elken’s blog

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羽生善治NHKスペシャル「天使か悪魔か人工知能を探る」感想

最近本当に人工知能というのが話題になることが多い。

囲碁棋士がコンピュータ囲碁ソフトに負けるという歴史的なことが最近起き、この番組でも取り上げられていた。

将棋事情に詳しくない物としてはこの番組が羽生棋士人工知能の対決を特集したり、いよいよそういう物が始まる、みたいなものだと思っていたけど内容は羽生棋士がいろんな人工知能の開発現場に行くという物だった。

だから番組内容としては将棋に詳しくない人でも楽しめる面白い内容だった。

日本トップクラスの頭脳を持つ将棋最強の羽生さんが、人工知能という新しい頭脳と出会う。

それだけでも本当に見ごたえがある物だった。

 

やはり一番すごいと思ったのはディープラーニングという人工知能

猫の画像を自分で分析し、猫の特徴を教えられずとも区別できるようになる、ゲームの攻略方法を自動的に学ぶ、というのは凄かった。

今までの人工知能では、猫の特徴をあらかじめ教えてから、人工知能が自分で区別するという物だったらしいけど、もうそういうことも必要なく自分で勝手に分析して覚えていくらしい。

 

あとはロボットも凄かった。必要な時は人間の命令に背いたり、必ずしも命令に従わないというシーン

例えば、前に進めば落ちるような場所で前に進めと言われても進まないけども「落ちそうになったらキャッチする」と約束した状態では進む。

更にロボットAが「これを一生懸命作ったんだ!」とロボットBに言った後、ロボットBにそれを壊せと命令しても「大事な友達が作ったものなんだ」と言って従わない。

しかも何度も命令すると泣き出してしまうというなんとも人間らしい一面。個人的にはなんか感動した。

でも感動してもいられない、将来ロボット同士が結束してロボット仲間との友情を優先するということも起こりうるかもしれない。

これはあくまで人間がプログラムしたものであり人間の制御下にある物だがいつかその優位性を乗り越えて、ロボット同士で結束して人類に立ち向かうというSFもあり得るかもしれない。

更に人間の感情も究極は物質の作用であるからそれを再現できるのではないかというのも面白かった。これが発展すれば本当のに人間のような感情を持つようなロボットが現れるかもしれない。

「自分では完全に自分に意志があって人間だと思っているけど、実は作られたロボットなんだ」というアイデンテイティの問題に苦しむロボット。

そしてそんな自分を作り出した人間を恨んで攻撃してくる、みたいなストーリーもSFとしては面白そう。

 

と、いろいろ妄想のはかどる内容だった。本当に何かそういうことをテーマにした作品を作れたらいいなと思ったしとにかく人工知能の発展速度の凄さを感じた。

将来例えばガンダムのような軍事用ロボット(モビルスーツ)が開発されたとき、完全に自動操作とはいかなくても一部の高度な動きは完全に人工知能が動かしているってことは確実にあると思う。

今でもコンピュータ操作が導入されている機械なんていくらでもあるので、モビルスーツの操作の多くは人工知能が動かしてそう。

だから設定としてはMSがあれだけ高度な動きをしているのは「人工知能のおかげ」っていう設定もできる。人間一人であんな操作や動きはできないだろって言う場合に一部人工知能が使用されているって設定は、個人的にガンダムKindで使っていいかもしれない。

逆に、人間が操作する意味がどこにあるのか、人間の操作がどこに役立っているのかというのも問題でそのあたりの設定を上手く考えてみるのは楽しそうだと思った。

 

あとシンガポールの計画都市の開発も凄かった。

銀行取引をデータとして集積して不正をしそうな職員を暴き出すとか、渋滞問題改善のために既に人工知能が実用化されているとか。

たとえばガンダムSEEDのプラントのような宇宙コロニーではこういうシステム化が完全に進んでいるんだろうなという妄想もしながら見ていた。そういう進んだ社会の先例としてシンガポールの試みは凄く面白そう。

 

そして一番自分が衝撃を受けたのがアルファ碁の開発者の目的である人工知能による人類の難問の解決」

人類がまだ解決していない問題に答えを出す。

たしかに医者ですら発見できない肺がんを自分で発見したり、人類が1000年積み重ねた囲碁の歴史をあっさり乗り越えたり、自分で絵を描き始めたり、感情を持ったりするのを見ていると人工知能なら何でも答えを出してしまいそうだなと感じる。

今まで人類の中で頭の良かった人がいろんな問題の答えを見つけてきたが、今後それを見つけるのは人工知能になっていく可能性もある。

もはや人工知能が先に答えを見つけて人間はその後ろを歩いていく。

人類の歴史は自分たちより上位の知を持つ存在によって先導されていくことになるのだろうか。

そういったことを感じた。

例えば「癌の治療法を見つけてくれ」みたいな問題であれば、その答えを導き出してくれるのは本当にありがたいこと。

ただもっと大きな問題、それを人工知能が決めてしまっていいのかというのはある。

人類の未来は人類自身が決めるべきではないのか、自分はそう思う。

しかし人工知能は人類よりも効率よくすぐれた答えを導き出すことだってある。その場合はそれに従うべきなのか。それともそれが本当に正しいとは限らないのか。

ここら辺のジレンマはとても難しそうな問題である。

いずれにせよ、今回の話はいろいろ考えさせられる面白いものだった。