elken’s blog

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ルーカス・ポドルスキさん、無事フォルラン二世になる

今季のJリーグに世界的ビッグネームがやってきたことを知っているだろうか。

ヴィッセル神戸に加入したドイツ出身のルーカス・ポドルスキだ。

とは言ってもサッカーファンやJリーグファンでもなければそれほど関心は無く、世間的にその扱いは大きくないと言っていい。

 

まず直近のワールドカップ優勝国がドイツだという事すら常識として知られていない日本において、ドイツ代表の得点ランクでゲルト・ミュラーやミロスラフ・クローゼに並ぶレジェンドだと言われたところでいまいちピンと来ないという人のほうが大半だろう。

ポドルスキ

そしていまいちピンと来ていないのは実はサッカーファンも同じなのである。

そのルーカス・ポドルスキがいまいちJリーグで振るわない。

デビュー戦こそ圧倒的な活躍を見せ、ワールドクラスの片鱗を感じさせたがここ数試合について報道されることと言えば「活躍できないことにイラだっていてインタビューに答えてくれない」「周りの選手が気を使っている」「シュートチャンスが回ってこない」と言ったことであり、端的に言えば活躍できていないのだ。

 

移籍当初は「中国スーパーリーグのやり方には納得がいかないので、クリーンなJリーグを選んだ」と日本を好意的に捉えてくれており、また神戸の街に適応しようとしたり日本語を少しずつ使うようにしたりと馴染もうという姿勢を見せてくれていた。

トルコリーグのガラタサライでプレーし続ける選択肢や、より高給を選び中国に渡る決断も可能だったはずだが、それでもJリーグを選んでくれた。

 

そんな"ポルディ"がJリーグの新しいスターになるのではないかと誰もが期待したが、今のところ順調には進んでいない。

彷彿とさせられるのは数年前にセレッソ大阪に所属していたウルグアイ代表のディエゴ・フォルランだ。南アフリカワールドカップで大きな活躍を見せたフォルランは近年のJリーグにとって高根の花だったビッグネームとして日本を訪れた。

しかし現実にはセレッソ大阪のチーム事情にかみ合わず結局J2に降格し、その後インパクトを残せず去っていくことになる。

 

Jリーグの興行を成功させるためにもこういったワールドクラスの選手が活躍することは重要なのだが近年そういった例を見かけることは難しくなっている。

ユングベリ、フォルラン、そしてポドルスキの系譜なってしまうのか。

 

特にディエゴ・フォルランの例と共通するところはそもそも彼らに良いシュートチャンスが訪れることが少なく、決定力を発揮できていないというところにある。

両者とも打開力を武器とする選手ではなく、決定力で勝負する選手であるためチーム事情に左右されるという問題がある。

更に古く遡れば元イングランド代表のゲーリー・リネカーのケースが上げられる。現役時代を知るわけではないが、当時の名古屋グランパスの選手たちはリネカーの決定力を生かそうというよりも鹿島アントラーズのジーコのようにあらゆるプレーを担ってもらおうとしていたようだ。

 

現状のルーカス・ポドルスキもチーム戦術の組み立てが上手く行かない中で、自らボールをもらうために下がってくることが多くそれが上手くかみ合わない要因ともなっている。

ポドルスキはリオネル・メッシではなく、組み立てをしつつ決定力も発揮するというタイプの選手ではない。チャンスを得たときに一瞬のゴールハンティング能力を見せるタイプの選手であり、時として味方選手のチャンスメイクに活躍が左右されるタイプでもある。

そのためインテル時代やアーセナル時代はいまいちブレイクすることができなかったという事情も存在する。

欧州でワールドクラスの活躍をしたかのように思われているが実際はブンデスリーガのケルン、そしてトルコリーグのガラタサライで活躍した選手でありビッグクラブでの実績は無い。

 

まだポドルスキの獲得が失敗だったと判断するのはもちろん早計過ぎる。

こういった選手はチーム戦術に適合すると"ケチャップ"が出始めるように得点を量産する。ドイツ代表において10番を背負い歴代トップ3の得点記録を樹立した実力は嘘ではない。

得点やシュートに特化した選手の扱い方という意味ではまさにディエゴ・フォルランの例が参考になるだろう。迫力のあるミドルシュートはこの2人の選手に共通する部分であり、そのストロングポイントが十分に発揮されればそれはJリーグの魅力の一つになるはずだ。

 

日本サッカー選手が海外リーグに挑戦して適応に時間がかかった場合、我々は「もう少し時間が必要だ」と考えるだろう。それと同じでもう少しポドルスキについては様子を見る必要がある。

彼は中国リーグを蹴ってでもJリーグを選んでくれ、日本語を覚え神戸の街に適応してくれようとしている選手でもある。もちろんプロの選手に対して情だけで左右されて評価を変えるということは成熟したサッカー文化とは言えないが、まだ待つ時間はあっても良いのかもしれない。

 

またJリーグというのはその高温多湿な環境や判定の基準も含めて特殊な環境であり、特に欧州選手は適応に苦戦する。

本田圭佑がメキシコの高所に適応する時間を要しているならば、ポドルスキが日本の高温多湿な環境に適応する時間を設けても良いはずだ。

 

逆に同じアジア圏の選手は不思議と適応する傾向があり、例えばコンサドーレ札幌に所属するタイ代表のチャナティップは既にブレイクの予兆を感じさせている。

ポドルスキが活躍するか、チャナティップが適応するか、この2人がどういった動向を見せるかはJリーグのクラブにとって今後の方針を左右する試金石となるかもしれない。