最近けものフレンズという言葉をよくネットでは目にする。なんとかフレンズやすごーい!などという言葉はちょっとしたブームになっている。
かつてほどアニメがネットの中心になれなくなっている現代において、久しぶりにネットでアニメが流行る現象と言えそうだ。
最近のアニオタ「けものフレンズは社会現象!動物園も流行ってる!すごーい!」
しかしその現象に異を唱える人たちがいる
元アニメオタク「ハルヒやけいおんに比べて小粒。大したことない。」
アニメに興味ないネット民「あれってアニメの名前だったの?」
一般人「そもそも知らない」
そうなのである、このフレンズ現象は正直言ってネットの一部だけで盛り上がっている現象であり涼宮ハルヒの憂鬱やけいおん!に比べてどこか小粒感があることは否めない。アニメが凶作続きでけものフレンズぐらいしか盛り上げるものがないという印象を感じずにはいられない。
そもそも自分自身けものフレンズについて知ったのは最近であり何なのか調べてみたらアニメだったと気付き、ネットに入り浸っている友人ですら自分の話を聞いてそれがアニメだったんだと知るレベルである。そして一般人はそもそも聞いたことが無いだろう。ようするにそれほどの知名度しかないにもかかわらず社会現象だと持ち上げるしかないのである。
確かに動物園の入場者数が増えたり実際の経済効果もあるようだが恐らくは1年後には忘れられているだろう。君の名は。がそろそろ賞味期限切れになってきていることを思えばけものフレンズも長く持たないことは間違いない。
けものフレンズといい、君の名は。といいこのブログはどれだけ最新の流行に噛みつけば気が済むというのか。
そしてこのけものフレンズ、公式サイトを見て一番思ったことや自分が好きだったころのアニメとの違いを感じさせられた要素がある。3DCGであることも確かにそうだが、一番はキャラクター紹介の横に普通に声優が写真付きでのっていることである。
これは現代のアニメオタクが声優重視、声優第一主義になったことの象徴的な現象であるように思う。今のアニオタってほんと声優目的でしかアニメを見れなくなったよね、と思わずにはいられない。
昔のアニメはまだ声優が副次的なものだったけど今はもはや声優がメインにある。もうアニメが声優目的で見るものでしかなくなった。更に言えば今のオタクは昔に比べて好きな物を一人で見るというガチガチのオタクっぽい人がかなり減って非常ににわか化している。考察する人もオタクっぽい人もかなり減った。ただ意識低く異性キャラを見て声優の声を楽しんでコミュニティの一員感を味わいたいだけである。
昔のアニオタ:好きな物を一人で見る。自分が好きな物だから周りは気にしない
一昔前のアニオタ:ネットで流行ってるから見る
ちょっと前のアニオタ:ネットで流行ってて、誰かの評判を気にしてからネットの仲間とみる。
今のアニオタ:ネットで流行っていて、誰かの評判とコミュニティ内での流行に加え声優目的で見る。
今のアニオタはアニメを見るという事までに様々な条件が必要になったのだ。自分はネットで流行ってるから見てた世代でいわばハルヒ~けいおんぐらいの期間アニメファンだった。その時はまだネットでなんとなく流行ってるなら見る人が多かったし当時はネットではまだアニメは中心だった。
しかしその後、アニオタは誰かの評判を気にして見るようになりネット上のコミュニティや実況、まとめサイトなどに依存しなければアニメを見ることができないようになっていく。このあたりからしょぼいラノベ原作アニメや日常アニメが乱立し始める。そしてネットで形成したアニオタの集まりのなかでの一員感のために見るようになった。
そしてそこからさらに声優という目的を重視した声優産業が急速に発達していく。今のアニオタはネットで流行ってて、誰かの評判を聞いて、コミュニティ内で一緒に見る仲間を作って、更に声優に興味があってやっとアニメを見るのだ。
それは見る人が少なくなって小粒化することは自然と言える。
「オタク仲間からすごいと言われるために課金する、アニメグッズで派手な格好をする」というファンも多いし、今の時代アニオタはネットのコミュニティが無ければろくにアニメを見ることもできないし、ガチで2次元に傾倒するのではなく声優目的でしか見ることができない。
その象徴がまさにけものフレンズ公式サイトの声優の写真だろう。
昔は声優はもっと裏方であり興味がある人だけが声優に興味を持つ時代だった。声優の姿なんて2次元の幻想が崩れるから見たくない「中の人などいない」という時代だった。
それが今や声優はメインコンテンツ。
「2次元が好き!」と言っておきながらその内実ただ3次元の声優を応援しているだけなのである。本当に2次元に傾倒して「○○は俺の嫁」(女性でも使ってた)と言っていた人は減った。ようするに2次元が好きなのではなく、普通に3次元の声優が好きなのである。アニメや2次元は声優を彩るためのコンテンツでしかなく、今やアニメのほうが副次的な要素になっている。立場関係は逆になったのだ。
しかもこの声優オタクのタチが悪いところが「自分たちは他のアイドルオタクと違う」という選民意識を持っているところである。 「うちらジャニオタと違いますから」というスタンスの男性声優ファンを見かけたことはないだろうか。
はっきり言おう、今の声優オタは男女ともにアイドルオタと変わらない。
2次元のアニメオタクのふりをしておきながら本当に2次元やアニメにはまれてない。その内実ただ声優追いかけてるだけ、声優目的でしかアニメを見れない。アニメは声優を引き立たせるためだけのコンテンツになってしまった。
それなのに何か自分たちはアイドルオタと違う、アニメに芸能人絡んで来るなと排他的に敵視するのが今のアニオタ。
昔のアニオタはアニオタしかやって無いような独自の文化があって本当にキャラが濃い奴が多かった。一方今のアニオタは普通のアイドルオタと変わらないのに自分たちは特別だと思っている。ここがタチが悪い部分だ。アイドルオタが応援する対象を声優に変えただけであることと何も変わりがないのに、自分たちは特別だと思っているのだ。
それゆえにかつてのガチアニオタの多くが今のアニメを見限って残ったのはにわかっぽいオタクだけになった。かつてのアニオタの多くは恐らく他コンテンツに移行したのではないかと自分は見ている。けものフレンズ程度でも社会現象扱いしなければならない程小粒化した原因はかつてのアニオタメイン層の離脱が遠因だ。
にわかっぽくなりすぎた今のアニオタやネットに見切りをつけてそれまではまっていなかったことにはまる元アニオタは多い。彼らは自分が好きなコンテンツを変えたのだ。
特にハルヒ世代は残ってないと思われる。ハルヒ世代の話を聞いてても今のアニメに興味がない人がかなり多い。老害と言われればそれまでだし、今の声優第一主義文化ももしかしたら最先端文化なのかもしれない。そもそもその声優第一主義を加速させたのが当のハルヒなのである。
しかし今はあまりにも行き過ぎている、アニメオタクの質は大幅に変容したと言わざるを得ない。その結果小粒な物しか乱立しなくなった。
人の評価に頼らないとアニメを見れない、声優目的じゃないとアニメを見れない、コミュニティの一員感が得られないとアニメを見れない、そういうオタクばかりになったから小粒化したアニメしか流行らずネットではアニオタは片隅に追いやられる存在になった。
「最近のオタクはダメになった」その言葉はオタクの世界で常に言われ続けてきた。ハルヒ世代もエヴァ世代も、更に前の世代からはにわか扱いされていた。誰もがそうなっていくのである。次はハルヒ世代に最近のアニオタを批判する番が回ってきた。こうやって誰もが最近のオタクを批判する老害になっていくのである。
「ワシがみとったハルヒは凄かったんじゃ!最近のアニオタはなっとらん!」
長文を書いておきながらその内実ただそれが言いたいだけなのである。