今レゴランドが批判の集中砲火を浴びている。
強気の入場料設定、あり得ないような飲食品のぼったくり価格、「子供の安全」と称して持ち込み禁止などが騒がれている。
その上ガラガラで駐車場やそこに至るまでのメインストリートはスカスカ、何もやることが無く帰路につくというなんとも哀れな状況である。
この騒動、それまで全く興味もなかったのに批判されたと知ったら批判しに集まる人がやってくるという炎上騒動の典型パターンである。正直言って自分もこのことを知るまで興味がなかったし叩かれてると知って興味を持ち始めた一人である。
まずとにかくレゴランド内で変える商品が非常に高い。
しかも食べ物が写真とあまりにも違い過ぎてぼったくりというかもはや詐欺の領域である。
それに加えて持ち込み禁止な上に、自動販売機も倍の値段設定。真夏にやってきた場合、値段を考えて気軽に変えないというのは熱中症につながるリスクもある。
普段の値段だったら買うけどちょっと高いしなぁと思ってこまめな水分補給を怠るというケースは考えられる。100円が200円になったところでケチるなよという声もあるかもしれないけどこの手のテーマパークは一人で来る客が全てではなく、家族連れも多い。
仮に4人家族で来た場合、ちょっと飲み物を飲むだけで1000円近く行く。当然ながら入場料も高いし、交通費もかかる。4人家族の場合合計2万5000円ぐらいの入場料に加えて交通費、駐車場代、行くまでの道のりでも何かを食べたり、帰るときも外食をしたりテーマパーク内でも持ち込み禁止のためにそのぼったくり食品を買わないといけない。飲み物だけでも1000円近い。
この強気の値段設定は皆足が遠のいてガラガラになるのも必然と言える。
もう日本が豊かだった時代は過去のことであり、今やどんな家族もカツカツの状況でやっている。そもそも結婚しない人が増えていて、数少ない結婚している人もカツカツの経済状況。
「テーマパークで休日を楽しむ幸せな家族」という理想像は日本から姿を消しつつある。
自分が子供のころはそうやって楽しませてもらったが、自分が子供を楽しませる側にはなれなかったという大人が今や大勢いる。
もう「家族」という当たり前にあったものも高級品になり、テーマパークは上級国民の象徴になっている。休日をワイワイとテーマパークで過ごす家族は間違いなく今の日本では上位層の貴族である。
そんな中で利益を出すためには強気の値段設定でなければ採算が取れないという経営者側の考え方も理解できる。昔に比べて人口が減り、家族でやってくる人が少ない。一人あたりからより多くの利益を出すしかないのである。すべてをタダでやっているわけではなく、経営にもいろいろお金がかかっている。
なんでも高い、高いと言ってしまい何も買わないというのは少し寂しな状況もである。日本人の価値観がお金を使わないことやお金がかからないことを優先するものになってしまえば、確実に世の中は寂しくなっていくだろう。
日本の景気が良かったころに今のレゴランドができたらおそらく、かなり繁盛してメディアでも取り上げられて連日大賑わいだった可能性がある
「テーマパークってそういうもの」という精神的な余裕があっただろうし、皆お金を使いたかった時代。今の時代のようにお金使う事は悪、高いことは悪という時代ではない。
なんでもコスパ重視や、無料でサービスを受けるというのが当たり前になってきた不景気時代の価値観がこういったネットで炎上騒ぎの象徴なのかなとも思う。
皆いけないし、行く家族もいないからネットで高い物を叩いて憂さ晴らしをする。そういう寂しい人間が増えたし日本人の心や価値観、金銭感覚が貧しくなってきている。そして実際に日本人や日本という国が貧しくなってきてもいる。
自分自身その一人だし「テーマパークってもう上級国民の物なんだなぁ」という嫉妬もある。「子供の安全のため」ともっともらしい理由を掲げて収益を上げるために強気の値段設定する行為はちょっと疑問ではあったし賛同しているわけではない。
むしろ自分の場合叩く側であるし、叩いてる人にも共感する。
ただ最近SNSの発展で少しでもユーザーや利用者に不親切なものはすぐに拡散されて総叩きに合うという風潮が行き過ぎてるようにも思う。
無料や格安で良いサービスを受けられることが当たり前になってて、ちょっとでも良くないと皆批判をし始める。
それで悪質なサービスが減っている側面もあるけど、あまりにもすぐ何もかもが叩かれすぎる現状ではもう何か新しい物を始めようという人が出てこなくなる。
結局このレゴランドガラガラ騒動は現在の世の中の象徴のような出来事だ。
・テーマパークにいける上級国民家庭が少ない。そもそも家族が減ってきている
・コスパ重視で少しでも高いとお金を使うことを避ける
・悪い物があればネットで拡散して皆で叩く、安くしろの大合唱
・そもそも皆お金が無くなってそれどころじゃないし、心の余裕もなくなってきてる。
日本経済や消費が落ち込み、貧困が広がり皆余裕がなくなっているんだなという実態が浮かび上がってくる。もうテーマパークや万博で盛り上がってた経済成長期や、バブル景気の時代や、そもそも家族というものが完全に過去の幻想でしかなくて来ている。
多分1970~80年代ならばレゴランドは物凄くヒットして、みんな高いとか気にせず大盛り上がりでテレビでも大々的に「流行」として報道されて、高い物もみんな同じように払ってるからと疑問視しなかった。
騙されてたと言えば騙されてたと言えるけど、多分そうやってみんな騙されててガンガン消費して、世の中のテンプレ的に過ごしてた方が個人も世の中も幸せだったと思うし景気もそのほうがよかった。
今の時代日本人が平均的に賢くなって良くも悪くも、個人的な主張ができるようになったり多様性が許されるようになった。その結果むしろ皆幸せじゃなくなった。
現代社会論になってしまうけど、今になってそういう昭和スタイルの生き方の方が幸せだったんじゃないかなぁと思う。
人生自由に選べるようになったけど、実は皆が与えられた人生を過ごしてたほうが幸せだった。「日本は最も完成された社会主義国である」ということを言われた時代のほうがなんだかんだで日本や日本人には向いていたのかなぁと思う。
よく昭和の映像で出てくる1970年の大阪万博、クレヨンしんちゃんの映画大人帝国に出てくるあの万博の時代の方が多分よかったしみんな幸せだった。レゴランドがガラガラになり、ネットで高いと総叩きにあい盛り上がらない、そしてそこに行く家族も予算も存在しない。何かで盛り上がるより何かを盛り下げる事にみんな楽しみを見出すようになった。こんな世の中に誰がしたのか、これで幸せだったのか。
今や平成生まれですら平成を叩き昭和を美化する時代。レゴランドがネットで叩かれる世の中より、大阪万博に日本中が憧れて輝かしい未来を思い描いていた時代の方が幸せだった。
確かに自分もレゴランドの値段は強気だと思う。
ただそんなレゴランドに不満を持ってる自分が虚しくもある。
レゴランドとしてもリーズナブルな設定でやったら間違いなく赤字だし、ボランティアでやってるわけじゃない。現代の入場者数を考えたとき効率よく利益を出さないといけないのは仕方がない側面もある。
いくらでも娯楽があふれていて、家で無料でできることも多い。この値段でゲーム勝った方が良いし、近くでかなりいい外食に行ける
他にコスパの良い外出先の場所は近くにいくらでもある。わざわざレゴランドを選んでいく人は数が少ない。だから数少ない来る人から少しでも利益を出すという考え方になってしまう。
娯楽が溢れすぎてなおかつ不景気という中で、黒字経営をしようと思ったらレゴランドのやり方は理解できる部分もある。
しかし貧しいという感情がその理解を上回る。
「お金も家族も未来もない、じゃあネットで高い物を叩こう、叩いてる時は仲間ができた気がする。」
こういう人が今増えてきているし、自分も正直に言えばその一人になる。
叩いて興奮した感情になる感情になったり、満足したりするけど、それは虚しくもあるし何の希望も感じない。確かにレゴランドは高いけども、それを許せる心の余裕があった時代や、高い物をかっこつけるために買うという時代の方がよかったようにも思う。なんでもコスパとかそれって必要ないと考えるような世の中って華やかさはないしつまらないし、未来もない。ハロウィンが叩かれたと思ったら次はレゴランドが叩かれる。ネットというのは何かの盛り上がりを叩くツールになってしまった。性格に言えば何かを盛り下げる事で盛り上がる。レゴランドに行くのは高いけど、レゴランド叩きはタダできできるしそっちのほうが楽しいという世の中になった。
コスパが悪い物がすぐ叩かれる時代ははたして本当に幸せなのかと考えさせられるレゴランド強気騒動であるように思う。