必ずしもサッカー選手=身体能力の高い人ではない
サッカーというのは複数の技能を同時に組み合わせて行われるスポーツであり何か一つの能力だけを競う陸上競技のようなものではない。
それゆえにサッカー選手=身体能力が高い、そのように直結することはない。
陸上競技をやれば何の記録にもならない人がサッカー選手には多くいる。しかし彼らは陸上の世界記録を残した選手たちよりもよほど歴史に残っている。
サッカーとは身体能力以外で勝負できる世界であるし1つ1つの能力がそれほど高くなくても組み合わせることで絶大な能力を発揮できる。
例えば名門大学に合格する人が一教科だけで勝負しているわけではないのとこれは似ている。もしかしたら東大の合格者にも得意教科だけなら勝てるという人がいるかもしれないがそれで東大に受かるかと言ったら別であり総合得点が高かった人が名門大学には受かる。
サッカーもこれと同じで一つの能力だけ高くても必ずしも良い選手になれるとは限らない。足が速い選手だけの選手よりも足が遅くてもそれを補う要素が多い選手が生き残る。これは複数の能力が必要という風にも取れるが、逆に言えば1つの能力が天才的じゃなくてもいいという事になる。
陸上選手や世界記録レベルの身体能力がなくても補う物が他にいくつかあればいくらでも応用が利く。
サッカー選手は決して身体能力の高い人ばかりではない。
結局一番大事なのはピッチ上でサッカーを上手くやれる人だ。
身体能力はそのサッカーを上手くやるための1つの手段に過ぎない。
身体能力の使い方が悪かったり、それに頼りすぎていては優秀な選手とは言えない。身体能力そのものが良くてもそれを使いこなせなければ、またはそれに加える他の要素がなければ意味がない。
足が速いだけの選手にも、「早くスタートする」「加速する判断の速さで勝負をする」「読みの速さやファーストタッチのボールの置き所ではやさする」といったことができればプレーの速さでも勝つことができる。生まれ持った足の速さはプレーの速さを高めるための一つの手段でしかないのだ。
アイドルだって同じだ。アイドル=容姿のいい人ではない。
基本的にサッカー選手も身体能力が高い選手が多いし、アイドルも基本的には容姿の良いメンバーが多い。しかしその分野で突出しているわけではない。アイドルでもモデルや俳優に容姿で負けているメンバーは多い。ジャニーズでも俳優やモデルに容姿の面では負けているメンバーが多いが、それでも人気では勝っている。他に様々な能力を身につけることによって総合力で勝負できている。
陸上選手がアスリート能力の高い人のあるまりならばモデルは容姿のいい人の集まり。その専門技能だけで勝負する。
だけどサッカー選手は必ずしも一つの能力だけが優れているわけではないし、ジャニーズも決して身体的要素に秀でた人だけの集まりではない。
それぞれが様々な工夫で勝負をしている。能力の組み合わせ方によって勝負しているのだ。
サッカー選手に身体能力がそこまで高くない人がいても不思議ではないのと同じようにジャニーズやにそんな綺麗じゃない人がいても不思議ではない。
アスリート能力がそこまで高くなくてもがサッカーが上手ければ需要はあるし容姿がそこまでよくなくてもアイドルとしての能力があれば需要はある。
逆に恵まれた身体能力や容姿を持ちながら、二流三流のサッカー選手やアイドルというのもいる。そういった複数の能力を組み合わせる種目というのは生まれ持った能力以外での勝負をも可能にする。陸上の場合身体能力が元々よくなければほとんど芽が出ない。
陸上について為末大は才能がなければ駄目、陸上は才能ということをはっきり言っている。いわば陸上というのは素材の質で勝負する世界だ。刺身はそのまま出すものであり、基本的に加工を行わない。せいぜいつける味をどうするかしか干渉できない。
素材が悪ければ高級で新鮮な食材にはほぼ勝てない、それが陸上だ。
逆にサッカーや芸能というのは加工が許される料理でもある。
素材だけで勝負するわけではなく、その肉を様々なものと組み合わせて料理にできる。焼くのも煮るのも発酵させるのも自由自在で様々な可能性がある。
料理が工夫で素材の可能性を引き出せるようにサッカーは頭脳でプレーの質を改善できるし、ジャニーズなどのアイドルはキャラの面白さやダンスや歌唱力の高さで素材の可能性を引き出せる。
それゆえに生まれ持った身体能力や容姿の持ち主に後天的な努力で逆転ができる。そこがサッカーの面白さでありそこを工夫できるかどうかがサッカー選手としての勝負どころでもある。
アイドル、加工料理、学問のようにサッカーもまた複合的な能力で勝負する世界だ。一つの能力で決まらないところがこの競技の面白さなのではないだろうか。