TWICEがここまで人気になっている理由の一つはその振り付けやダンスにある。
それほどTWICEはダンスが魅力がありスキルが高いだけでなく、かわいさとも両立しているところに日本のアイドルとの大きな違いがある。
自分もTWICEを見て衝撃を受けた理由はやっぱりダンスや振り付けの可愛さにあって、どんなダンスをしているかが浮かびやすいし印象に残る振り付けが多い。
日本のアイドルでこの振り付けよかったというのはほぼ記憶が無く、どうしても顔やキャラクターばかりに目がいっていたけれどもTWICEを見て考え方が大きく変わった。
ダンスが揃うとこれだけ見ごたえがあるのかという程考え方は変化した。
これまで日本のアイドルと言えばむしろ振り付けを間違ってぐらいが可愛いとされ、技術やダンススキルよりも握手会人気やキャラクターの面白さばかり重視されてきた。それゆえ日本と韓国では間違いなくこの部分においては差があると言わざるを得ない。
日本の中にもTWICEに憧れる子たちが増えてきているけれども、そういう子たちも素直にダンスのかっこよさに魅せられているのではないだろうか。
日本が韓国に比べて駄目というわけではなく、重視するスキルや能力があまりにも違い過ぎて日本ではそこが発展して来なかったのが実態だ。
韓国の場合は本当にレッスンを重ねてエリート教育を施すので、オーディション合格後すぐに握手会要員の足しにするためにデビューさせる日本とは大きく事情が異なる。
これは韓国がオリンピックの珍しい競技で金メダルを取る理由と似ているかもしれない。
例えば冬季五輪ではスケート、夏季五輪ではアーチェリーが強いのが韓国だが、K-POPアイドルのダンスが優れている理由は一つの動作を綺麗に極める文化が反映されているのではないだろうか。
またそもそも韓国の音楽ファンはダンスを非常に重視するという文化がある。
韓国人自体がそもそもリアクションが大きい人たちなので、ガールズグループの普段の日常を見ても何気ない動作が日本人よりも大きい。音楽も激しくメロディに乗ってダンスすることが好きな人たちなので、振り付けの部分は本当に重視されている。
伝統舞踊でも日本が笛の文化だとすれば、韓国は金属製の太鼓を強く叩く物が多い。そういった音楽性の違いもそれぞれに反映されている。
また日本の場合、歌詞を本当に重視する文化があり歌詞の良さで判断することが多い。逆に韓国人だけでなく外国人はあまり歌詞を重視せず、言葉は音としてメロディに乗るかが重要視されている。
歌詞をじっくり聞く日本の音楽ファンは和歌の文化がある国だからともいえるだろう。
例えばK-POPの韓国語版を聞いた後に日本語版を聞くとちょっと大人しめに聞こえることがある。これはK-POPが洋楽と同様に音声は音楽の一部だと考えることに違いがあるからだ。
TWICEの曲でも同じフレーズを繰り返す曲は多い。
SIGNALならば「チリチリチリ」、LIKEYならば「LIKEY」などがその典型だ。
その言葉に振り付けが重ねられるので印象に残りやすく、実際に自分も踊って見たくなる魅力がある。
TWICEの歌詞自体はそこまで意味の深いことを言っているわけではなく普通の恋愛ソングであることが多いが、ポップミュージックのような早い音楽で歌詞を重視して聴く日本の音楽ファンの文化の方がむしろ世界では異質な部類に入る。
世界の音楽というのは洋楽にしてもK-POPにしても歌詞の内容を重視する時代ではなくなっていて、言葉のわからない外国人でも聞けることやダンスとして魅力があるかどうかが問われるようになっている。
K-POPというのは歌詞の内容よりも音としての響きを重視する世界基準に合わせているため、日本人にとっては新鮮に映る。そして日本のJ-POPが海外ではあまり評価されないのも歌詞の内容を重視して作り過ぎていて、そのほかの部分が軽視されているからでもある。
もちろんこれは音楽を輸出する必要のない日本と、海外への輸出が必要な韓国との違いがありどちらが良いかという二元論ではない。
日本人は洋楽を歌詞を理解せずに聞いているファンを批判する傾向にあるが、実は歌詞というのは最近の音楽ではあまり重視されなくなってきている。歌詞の字幕を見てその歌詞に思いをはせながら聞くという日本人の聞き方のほうが実は世界では珍しい。
実際自分もTWICEや他の韓国アイドルの音楽を聞いたりMVを見る場合でも、意味が分からなくとも韓国語で聞いており逆に日本語吹き替え版はあまり聞いていない。
つまりTWICEだけでなくK-POPミュージックは歌詞を音で考えており、振り付け前提で作られているから外国人も入ってきやすいという構造がある。
更に純粋にスキルの高いメンバーがダンスをしているのでその振り付けが良く見えるという相乗効果が発生する。仮にいくら振り付けが良くても、それを披露するメンバーのスキルが高くなければあれほどの見応えは無かっただろう。
そして日本人だから出来ないというわけではなく、むしろTWICEで一番ダンスが上手いのは日本人メンバーのモモなのでこれは育成の違いと考えるのが自然だ。
更にもう一つ最後に韓国の女性アイドルに特徴があるとするならばそれは衣装の違いにある。
日本のアイドルの場合ふりふり系の可愛い衣装が多く、動作の大きいダンスにはあまり向いていない。更に日本のアイドルファン自体がダンスの魅力より女の子らしさを求めるので、あまりガチにダンスをすることを求めない傾向がある。
女の子らしい可愛い動きは求められたとしても、ダンサーとしての動きはあまり高すぎてもそれは中々評価されにくい。
一方で韓国のアイドルはミニスカート、ショートパンツ、スキニーなどが多くダンスに最適な動きやすい衣装になっている。体の線を強調することがあまりない日本のアイドルと、その部分を重視する韓国では音楽文化自体が異なる。
またアイドルのメンバー自身もダンスが好きなメンバーが多く、例えばTWICEも韓国の男性グループのダンスを披露することがある。日本では女性アイドルが男性アイドルの振り付けを披露することは考えられないが、男性用に作られたダンスを女性アイドルがプライベートの練習用にも使うという違いがある。
ダヒョンが防弾少年団のダンスを披露する面白いシーンも、日本では女性アイドルが男性アイドルの名前を出すこと自体がはばかられるので考えられない。
男性用のダンスですら出来るという意味でダンサーとしてプロでもあるのが韓国の女性アイドルの特徴だ。
その基礎技術に衣装や振り付けといった演出、そしてダンスミュージックとしての音楽が加わることでTWICEや韓流アイドルのダンスは可愛く見える、そしてかっこよくも見える。
評価基準の違いと言えばそれまでだが、近い国のよう実はこのような基本的な違いが数多くあることに注目してみるとよりアイドル文化が面白く感じられるかもしれない。