elken’s blog

ジャニーズとサッカーを中心にあらゆることを評論するブログ

サッカーが弱い国の特徴とは何か

サッカー強化策を考える上で、強い国が強い理由を考察するというアプローチは多い。

その一方で弱い国が弱い理由をあまり考える事は少ないように思う。なぜ弱いのかという理由の逆を考えれば強化策のヒントが見えてくるのではないか。

 

もちろん全く聞かないわけではなく、そういう考察や理論を見かける事もある。

そういった中で何度か見てきたいくつかの仮説について考えてみたい。

 

1:旧社会主義国弱い理論

これは良く聞く理論で何度か自分も興味を持って考察したり調べたことがあったりする。

旧社会主義国と言えばオリンピックの場では圧倒的に活躍しているが、これは国家政策や国威発揚が目的だったから結果が出せたと言われている。

そしてそういう社会主義国的なエリート教育では自由なサッカーには対応できないという理論だ。

 

ただこれには反論があり例えばソ連は球技のアイスホッケーで強かったが、ホッケーの時だけ自由な発想がありサッカーの時だけ硬直した思考になるというのもおかしな話であると言われていて自分は納得した。

またハンガリーはかつてマジック・マジャールとして知られた強豪国であり、ドイツに決勝で負けていなければワールドカップ優勝経験国だった国でもある。

プスカシュ賞で有名なプスカシュはまさに社会主義時代の選手だ。

 

更にブルガリアもアメリカワールドカップではストイチコフを擁し躍進し、旧ユーゴスラビア代表も全盛期はストイコビッチ、サビチェビッチ、ボバン、プロシネツキのようにタレント軍団だった。

またユーゴ崩壊後においてもクロアチアは最高成績の3位をフランスワールドカップで残しているし現在でも強豪国だ。

旧ユーゴの社会主義はソ連型社会主義とは異なり東側とも距離を置いていたのは事実だが、いずれにせよ社会主義国であったことは間違いない。実際ユーゴスラビアリーグは当時28歳以下の海外移籍を禁止しており、それゆえに優れた選手が育ったとサビチェビッチは語っている。

 

またゲオルグ・ハジを擁したルーマニアも一時は隆盛を誇った時期があり、ウクライナもシェフチェンコを擁し最近ではヤルモレンコがブレイクしている。

一時FIFAランク2位に上り詰めたチェコも実はチェコスロバキア時代は社会主義国だった。そして現代も片割れのスロバキアは近年激戦区のヨーロッパ予選を突破しW杯常連国となっている。現在ナポリで活躍中のハムシクもスロバキア代表であり、地味に凄い国でもある。

ロシアも代表を見る限りテクニカルなサッカーをしており、ロシアリーグもヨーロッパの舞台において一定の地位を誇っている。

 

その一方で飛び抜けた強豪国が無いのも事実で、西欧や南欧に比べると格が落ちることは否めない。更にハンガリーやルーマニア、ブルガリアは現在それほど高い実力を誇っておらずバルト三国やベラルーシ、ジョージアもそれほどの存在ではない。

また西ドイツと東ドイツの比較は最もわかりやすく、ドイツ代表のワールドカップ優勝はほとんど西ドイツ時代の物であり、旧東ドイツ地区に本拠地を置くブンデスリーガのクラブは少ない。東西ドイツ統一以降の優勝はブラジルワールドカップまで待たなければならなかった。

社会主義の優等生と言われた東ドイツはむしろオリンピックにおいてドーピングでメダルを荒稼ぎしていた闇の時代がある。

 

アジアの旧社会主義国で言えば中華人民共和国が代表格であり、実際彼らは現在「屋根から作ろうとしている」と度々その強化策を批判されている。

メダルを獲得して国威発揚を実現するという考え方で、先に結果が目標に来てしまっていて大切な本質を見ていないことも事実だ。

社会主義的なやり方で失敗している実例はまさに中国だろう。

ただアジアの社会主義国では北朝鮮代表が実は過去に1966年ワールドカップでベスト8に進出しており、純粋な成績で見た場合アジア最高成績だと言える。

 

社会主義国の欠点が政治に左右されやすいところで、国家予算が下りなかったり政治的な問題が起きた場合にダイレクトにその影響を受けてしまうところにある。

政治とは無関係にサッカーが定着して本当に親しまれているかのほうが重要なのかもしれない。

 

2:北国や寒い地域弱い理論

広義の意味で南と北どちらがサッカーが強いかと言われれば圧倒的に南の国が強いだろう。

ロシア、カナダは典型例でウィンタースポーツの時のような圧倒的な強さは誇っていない。カナダ人は「アイスホッケーだけは絶対に負けるな」という自負があるらしく、雪国ではウィンタースポーツが国技のような位置づけになっているところが多い。

 

スウェーデンとデンマークはそれなりに強いが、実際2010年南アフリカワールドカップでは日本が圧勝しており日本より絶対強いと言い切れる国は存在しない。

フィンランドとノルウェーはサッカーではそれほど存在感が無く、北欧に強豪国は不在だ。

また北欧には裕福な国が多く、レジャーが充実しているというのも大きいのではないか。そして冬場は雪が降りサッカーどころではないというイメージもある。北欧はヘヴィメタルが人気だとも聞くが、それは雪に包まれた冬のストレスを発散する目的らしく彼らの文化は積雪と深いかかわりがある。

 

南北問題でいえば裕福な国かそうでない国かという問題もかかわってくるのも事実であり、南米が強いのは貧困の中でサッカーしかすることが無いという理由もあるだろう。

いずれにせよ北国でサッカーが強いケースはあまり見かけないことは間違いない。この仮説に関しては一定の法則があることは確かだと言えそうだ。

 

3:農耕民族弱い理論

サッカーは狩猟であり、ゴールという獲物を狩るスポーツでもある。

イブラヒモビッチやルイス・スアレス、サミュエル・エトーを見ていてもまさに彼らはハンターであり狩猟本能を全開にして戦っているからゴールを奪い取れる。

 

逆にアジアの国々がそれほど活躍できていないというのはフィジカルの問題よりも温厚な農耕民族だからという理由もあるだろう。

血気盛んなバルカン半島系の選手やその移民が世界中で活躍している姿を見ると、大人しい民族よりは間違いなく血の気の多い民族のほうがサッカーに向いていることがわかる。

スペインは南米を徹底的に植民地化させた歴史上最大級の侵略国家であり、真面目で実直に見られているドイツも二度の世界大戦を引き起こしている国である。

 

日本は一見すると鎌倉武士や戦国時代の島津家などを見ると戦闘民族であるように思えてくるが、大部分は農民で戦後は平和主義を掲げている優しい国でもある。

太平洋戦争においても結局ドイツと違い本土決戦を回避しており、日本最大級の戦いと言われる関ヶ原の戦いも規模としてはそれほど大きくはない。

 

荒々しい民族になってまでサッカーを強くするべきだとは思わないが、荒れた国や狩猟民族の国が強いというのは一理あるだろう。

ラテン系の人々を見ればわかるように彼らはとにかく感情的でエゴが強い。

サッカーというのはそういう人たちが向いているスポーツであるのは事実だと言える。

日本でもサッカー部は基本的に他の部活動に比べて大人しくない人たちの集まりであり、狩猟本能や攻撃本能の高い血気盛んな人が向いていることは間違いない。

 

そしてその日本のサッカー選手ですら海外に行けば大人しくなる程もっと陽気で血気盛んな選手がたくさんいるのが世界のサッカーでもある。

端的に言えば更にイキるぐらいじゃないと世界に対抗できないし、狩猟本能や闘争本能を全力で引き出すぐらいにならないと紛争や内紛を経験してきた国には敵わない部分はあるのではないかも思う。

 

4:サッカー熱が無い国弱い論

一番の理由は正直その国がサッカーを本気で好きかどうか、それに尽きるのではないか。

例えばエチオピアやケニアというのは陸上を見ても分かるようにフィジカル的には間違いなく優れている。マサイ族という勇敢な戦士がいるケニア、アフリカが続々と植民地化される中で独立を保ち続けたエチオピアは間違いなくサッカーの才能があると言える国だ。

南方でありフィジカルは申し分ない、そして狩猟本能を兼ね備えている。

そんな国がなぜサッカーで弱いかといえば、簡単な理由でサッカーがそれほど好きではなく本気でやっていないからだろう。

仮にエチオピアやケニアにサッカーが定着すればガーナ、カメルーン、コートジボワール、ナイジェリアに迫るアフリカの強豪国になってもおかしくはない。

 

また騎馬民族でありかつて世界最大級の領土を誇ったモンゴルも、日本の大相撲を見ればフィジカル的に優れている国だと考えられる。

朝青竜がサッカーをやっている姿を見て、中田英寿は「彼がセンターフォワードならポストプレーが上手そう」と語っている。

エチオピア人やケニア人は陸上選手を目指したほうが稼げるし、モンゴル人は相撲力士を目指したほうが出世できるという経済的でリアルな事情もある。サッカーに向いている要素が揃っていてもサッカー熱が無ければあまり強い国にはなれないと考えることができる。

 

逆にウルグアイやクロアチアのように領土も人口も経済規模もそれほど大きくない国であっても、サッカー熱が高ければそれらを覆して強豪国になれる。

サッカーは金でも国力でもない競技だ、日本はもう一度そのことを考え直すべきなのかもしれない。

サッカースクールが続々登場して習い事として人気になり、今ではスポーツの中でも特にお金がかかる部類になっている。競技人口で見ても日本は世界屈指の登録人数を誇り、世界3位の経済大国で1,2を争う人気スポーツとして力を入れている。

それにもかかわらず大きな結果が出ていないというのは何かが間違っているのかもしれない。

 

www.eloratings.net

ただ悲観しすぎることもない、なぜなら日本はそこまで弱い国でもないからだ。

日本サッカーは弱いとよく言われるが、FIFAランクより信憑性が高いと言われるイロレーティングでは実は29位と健闘している。これだけ広いサッカーの世界で30位前後というのは決して悪い数字ではない。

学校のテストで200人の学年があって30位だったらまぁまぁ優秀な方である。100人の学年だったら15位というのは中々勉強ができる部類だ。

更に世界にワールドカップでベスト16を2回達成した国があるかと言われればそんなに多くは無い。

これだけ欧州に選手を送り込んでいるアジアの国は日本しか存在しない。イランや韓国も一部の突出した選手を除いて欧州に万遍なく選手が在籍しているという状況を創り出すことはできていない。

 

正直なところ裕福な国でサッカーを真剣にする必要が無く、サッカーが圧倒的に一番人気というわけでもなくそして農耕民族でありフィジカル的には黄色人種というサッカーに向いてない要素がオンパレードにもかかわらずこれだけ健闘している国というのは非常に珍しい。

 

冷静に考えればサッカーここまで向いていない国も無いにもかかわらず、それなりに強い日本はそれほど悲観すべきではないようにも思う。

欠点が多い選手ほどその欠点を補う長所や工夫によって活躍しているように、サッカーに向いてない要素を逆にチャンスに変えれば日本という国はまだもっとサッカーにおいて発展していけるのではないのだろうかと自分は思う。

note.mu