elken’s blog

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ガンダムが人気なくなったのはリアル軍事に人気を取られたから

ガンダムの人気衰退の理由はいくらかある。そのすべてが重なって今日のような現状になっている。

どれか一つだけが人気を無くした理由でもなくそういう理由が複合して衰退を招いてしまった。その中でも最近思うのがひょっとしたらリアル軍事に人気を取られてしまったのではないかという事。

かつてガンダムと言えばそれまでのロボットアニメにないリアルな作風が売りだった。それまでのスーパーロボットアニメでいえば毎回敵のメカが趣向を凝らした強力な敵だったことに対してガンダムは量産型のモビルスーツでありそれが陣営により工業製品として生産されたという設定があった。現実のように兵器や科学、そしてそこに携わる人々が存在するというリアルっぽさが売りだった。

その結果それまで人気だったリアル軍事人気やスーパーロボット人気がガンダム人気に押されガンダムは一大コンテンツとなった。

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しかしそれはいつまでも続きはしなかった。

現代では萌え×ミリタリーブームやFPSブームによりミリタリーへの敷居が低くなりネット上でもミリタリー系のまとめサイトが大量に作られて流行っている。昔に比べミリタリーの魅力に気づく環境が整備されて再びリアル軍事が流行ってきている。

そうなってくるとあくまでリアル風に作られたに過ぎないガンダムというのは逆にその中途半端さが足かせになってくる。ガンダムファンならば「人型ロボットはそもそもリアルじゃない」という矛盾に直面したことがあるはずだ。それ以外にも陣営同士の戦争の描写にもさまざまな矛盾が存在する。そういった矛盾もあくまでリアル風だということで済ませていたが昨今のミリタリーブームにより現実の軍事や史実に気付くとどうしてもその矛盾がチープなものに見えてくるのである。

自分は今でもガンダムが好きだし、ガンダムだから想像次第では実際の軍事より面白い物もできるんだという認識でいる。史実の軍事も好きだし架空の軍事も好きだ。とにかく戦争物が好きなので現実軍事と架空軍事の両方を使い分けて楽しんでいる。

しかし多くの人にとってはもはやこれだけ史実や実際の軍事が学びやすくなった今どうしてもガンダムはやはり中途半端なのである。

とくにミリタリーにはまりたての頃は「ガンダムはリアルじゃない」と史実ミリタリーの優位性を強調したがったり身に着けた軍事知識をアピールしたがったりするものである。

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そしてやはり史実は奥深いのである。それが本物だから創作だと疑う必要がない。そしてリアル故に無限に資料がある。ちゃんと考察したい人にとって現実の戦争ほど面白いコンテンツはない。結局史実って滅茶苦茶面白いのも事実。そこに創作は追い付けないし、そこまでリアル感を重視した創作がほとんどない。だからみんな史実や現実のほうの面白さにはまっていく。考察しても考察してもきりがないぐらいに奥が深い。それは創作にない物である。結局史実以上のコンテンツってないのである。

 

また現代はそもそもロボット離れや戦い離れが起きている。もうそもそも戦争や戦うことに興味がないのである。アニメが好きな人はそういうファンタジーなものを求めるし、ロボットよりもモンスターである。よく言われるのが女性ファンが「ロボットだと戦うキャラが見れない」というけども確かに今の時代ロボットを操作して戦う事はあまり人気がないのかもしれない。

車の操作やカーアクションのかっこよさが持てはやされる時代でもなくなった。メカを操作するという事があまりかっこいい事ではなくなった。

 

つまりガンダムは普通のアニメとしても中途半端だし、かといって戦記物としても中途半端になっているのが現状である。かつては創作の自由と軍事のリアルさのいいとこどりだったガンダムが、今ではむしろどちらも中途半端になってきているのだ。

皮肉なことにかつて人気を奪ったリアル軍事が今ガンダムの人気を追いつめ、そしてガンダムが既存コンテンツを追いつめたように今度はモンスターアニメなどにシェアを奪われているのだ。ガンダムはいろんなコンテンツからシェアを奪われる四面楚歌のような状況にある。

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だからいっそのこともうかなりリアル軍事を意識したテイストにほうが今の時代いいんじゃないかとも思う。昔だったら「ここまでリアルなのはちょっと子供にはわからない」という感じでアニメチックにしてたものが今では子供っぽくなってきている。

逆の言い方をすれば世の中がリアルなことに慣れてきてそれを求めるようになっている。ならば思い切って今までできなかったようなリアリティあるガンダムを作ればいいのではないか。たとえば機動戦士ガンダム00の量産機はかなり既存兵器感があったり、現実の延長線上にありそうな雰囲気があった。あくまで雰囲気ではあるけどもユニオンのフラッグはアメリカ軍の戦闘機が時代に合わせてどんどん発展していく感があったし、人類革新連盟のティエレンはいかにも他の陣営から遅れた兵器感があった。その代り量産性があって中国とかロシアっぽい感じがあった。

自分は本当は当時には珍しくガンダムより史実ミリタリーにはまってから逆にガンダムファンになったパターンで史実ミリタリーを知っているが故に「あれガンダムって思っていた以上にリアルっぽいことやってるな」とワクワクしたのである。

時代も西暦を使っていたし、今までのジオンとかザフトのような架空感ある国と違ってユニオンや人類革新連盟は現実の延長線上にありそうな雰囲気はあった。

当時ではそういった要素はそこまで評価されなかったが、実際のミリタリーや史実のファンが増えた現在ではむしろそれは現代的作風のように思える。今後もっとダブルオーみたいなことをした方がいいんじゃないかと自分は思う。

もっとリアルギリギリを攻めたような描写や設定にして史実ファンやミリタリーファンを取り込んでいけばいいのではないだろうか。00は今思えば中東問題を出したり宗教問題にも触れたりしてわりときわどいことをしていた。そういうトガった作品がやはりガンダムであるべきだし時代を描くべきなのだ。

とにかくリアル陣営っぽさや、量産機重視の作風が今後重要になってくる。むしろ量産機の方が軍事ファンには受けるかもしれないし自分自身ダブルオーにはまったのは量産機がかっこよかったからである。

今の時代昔に比べて軍事を知っている人が多いのだから無理に子供っぽくする必要はない。

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かといってやはり女性ファン軽視もよくない。

ガンダムは女性ファンを軽視した途端見事に落ちぶれて行った。結局ネットでの盛り上がりには女性が必要なのである。男性ファンはそういった女性ファンを軽視しがちだが、実際ガンダムファンが神格化する初代ガンダムガンダムSEEDガンダムW、そして00は女性ファン人気が大きかった。初代を支えたのは女性人気なのである、もうガンダムは始まりの頃から伝統的に女性ファンに受けていたのである。

そしてAGE以降女性ファンを軽視した結果見事に落ちぶれた。結局ガンダムは女性に支えられて、その女性がいなくなったら男性ファンだけでは何もできないのである。なんだかんだ言ってガンダムファンは「女性にも人気」ということにちょっとしたプライドがあったはずだ。口では女性ファンを軽視していたが、そうやって広く人気があることでガンダムは素晴らしいと感じていた。

そして女性ファンが去ってしまい盛り下がった今、かつていたファンたちのありがたみに気付くのである。

もう女性ファンは声優重視アニメや露骨に女性受けのみを意識した作品に行ってしまい、ガンダムには戻ってこないかもしれない。一度失った人気や信頼を取り戻すのはやはり難しいのである。地道に信頼を取り戻していく必要がある。

 

そして今後ガンダムがもう一度人気やブランドを取り戻すならば、子供向けを意識しすぎるよりももっとリアルさを意識することと、女性受けする作風を意識することが大事だと思う。昔に比べミリタリーファンそのものが増えたのだからもっとリアルに作っても問題ない。そしてガンダムを支えていたのは実は女性ファンであるという事をもっと認識することも大事であるように思う。

その2つを重要視した先にガンダムの復権はあるだろう。

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