ここ最近のサッカードイツ代表は凄まじく強い、特にコンフェデレーションズカップを実質的3軍で優勝した姿は圧巻だった。
2010年代に入って続々と育成改革の成果ともいえる選手が本格的に台頭し始め、ついには2014年にその花は咲きワールドカップでの優勝を成し遂げた。
あのブラジルでの優勝は東西ドイツ統一後初の優勝という意味でドイツの新時代を到来させるものだった。
しかしドイツの勢いは決して留まるところを知らない。
ワールドカップで優勝した国は、その後世代交代に失敗したり新たな国が台頭することによってその地位を追われるケースが多いがドイツに関してはむしろ4年前よりも更に強くなっている印象すら受ける。
メスト・エジルやトニ・クロース、トマス・ミュラーらの世代がピークかと思いきや、その後も若手選手の出現がやむ気配はない。一体このドイツという国からはどれだけ有力な選手が現れれば気が済むというのか、それほどに育成改革の成果が現在大輪の花を咲かせている。
前回王者がグループリーグで敗退するという様式美も、"空気を読まない"ドイツ代表には無縁だろう。そのような凡ミスをしないところがドイツの強みである。
そしてこうなればもう見据えるところは一つしかない、ワールドカップ二連覇という偉業である。
実はワールドカップの歴史において二連覇自体は過去に2つの例が存在する。
1930年代の黎明期にイタリアが2連覇、そして1958年と1962年にブラジル代表が立て続けに制覇している。
しかしこれらのケースはあくまで現在よりも参加国自体が少なかった時代の産物であり、高度化した現代サッカーの舞台では実例が存在しない。
今その可能性にもっとも近づいているのはやはりドイツ代表だろう。
世代交代への不安など感じさせない程に若い世代が台頭し、多くのポジションに有力な選手がそろっている。コンフェデレーションズカップを3軍で制覇できる破壊力を兼ね備えたチームはもはや敵なしの存在だ。
しかしそんなドイツ代表も完全なる一強とは言えずライバル国は多数存在する。
2018年ロシアワールドカップでドイツ代表の優勝を阻む国が存在するとすれば、それはフランス、ブラジル、アルゼンチンといったの国々になる。
特に現在フランス代表はドイツと同じく若手選手が台頭しつつあり、グリーズマンを筆頭に新世代がピークを迎える大会として位置づけられている。
そこに何としてでも前回大会の屈辱を晴らしたいブラジル代表、アルゼンチン代表が加わればこの大会の優勝候補は分からなくなる。
同じく選手層で充実しているフランスか、それとも高いモチベーションで挑むブラジルかアルゼンチンか、はたまた他の国々か。
個人的な予想で言えば「二連覇は無い」と言いたいが、それは起こりそうにないからという極めて曖昧な理由でしかない。
そして起こりそうにない出来事ほどサッカーの世界では往々にして起こる、そう考えればドイツ代表の二連覇は起こり得るのではないか。しかしそういった予想をするとやっぱり起こらない、という袋小路に突入する。
また完全にこれはオカルト話に近いが、ドイツはロシアの地と相性が良くないという歴史的な出来事がある。すなわちバルバロッサ作戦のことであり、第二次世界大戦でソ連に侵入したドイツ軍はモスクワ陥落の寸前にまで迫りながら敗走することになった。
その理論で言えばモスクワを落とすことができなかったフランスも同様に優勝できないという話になるわけであり、これはあくまで話半分に過ぎない。
サッカーの話で言うならばドイツ代表の選手層の厚さは最大の武器であり、何らかの理由で中心選手が離脱した場合にも代わりの選手がいくらでも存在するというのは安定している。
本戦においても長期戦を見据えて23人の総力戦に持ち込めばドイツは圧倒的に強い。
前回とやや異なる事情でいえばブンデスリーガの立ち位置だろうか。
2014年当時はブンデスリーガの全盛期にあったが、現在は当時ほどの勢いを無くしている。しかし相変らずドイツ代表自体は充実しているので、バイエルン・ミュンヘンを中心としたドイツ代表強化のためのリーグという意味では十分に機能していると言えるだろう。
とにかくドイツ代表には依然としてほとんど弱点が存在しない、そして相変わらず鬼のように強い。
間違いなくロシアワールドカップでも優勝の最有力候補だ。むしろドイツ代表を止める国が現れるかというのが次回大会の焦点ともいえる。
ストップ・ザ・ジャーマニー、それがロシアワールドカップの一つの見どころになりそうだ。