅れた発想かもしれないがなんだかんだでそういうことが華やかで楽しい時代だったと思うんだよなぁ。
ロシアが西側から脱却し独自路線を推し進め新秩序を建設していこうとする最近の世界情勢。ロシアがどこまでできるか、どういうことをしてくるか。
現状アメリカに対抗するビジョンがわからない、何を根拠にそこまでアメリカに対抗していってるのか。
だからこそロシアがどういう秘策をしてくるかが興味深い。
もしかしたら本気じゃなくて、見せかけかもしれない。
国内での自分の支持を高めたいだけ。それか今に基礎を作って二代目あたりに引き継いでいくという長期計画の可能性もある。
逆に急ピッチでここから一気に動きが加速する可能性もあるだろう。
クリミアをあっさり手に入れ民意も圧倒的。この状況でプーチンが大人しくしているとは思えない。プーチンの采配、ビジョン、いったいどういう物か。
どうなるか様子を見てみよう。