韓国といえばガールズグループが盛んであり日本のアイドル文化の代わりにガールズグループの文化がある。
日本はアイドル市場が多様化しておりもはや3次元に限らず2次元やゲームのアイドル市場まで豊富だが、韓国はガールズグループに人材が集中している。
そのためレベルは非常に高く正直な話贔屓目で見ても日本のアイドルではレベルが違うと言わざるを得ない。とくにダンスミュージックやダンスのスキルは大きな差がある。
正直自分はAKB48系列も好きなので韓国の方を上げたて日本を下げたいというわけではなく単に求められるものの違いが大きく表れていると言ったほうが適切だろう。
日本人のレベルが低いというわけではなくむしろTWICEを見るとモモとサナ、ミナのレベルは非常に高く日韓で求められるものの違いが存在するということを意味する。
TWICE韓国人だけでなく日本人と台湾人も在籍しているがそれぞれにレベルが高い。
これは日本のサッカー少年が日本で育成されるから世界レベルの選手にならないだけで、例えばスペインで育成された久保建英は育成年代の日本でも飛び級の扱いを受けている。
教育というのは非常に重要でかつては韓国で発掘されなかった人材がむしろ日本で育ったというようなケースは多く、元々韓国の芸能関係者も日本に習っていたところがある。
それが今では立場が逆転しておりむしろ今度ダンススキルに関しては韓国で評価されるようなケースや、韓国に習うような事例が増えていくかもしれない。
特にモモのダンススキルは本当に凄くTWICEでもエース級の存在感を輝かせている。
むしろ従来のイメージでは韓国人メンバーがダンス担当で日本人メンバーは可愛いキャラ担当のようなイメージがあったが、逆にサナとモモの身長は高く、ダヒョンとチェヨンが末っ子キャラになっているというのは大きな違いになっている。
日本人の自分が日本人を過小評価していたというか、「日本人でもこんなダンスできるんだ」と思ったしスタイルも良い。こういう才能のあるメンバーが日本では評価されていなかった可能性があるというのはもったいない事でもある。
モモとサナの関西人キャラは日本のアイドル市場では受けていなかったかもしれないし、そのスキルも重視されていなかったかもしれない。
日本のアイドルの場合むしろ振り付けが適当なほうが可愛いとか、間違ったほうが可愛いというような風潮がある上にそもそも振り付けのレベルが高くない。
特別な養成を受けずとも普通の女の子が少し練習すれば出来るようなものが多い。
真面目にダンススキルを磨くことの方が損で面白いキャラを追求したほうが評価されるというこのような事情があり、韓国にレベルの差がつけられても仕方がないのは当然なのかもしれない。
日本人も実力を磨けば間違いなく韓国アイドルにも負けないスキルがあるというのはTWICEの日本人メンバーが証明していることでこれは文化の違いとしか言いようがない。
指原莉乃や柏木由紀が評価される日本のアイドル界と、サナやモモが評価される韓国のガールズグループ界はまさに対極的だ。
しかし元々日本でも実力やビジュアルを重視する時代はあった。
秋元康プロデュースの「おニャン子クラブ」以降、"普通の女の子"が重視されるようになり芸能界にしかいないような特別な存在は求められなくなっていく。むしろ「会いに行けるアイドル」というスタイルが求められるようになり、どれだけファンに奉仕するかが全てになった。
ファンの心理としてもあまりに遠く手が届かない存在よりも身近な存在の方が「親近感」を持って応援できるという考え方がある。
ただその「自分に近い存在」という幻想も徐々に崩れ始めて、AKB48や地下アイドル、声優などはスキャンダルが続出するようになりもしかしたら今後かつてのような実力主義の芸能界が復活する可能性もあるのではないか。
やはり芸能人やアイドルは雲の上の特別な存在であったほうが魅力があるという事に最近自分は気づいている。
自分自身もAKBに飽きて最近TWICEを見ているのだが、やはり本当に華やかで「異世界」に来たような感じがする。本当に昔ながらの雲の上の芸能界を見ているような感覚になりこれぞ非日常の世界だという感覚に浸れる。本来アイドルというのは実在しないような華麗な世界であるべきで、日本のアイドルはあまりにも「普通の女の子」を追求し過ぎてきた。
本当に文化祭で学芸会でクラスの上位の可愛い女の子が集まってアイドルごっこしているようなものをそのままテレビでも見せているような印象を抱く。
あまりにもそのスタイルに慣れ過ぎた結果それがアイドルだと思っていたところに、韓国のガールズユニットを見るとカルチャーショックのような衝撃を受ける。
親近感を重視するやり方に慣れ過ぎてもはやそれがアイドルのレベルだと思っていたところに、それは実はレベルを下げた物だという現実を突き付けられたような感覚になる。
サッカーで言えばJリーグの試合をずっと見ていたところに急にプレミアリーグやリーガ・エスパニョーラの試合を魅せられたような感覚に近い。
そもそも実は自分は少女時代やKARAを日本でデビューする以前から見ていた時期がある。
ちょうど2008年前後の頃でKARAならばPretty GirlやHoneyの時代、少女時代なら「また巡り合った世界」や「Kissing You」のころだ。
その頃の自分はむしろAKB48には全く興味が無く、自分だけがクラスの中で密かにK-POPを聞いていた時代である種のアングラ感のようなものがあった。当時Youtubeもこれほど日本では知名度が高くなく、自分だけが知っているというプレミア感があった。
その頃の自分はなぜ韓国アイドルに熱中していたのかというと、どことなく日本の芸能界にはない懐かしさがあったからというのが理由としては大きい。
それから10年近く立って今のTWICEや他のガールズグループを見ていると、もうそこに懐かしさは無い。なぜならば完全に最先端の物に進化しておりレベルに関しては日本を追い越してしまっている。
今自分がTWICEを見るのは懐古感情ではなくむしろ最先端への憧れから来ている。そもそも日本人は明治時代の欧米化にしても、戦後の洋楽ブームにしても最先端の海外の文化に憧れることを繰り返してきた歴史がある。
その憧れの対象が今、韓流になっているというのは逆に日本が流行をリードできなくなったという事でもある。
むしろ90年代には韓国の方が日本文化の流入を規制しなければならない程最先端文化として韓国の若者の間で日本文化が流行っていた時期がある。
そこから当時の金大中大統領が文化開放を行ったら、逆にブームが終息していくことになった。
「冬のソナタ」や「ヨン様ブーム」の頃はまだ日本の中高年女性が昔ながらの懐かしさを求めていた。これは自分が日本で知られる以前のKARAや少女時代に懐かしさを求めていたことと似ている。
つまり韓国は実力社会や競争社会だけあって数年前のイメージが通用しない程に毎年のように芸能界は進歩をし続けている。
男性アイドルなどもSHINeeなどは韓国内ではすでに流行遅れのような扱い方をされていると聞く。
まさに日本のバブル時代のように音楽だけでなくファッションなども流行がすぐ入れ替わるような状況になっているらしく、それゆえに最先端のグループが登場する厳しい競争社会がある。
今の日本では「流行についていけない人は時代遅れ」という価値観は一昔前に比べれば緩やかになっているが韓国ではむしろそれが顕著になっている。
東京だけが全てではないという価値観も強くなっているが、韓国ではソウルの価値が日本では考えられない程に大きい。
こういった競争社会の中だからこそ本当にトップの物は非常にレベルが高くなるという構造がある。まるで韓国の受験が厳しいのと同じように芸能界も厳しく、韓国アイドルは本当に真剣に練習を積む。
日本のアイドルが握手会をしているときに彼女らはダンスの練習をしているので、レベルの差がつくのは仕方ないという構造がある。
握手をしてファンサービスをしてくれればどれだけダンスが下手でも可愛くなくても人気に慣れるという風潮が日本のアイドルのレベルアップを妨げていると言えば確かに一理あるだろう。
どちらが正しいかどうかは判断が難しい。
それが日本らしい可愛さになっているのも事実で、アイドルマスターやラブライブのように二次元のアイドルや声優ユニットまで存在する多様性は韓国にはない。そのためむしろ韓国にはラブライブが好きなオタク層が存在する。
日本からTWICEや少女時代のようなハイレベルなアイドルが登場することは無いが、けものフレンズやラブライブが登場したりソシャゲのキャラクターが流行るような現象は韓国からは登場しない。
トップの中のトップは本当に世界レベルにある韓国と、末端の小さなものにまで魅力がある日本とは文化が根本の部分からして違う。
韓国はソウルとそれ以外の地域には別の国であるかのように大きな差があるが、日本は地域都市でもそれなりの規模を誇っている事と似ている。
ただ個人的な立場としては親近感を重視する握手会アイドルやアニメのアイドルには食傷気味で韓国のハイレベルなパフォーマンスに惹かれている。素直にダンスのスキルや身体能力の高さに見ごたえを感じるし、男性でもできないようなキレのあるパフォーマンスは本当に素晴らしい。
逆に同じようなダンスミュージック重視のガールズグループに飽きた韓国人が日本のラブライブのような二次元アニメにはまっているパターンもある。
ある意味これが"日韓友好"なのかかもしれない。
そして日本の新しい潮流として「欅坂46」が台頭してきているという現象も起きている。これまでの日本的アイドルを当の日本人も飽きており、笑顔ではなく社会に対して反発するような歌詞を歌う欅坂46は新たなトレンドとして受け入れられている。
TWICEが日本市場を完全に制圧しきれない背景にはこのように欅坂の存在がある。
欅坂46とTWICEとの双方に共通しているのはとにかく「曲」と「ダンス」の両方が人気を博していることにある。
欅坂46ならばサイレントマジョリティー、TWICEならばTTポーズ、どちらも曲とダンスが受けている。
AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」は確かに幅広い年代に受けたことは間違いなくカラオケの定番曲にもなってい一方で、最先端ではなく「回帰」に近い物があった。
一方で韓流は本当に洋楽を研究していて、最初洋楽を聞いたとき「K-POPに似てる」と感じることがある。しかし実はこれは逆で「K-POPが洋楽に似ている」と言ったほうが正しい。
日本のアイドルは日本市場だけを気にしていればそれで成り立つので独自の文化が形成されているが、韓国のアイドルはとにかく海外で受けなければ成功だと言えないシビアな現実がある。
競争し発展しなければ絶対に生き残っていけない韓国という国の事情、そして内需の体力があるがゆえに発展しなくても何とかやって行ける日本の事情、そのお国柄そのものを反映しているのが芸能界やアイドルなのではないだろうかと自分は考えている。