elken’s blog

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在日朝鮮人が語る韓国語の難しさが共感できる件

最近自分は韓国語の勉強に凝っているのだが、TOPIK2のリスニング問題を聞いてさっぱりわからず落ち込んでいる。

ネット上にハングルのテキストがあって、ウェブ翻訳を交えながらゆっくり読むのとはやはり難易度が違う。

 

そもそも英語にしても語学検定はリスニングがかなりの割合を占めるので、学校のテストでおまけのようについているレベルと考えては駄目だ。普通に半分近くリスニングだと考えていい、それくらい今はリスニング重視だ。

 

韓国語の検定は最大手が韓国政府公認のTOPIK(韓国語能力試験)というもので、1級から6級まである。そして簡単な1,2級がTOPIK1で3級以降はまとめてTOPIK2となり得点で合格する級が決まるという英検とTOEICの中間のようなシステムだ。

ちなみに作文はあるが面接はない

 

1は簡単すぎるのでどうせやるなら2からやるべきという意見を聞いたので、まあ3級行ければいいかなぁというぐらいで今のところ準備しているのだが、今年は中止もあってまだ受けたことがない。読解問題はわりとわかる問題はあったものの自信はない。

 

そして自分のように「韓国語を学んでいる日本人」の大先輩となるのが、まさに在日コリアンの方々だ。タイトルではわかりやすく在日朝鮮人としたが、中立的な言い方としては在日コリアンが推奨されている。

 

この在日コリアンの方々、今になって韓流だのKPOPだので韓国語を学ぶ我々日本のにわか韓国ファンより遥か数十年前から、この難しい問題と直面しているのだ。在日コリアンは母語はほとんど日本語なので日本人学習者と間違うあるあるなところが共通している。

世界中で最も日本人と近い韓国語学習者こそまさに在日だ。

youtu.be

この動画はまさにその実体験が語られており勇気づけられる。

朝鮮学校卒の在日コリアンですら、現地韓国人との意思疎通が困難なのが現実だとわかる。

 

まず李という名字が北朝鮮の「文化語」ではリと読み、韓国語の「標準語」ではイと読むというあるある。この違いがなぜそうなるのかというのを韓国語を学んではじめて知った。

これは端的に言えば言語政策の違いで、北朝鮮は朝鮮語が長い歴史をかけて失った語頭のら行を復活させていることからくる。

この「ら行」の扱いこそ南と北の最大の違いといっても過言ではない。ちなみにら行が語頭から失われるというのはアルタイ語族の特徴で、日本も江戸時代以前の単語は極端にラ行から始まる単語が少ない(現在日本語と韓国語がアルタイ諸語ということは厳密には確定しておらず独立語扱いとされている)

 

そのため実は日本人からすると分かち書きの法則含めて北朝鮮式の文化語(ムナオor문화어)のほうが簡単だ。北朝鮮式はスペル通りに発音し、韓国式は語源を重視してスペルと発音が違うことが多いことこそ最初の難関。ただ外来語や現代のネット用語などは韓国と共通している用語が多い。

 

冷戦時代は韓国でリと書けばスパイだと疑われるほどこの言語政策の違いが重視された時期もあると言われている。

 

またその南北対立は日本でも顕著で、朝鮮総連と韓国民団の戦いはこれはこれで熱くて面白いのだが今回は本題ではないのでまた後に。

基本的に在日問題を語る場合、語学教育は朝鮮学校が優秀で民団系の建国学校は及ばないというのが定説とされている。

 

民団系は日本の英語教育と一緒でネイティブがおらず、教える側も日本で韓国語を教わった在日コリアン2世や3世が多い。逆に朝鮮学校は民族教育というだけあって戦後直後から力を入れている。初期には本国からの手厚い支援もあり、在日コリアンの家庭では思想教育や文化教育という目的以上に、そのノウハウを重視し語学学校として朝鮮学校を選ぶというケースも多いようである。

 

ただ問題は「そんな朝鮮学校卒ですら」ということだ。

そう、日本に暮らしている以上、朝鮮学校卒でも現地レベルにはならないのが現実だ。実際朝鮮学校のドキュメントを見ても、朝鮮語(チョソンマルorウリマル)で話すことが原則なのに休み時間の何気ない会話でふと日本語が出る様子がある。

在日コリアン出身の作家が韓国留学で体験した作品でも苦戦する様子が描かれている。

 

逆に韓国に行った日本のアイドルなんて四六時中ネイティブ韓国人と一緒だからすぐにマスターしている。

自分はRocket Punchの高橋朱里やNiziUのメンバーより最低1年以上は早く始めたのにこのざまだ。たかじゅりよりは確実に早く始めたのに、と悔しいが実際に高橋朱里の努力を見ると覚悟が違いすぎると思った。やっぱり理屈より根性で努力して溶け込むスタイルが大事だ。

生活と自分のキャリアに必要だから最初カタカナで歌詞を書いて、その後ハングルを呪文のように書きまくるスパルタ方式だ。

 

一方自分はこうやって「言語というのは言語政策の影響を受けるものであって〜」とロジカル的に理屈で考え出すから身につかない笑

いや、でもイルベとDCインサイドで悪口のネットスラングだけはよく学んでいるからㅋㅋㅋ

 

にしてもこの動画、数年前に投稿されて数万再生くらいの動画で、しかも内容はめちゃくちゃ普通なのにバッドが多いのが残念だ。

 

自分も多感な中高生くらいのときはネット右翼と嫌韓厨で、在日といえば裏で社会を支配する昔に想像されていたユダヤ人のような存在だと信じていた。

当時は田舎の学生で世間知らずだったけど、今大阪の韓国料理店とかで在日の方と話すと、全然普通だもんね、それこそこの動画の二人の女性のように。

中身は完全日本人だけど、親が守ってきたからそれだけは継ごうという義理だけで朝鮮籍を維持しているおじさんや、全然韓国語話せずサッカーだと日本を応援するという夫妻もいた。そして逆に下の世代になるとアイデンティティに芽生え始めるらしい。

 

今ナイキの動画で炎上している在日コリアン問題もある。

まずあれは実際の在日の方々が困惑してそうというか、自称リベラル企業が勝手に想像する差別問題であって日本の事情ともあっていないように見えた。

 

在日コリアン問題について「在日朝鮮人が使う日本語の研究」みたいな専門書まで読んで、コリアンタウン散策にまで出掛けているマニアックな趣味の自分からすると、ちょっとあまりにも現実と乖離した分かりやすいイメージばかり取りざたされているなぁと思う。

 

ナイキは世界中の差別問題をよく知らずに外国人目線でかっこよく取り上げがちだし、総連系も大袈裟にアピールしがちだ(総連は北からの司令もあって可愛そうな被差別者が日本と戦っているという革命的な構図を維持したい)

 

民団に肩入れするつもりはないのだが、こういう事情は民団がよほど日本に溶け込んで理解してるよなぁと。そして大部分の在日の方々も過激ではない。

実際韓国のテレビ番組で民団系の学校の取材をしている映像を見たことあるけど在日コリアンの女子高生かわいいぐらいの感想しか出てこないくらい普通の日本の高校だった。それどころか80年代以降に日本に来た「ニューカマー」と呼ばれる現代韓国育ちの人々もこの対立を避けている。

実際、ソウル出身の韓国人が切り盛りしている小さな小料理屋で、総連系の先客がいて後でその話をしなくてよかったとそのおばちゃんと安心した笑

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というか総連系も朝鮮学校の教育に疑問を持つ人は多く、韓国の芸能界で「ここがおかしいよ朝鮮学校」みたいに面白く語る在日出身の人もいるくらいだ。

こっちの動画もいつか紹介しようと思ってたくらい面白く、赤裸々にユーモアを交えて在日コリアンの経験が語られている。

複数話あるが「和室で暗く映る金日成肖像画が不気味だった」という話は見所だ笑

 

ちなみに大阪コリアンタウン散策、本当にディープなコリアが味わいたければよく話題に上がる鶴橋よりも今里がおすすめだ。

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昼間はこのように何もないただの閑散とした町並みだが、夜になると明るくなるし珍しい食べ物も多い。

御幸森商店街のあたりは完全に観光地化してて、最近でも人多かったしKPOPショップが並んでで若い女性や子供受けしやすい作りでしかない。鶴橋商店街は確かに日本の古き良き商店街とも合わさっていて結構大きくて楽しめるのだがそれでもメジャーだ。

 

やはり今里こそ本当の人情あるコリアであって、古き良き在日コリアンの文化が息づいている。

自分がOH MY GIRLのファンミーティングの終わりに寄ったのがまさに今里で、その日は深夜2時頃にも関わらず空いていた。

「ミョッシカジ(何時まで)」と聞いて入れてもらったら、常連のおそらく一世のおばあちゃん同士のリアルな韓国語が聞こえてきて、店員も昔からやっている雰囲気だった。まさに日本人は自分だけという状態だ。一応メニューはカタカナで書いてある。

 

そして何やら夜遅く日本人集団が入ってきたと思ったら、なんと在日コリアンの級友が集まった感じのもので、まさに彼らが使っていたのが「在日朝鮮語」だったわけだ。

母語は日本語ネイティブだが、要所で朝鮮語の単語を入れるその感じまさに日本人が話す韓国語そのものだった。

 

彼らの場合Kポップにはまりたての日本人とは違う、ルーツは朝鮮半島にあり、なんとかその「ウリマル」を身内同士で使おうとコリアンタウンであつまって朝鮮学校の同期でお酒を飲んでいたのだ。

自分は当初日本にいながら自分だけが異郷人であるような心地よい感覚に浸っていて、急に日本語が混ざることに戸惑ったが、彼らのそのような心情を思うとそれもまた味わいなのだと思った。その境遇を簡単に共感していいものでもないだろうけど、ソジュ(焼酎)を飲みながらスンデクッパを食べる自分にとってコリアに浸るには十分だった。

店を出るとき言われた「スンデクッパを頼む日本人は珍しい」と日本語で。

深夜に男で一人、ジョウンデーを頼みスンデを食べていたらそれはコリアンタウンでも珍しいのかとちょっと嬉しくなった笑

その後、遠くに行き過ぎていて電車も終わり、タクシー代ももったいない自分が二日酔いで朝方に歩きながら帰ったことは言うまでもない。