TWICEと言えばメンバー仲が良く、メンバー同士の絡みも魅力の一つとして人気が高い。寮生活をしているだけあってメンバー間の距離も近くもはや家族のような存在に見える事すらある。
しかし韓国と言えば日本以上に年功序列が厳しい社会であり、アイドルグループを見ても明確に年齢での取り決めがある事が多い。
日本ではこういった場合「○○さん」と使うことが多いが、韓国語では「○○シ」というのは日本ほどカジュアルな物ではなくその代り女性の場合は「オンニ=お姉さん」と使われることが多い。
例えばTWICEの年下グループのツウィやダヒョン、チェヨンにとってはリーダーのジヒョはオンニでありそれは日本人にも同じく適用される。
東アジア文化圏では先輩後輩の上下関係が似ているところがあり、韓国人は自分が年下の場合相手が日本人であってもその上下関係を重視して敬うことが多い。
サッカーのJリーグに移籍してきた韓国人選手はチームメイトの日本人の先輩にもしっかりと敬語で話すので、むしろ日本人以上に礼儀には厳格なところがある。
ただその厳格さゆえに韓国人メンバー同士の上下関係が時として日本人には厳しすぎるように感じることがある。少女時代を見ていた人は何度もそういった光景を目にしたことがあるかもしれない。
もしかしたら男性グループ以上に女性グループは厳しい部分があり、実際ダヒョンがナヨンやジヒョと親しげにしている姿はあまり見ることができない。
逆に日本人メンバーのオンニ達、特にサナとモモがダヒョンと仲良くしているシーンは本当に多い。特にサナとはお互いの頭文字を取って「サイダー」というコンビ名があり絡みが圧倒的に多い。
これは自分の推測ではあるがダヒョンにとってはサナやモモが外国人だからこそ、韓国式の上下関係とは違う別の気楽さがあるのではないかと考えている。
例えば日本人でも日本の先輩は本当に怖いけど、カタコトの外国人だったら先輩でも少し気が楽になるとのと似ているかもしれない。
同じ国の人同士ならば小さな違いも気になるが、相手が外国人だったら何となくお互い自国のしがらみから離れてフランクになることは多い。
まして韓国人に比べて上下関係が緩い日本人ならば、韓国人の年下メンバーにとってはからみやすいのではないかと思う。
それは日本人だから舐めているというわけではなく、韓国があまりにも厳しすぎるというイメージに近い。一見すると韓国人は反日だというイメージがあるが、個人の関係では同じコミュニティに入った場合礼節を日本人以上に重視することが多い。
TWICEでも最初は日本人メンバーが韓国できつい思いをしてないかと思ったら意外なほど受け入れられていて、自分の偏見は誤りだったことに気付いた。
実際サナやモモがダヒョンを後輩いじり的にいじることもあるのでその関係はしっかりしているが、韓国人の先輩ナヨンやジヒョと居る時に比べると気楽に見えることがある。
韓国のガールズグループの上下関係を見ると、日本では考えられない程厳格なシーンが多い。そういう姿を見て大変だなとむしろ上下関係が昔に比べて緩くなりつつある日本人としては思うのだ。
自分はダヒョンのファンなのでサナやモモといるときに楽しそうな姿を見ると嬉しいし、サナやモモにとっては可愛い妹のような感覚かもしれない。
逆にジヒョやナヨンにとっては本当は別のグループでデビューするはずだった韓国の後輩という考え方が強く見える。そう考えると日本人の先輩の方が優しく見えるのではないだろか。
もちろん今ではナヨンとダヒョンの仲がよく信頼し合っているシーンは多く、決してTWICEの絆が浅いというわけではない。
ダヒョンとしてはイジられキャラ的なところもあるので、ちょうどいい距離感の日本人メンバーとの相性が良く、サナやモモと一緒にいるときはそれぞれの良さが発揮されている。本来ダヒョンの良さはそういった気楽な中で発揮されるところにあるので、日本人オンニ達との関係がファンにはちょうど良く見える。
例えば部活動でも昭和の時代に比べて先輩と後輩の関係は緩くなっているのが日本だけれども、韓国はまだそういった文化が本当に厳しいという事情がある。日本人以上に先祖を大事にするという文化があり、チェサ(祭祀)と呼ばれる行事は韓国社会で面倒なことの一つとして考えられている。兵役がある事も含めて日本と似ているようで違う文化がある。
もちろん韓国のグループにもそれぞれあり、例えばOH MY GIRLは全員韓国人メンバーでありながらあまり韓国式の上下関係の厳しさを感じさせない。
逆に日本のアイドルだと昔のSKE48は上下関係の厳しさがファンにも透けて見えるほど厳格だった。そのため一概には判断することはできないし、部活動の例で言っても学校によって日本国内でも違う事は多い。
ただ一定の法則や傾向はやはり存在し、やはり儒教社会の韓国はアイドルグループであっても年功序列が厳しいのは事実だろう。
それゆえにちょっとした違いは文化の違いとして気にならない外国人との関係の方がお互いにとって気楽に感じるのではないか。
そしてTWICEというグループにとってはそれがメリットや魅力になっている。
全く違う文化圏の場合だとなかなかこれは上手く行かない。
例えば欧州サッカーではイタリアのチームのようにイタリア人と南米人のグループが明確に分かれてしまうし、イングランドのチームでも食事シーンで席が自然と移民系選手とそうでない選手に分かれていることが多い。
しかし同じ欧州人や南米人だと多少国籍が違っても溶け込んでいることがある。スペインのチームでメッシとスアレスが家族ぐるみで付き合いがあるのはアルゼンチンとウルグアイの違いが欧州では微細な物に映るどころか、共通点が多いことに気付くからだ。
TWICEというのはまさにちょうどそういった関係に近く、何だかんだで日本と韓国と台湾は文化が近いと感じるシーンは多い。それでいながらお互いちょうどいい距離感の外国人でもあるので、自国出身者だけの時には発揮されない魅力もある。
そういった文化の違いと共通点を発見できるところもこのTWICEというグループを見ていて面白いところかもしれない。