お笑いには二種類あって高度に設計された笑いと、もう一つ天から振ってくるアドリブ的な産物の笑いがある。
このタイプというのはもはや天賦の才であって、そう簡単に人工的に作れるものではない。
芸能界でその代表格と言えば出川哲朗で、昔は嫌われ芸人だったものの今では何をやっても何かが笑いの神によって振ってくるタレントとして重宝されている。
イジられても面白いし、普通の発言を本人はしているつもりなのになぜだか面白い。
そしてイジられていても悲壮感を感じさせずむしろ、自ら飛び込んでいく。
イジられキャラで一番駄目なのが、その人が可哀そうに見える瞬間で、イジりがイジメに見えるともうそれは一瞬で魅力を無くす。
いいイジられキャラというのは、本人がそれを楽しんで美味しいと思ってるかどうかが大事で、少しでも可哀そうに見えたたらそれはもう魅力がなくなってしまう。
その意味で出川哲朗はその界隈でプロフェッショナルで、本人が了解しているという雰囲気が上手く伝わって来るので、お笑いとして楽しむことができる。いやいや仕方なくイジられ役に徹してるという雰囲気を感じ取ると、どうしてもかわいそうに見えてしまうので、喜んでやってると言う、イジる側とイジられ側のボケとツッコミのような暗黙の了解が大事になる。
その意味で、Sexy Zoneの松島聡はまさしく理想的な存在で、ジャニーズ界の中でも秘められた才能を持っているように思う。
松島の何が凄いかというと、彼はもはや「イジられの天才」なのかというぐらいイジられの神に恵まれていて何かが振ってくる。
お笑いの神様がいるとするならば、松島聡に妙に優しいというかこいつは偶然をものにする謎の才能があるから何かやらせてみようという偶然が発生する。
「持ってる」という抽象的な表現かもしれないけども、とにかくなぜか松島にはよくわからない天運が振ってきて笑いになる、それは出川と似ている。
ただここで、あたかも松島聡がただ笑いの運を味方しているだけだとしてしまうとそれは、本人の才能を否定しまう事になる。むしろその運を上手く拾えるところが真の才能であって、サッカーに例えるならば全部ごっつぁんゴールに見えても、実はそのポジションにいて決めきることが能力だという事に似ている。
ちなみに松島聡はサッカー王国静岡に生まれ、フォワードをしておきながら実は前線で駆け回っていただけというエピソードを持つ。
更に学生時代試合でPKを外すという失敗談を持ち、それを克服するかと思いきや無事ゼウスでもPKを外すというありえないことをやってのけている。
もはやこの男、ポンコツとしか言いようがない!笑
ただそのポンコツ要素が妙に面白いというか、許せるというか笑いになってしまうのが松島の良さだ。
ポンコツ要素が許せてしまうというのも魅力で、それはまさしく出川哲郎が持っている雰囲気という名の才能と一致する。
それは言葉では説明できないというか、面白いから面白いとしか言いようがない。
・イジられてもかわいそうじゃない
・自分から率先してイジられにいくし、面白い反応をする
・笑いの神の気まぐれが振ってくる
この三条件に加えて、何より本人が楽しそうなのが一番面白いポイントかもしれない。
そして中島健人&菊池風磨のふまけんという悪いお兄ちゃん方にこれまで散々鍛えられてきたからこそ、別の場所でも通じる力がある。これはマリウス葉にも言えることで、ふまけんというヤバい兄貴たちからしごかれてるからこそ、違う場所でも通じる能力が育っているのかもしれない。
普段の練習から早い球を受けてるから、それに上手くリアクションする力がついているのではないか。
松島聡本人が「出川さんに憧れている」という言葉は決して嘘ではないと、これまでの姿を見ていると思う。むしろ率先してその位置を本気で目指しているというのを感じるし、仕方なくそのポジションを受け入れているという印象はまるで感じない。
本当にやりたがって望んでいる、その明るいオーラこそが松島聡が持つ天性の魅力なのだと思う。