世界一かっこいい大学と言えばハーバード大学やケンブリッジ大学だろうか。
いや違う、モスクワ大学こそ世界一かっこいい大学であると自分は思う。
ロシアの最高学府でありいわばモスクワという首都に存在する為ロシア版の東大のような存在であり、旧ソ連時代は東側諸国の中で著名な留学先として社会主義陣営の中でも最高学府と言ってもいい存在だった。実際中国や北朝鮮、東ドイツの高官でもモスクワ大学にソ連留学に行っていた人が多い。社会主義の最高学府ともいえる存在がまさにモスクワ大学であった。社会主義陣営の人々にとってまさにモスクワ大学は憧れであった。
更になんといってもその建築デザインが非常に美しくかっこいい。この圧倒的な姿は社会主義圏以外の人の憧憬すらも呼び起こす。スターリン様式という建築方式で旧ソ連時代にソビエト連邦で流行った建築様式だ。このころのソ連は社会主義の浪漫を全力で追い求めていた。大正義感のある巨大な建築にはまさに社会主義の浪漫を感じる。そういった社会主義浪漫を感じる人ならばモスクワ大学はかっこいいと思わずにはいられない。
モスクワ大学自体は1755年の創設だが現存する有名な校舎はレフ・ルードネフによって1953年に完成した。まさにスターリン時代の象徴ともいえる建築と言える。スターリン様式は未完成の物や計画予定の物も含めれば非常に巨大なものが多くソ連がより発展していてそれらが完成していたらモスクワは社会主義の都としてより華やかな存在になっていたかもしれない。そういう時代の浪漫や憧憬、旅情を想像するのもまた楽しい。
そしてそのモスクワ大学が社会主義陣営の中では最高学府であった時代があった。社会主義ソビエトの最高学術研究機関として存在した大学としての魅力は憧憬心を揺さぶる。あの時代にロシア語を学ぶためにモスクワ大学に留学した日本人も少数だが存在する。モスクワ大学をはじめとしてロシア留学を果たした人を尊敬せずにはいられない。
ソ連が実在した時代にソビエトの最高学府で勉強をする、その姿はただひたすらかっこいい。当時のソ連の雰囲気の中でどのように学問に打ち込んだのだろうか。激動の時代に異国で勉強をする、その体験は衝撃的だったに違いない。ハーバードやケンブリッジも素晴らしいがやはりモスクワ大学独特のかっこよさに憧れずにはいられない。
雪の降るモスクワで激動の時代を体験したかった。
そしてモスクワ大学は今も存在する。
自分の人生で別の人生があったとするならばモスクワ大学へ留学してロシア研究に携わりたかったという思いがある。高校時代に真に憧れたのはこの大学だったかもしれない。もっと早く憧れていれば夢をかなえられたかもしれないし、もしロシアに憧れる中高生がいるならばぜひともロシアの大学に留学する夢をかなえてほしいなと思う。東側に憧れた身として本気で研究するためにロシア留学を目指しておけばよかったなと今になって思う。その結果留学できなくてもたとえば日本の大学のロシア語学部などに入ればそれは十分凄い事であるしそこからロシア留学の可能性も見えてくる。
現実として日本でロシア語の重要度は高くない。よほどロシア文化やソ連文化に興味がなければ実用性がない趣味の領域だ。翻訳の仕事もそれほどないし、通訳の需要もほとんどない。ロシアで日本人や日本語教師として働くルートもあまり確立されていない。ロシア語をマスターしたからといって将来が安泰かと言えばそうではないのも現実だ。
しかしそこには浪漫がある。本気で好きな外国について極めれば新しい仕事や活躍の場も見えてくる。ロシア語も工夫次第では十分に活用できるしその言語を使う文化圏は非常に多い。中央アジアでもロシア語は通じるしロシアという国はこれから存在感を高めていく大国でもある。そして日本の隣国でもあり、ロシアにおける日本への興味も高まっている。日露はお互い独特なエキゾチックな国として興味を抱いている、それゆえに今後ロシア留学を果たした人が日露の新時代の懸け橋になるかもしれない。
「モスクワ大学かっこいい」なんとなくそう思ったことから真剣に勉強をし始めた人がいつか日露の新時代をもたらす日を期待せずにはいられない。