elken’s blog

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韓国人「日本の水害を見て嘲笑する酷い奴らめ」

「もし韓国に洪水が発生し大きな被害が起きた時、日本のネット民が君たちと同じように歓喜したと考えてみよう。

 

そうするとおまえらは、災害を笑うなんてやはりチョッパリは人の子ではないと発作スイッチがオンになるんじゃないか?

 

おまえらがやってる事を日本人から返されれば、嫌悪発言は悪だと書くのにね。

 

過去を言い訳にしないようにしよう。

今の日本人の多くは1945年後に生まれて日帝強占期とは何も関係がない。韓国に何の被害の与えていないよ。そんなことを言うお前らは同レベルである。」

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韓国のネット掲示板イルベにこのような投稿があった。

この記事は共感数450を集め、逆に反対票は150程となっている。基本的に投稿者に対して厳しいイルベにおいて、この数値は非常に良い部類だ。つまり厳しい目線で有名な韓国人ユーザーの多くがこの投稿に賛同したということである。

そこそこいい記事でも票数が拮抗していることは多く、普段から不謹慎ネタを好むイルベで賛成が反対の3倍というのは相当良い。更に票数自体も多く、かなり注目を集めた記事だ。

残念なことに、多くの「韓国の反応」を謳うまとめサイトでは、このような記事は紹介されない。

このように韓国のネチズンが日本の災害を嘲笑しているような記事だけが翻訳され、それに対して「やはり震災を祝った民度の低い韓国人はけしからん!」というコメントばかりが押し寄せる構造がある。

 

blog.livedoor.jp

 

韓国の反応最大手のカイカイさんですらこの記事だ。

あそこのコメ欄は地獄なので見てもいないが、この記事だけでイルベを判断してやっぱり朝鮮人は酷い奴らだと勢いよく書き込むのである。

 

カイカイは自分自身、韓国のネット文化を深く知るきっかけになったサイトであるし今でも面白いユーモラスな記事を翻訳してくれるので重宝している。ただ、いつかしらか韓国のネット文化を紹介するサイトからよくありがちな保守系まとめ政治サイトに成り下がってしまいつつあるように思う。

 

数年前は「韓国にもユーモアある面白いやつがいるんだなw」とワイワイツッコミを入れて盛り上がる場所だったのだが、今では「韓国はけしからん!」と本気で叱りにきている中高年が増えた。

もちろん、近年の日韓関係を見ていると韓国が悪い部分は大いにある。それについてはしっかりと批判すべきだし、韓国のネチズンもめちゃくちゃ日本に対して酷いことを書いている。日本人として当然気分が悪い内容だ。

 

ただ、そんなこととは関係ないただのユーモラスな記事や日本が関係ない記事、あるいは本当に日本文化が好きで書いている記事にまで「韓国はけしからん」というノリでマジレスしている層がいることが問題なのだ。

ネットがつまらなくなった要因って、若者やキッズ云々による民度低下よりもよりも、普段ゆとりが悪いと喚き散らしているこういうマジレス中高年層が原因なんだろうなと最近思うようになった。

 

いかにも日本の不幸を喜んでいるわかりやすい反日韓国人だけを取り上げて、それに激怒した日本人の書き込みを集めるという構図が海外の反応系には多い。カイカイ反応通信は嫌韓でも親韓でもない、普通によくある所とは違う中立さが魅力だったのだがそれが失われつつあるのは悲しい。

 

nikkan-spa.jp

 

この7年前に記事に既に自分が言いたいことが書いてある。

「黎明期の嫌韓は、『マスコミが報じない本当の韓国を知ろうよ』という純粋な啓蒙活動。一方で、もはや嫌韓に時代を切り開くようなかつての面白さはない。」

この感覚はものすごくよくわかる。

要は嫌韓は完全にトゥルタク(高齢者)のコンテンツになってしまったのだ。嫌韓が完全に若者にそっぽ向かれた要因は、世代交代をして若返るどころかむしろ高齢化してしまったことだ。初期の嫌韓やネット右翼というのは、自分がリアルタイムを経験したから言えるのだが新世代の若者の新トレンドだった。テレビやマスコミのゴリ押しに立ち向かう「情強ネット民」という文脈で語られていた。

 

しかし、スマートフォンの普及以降、ネットリテラシーの低い中高年層が周回遅れで十年前の嫌韓、愛国主義に今更触れてこじらせるようになったというパターンが急増した。

特に李明博の天皇冒涜発言や竹島上陸が「新嫌韓第一世代」を作り、昨今の徴用工問題やレーダー照射問題で新嫌韓第二世代を生み出したことで嫌韓=トゥルタクという構図が確立されてしまった。

彼らこそまさに「韓国の反応まとめでガチで怒っているオッサン・オバハン達」であり、嫌韓黎明期世代や現代の韓流に触れた若者たちからすれば面倒な存在でしかないのだ。

 

はっきりと言ってしまえば、嫌韓は完全にジジババコンテンツになってしまい、まさに「時代を切り開く面白さ」がなくなってしまったのだ。新しい意識に芽生えたある種のかっこいい存在から、ダサいオッサンオバハンになったこと、そして日本の衰退の現実に直面したことで自分のような黎明期世代が嫌韓から離脱した。

 

正直なところ2005年前後の嫌韓は楽しくなかったといえば嘘になる。あの頃の嫌韓は中学入りたての自分にとっては刺激的で、実際韓国の後進っぷりは自尊心を掻き立てる面白さがあったし、韓国の悪行に義憤にかられる情熱もあった。

ただ今思えばそれは開発途上の国に対する精神的な余裕から来ていた。

 

今の嫌韓の何がダサいかというと、ただでさえ中高年層主体の加齢状態な上に、圧倒的に上の立場から嘲笑するわけではなく本気で韓国を憎悪している余裕のなさだ。

昔の嫌韓はただの未開な国をユーモラスに馬鹿にして笑っていただけだったのだが、今のそれは本物の憎悪になっている。ただの途上国ではなく、もう購買力ベースの一人あたりのGDPでは追い抜かれスタイリッシュな国になった韓国に対するみっともない嫉妬になってしまったのだ。

かつて嫌韓厨だったからこそ、未だに嫌韓を続ける情けなさがわかる。

 

そしてもはやそんな時代すら知らない世代が台頭してきている。

スマホが普及しネットネイティブであり、震災後とアジア最高の経済大国ではなくなった後に物心がついた世代はそもそも日本がすごかった時代すらしらない。

そういう世代に対して「ニュースも見ていないのか、勉強もしていないのか、だから韓国なんか好きになるんだ」と説教したところでそれは怖い大人でしかないのだ。まるでビートルズの時に、電子のエレキギターで音楽などヤンキーのやることだと拒否していた当時の老害のように。

そしてそんなオトナ達ほど若者たちからはアップデートが必要な勉強不足の存在だと見なされている。

 

elken.hatenablog.com

自分は昔の知識のままで止まっているトゥルタク世代とも違うし、かといって現代の韓国の光の部分しか見ておらず難しいことに興味がないと考える若者世代とも違う。

 

そういったある種のバランサーや橋渡しのような役割が果たせる人材が少ないように思う。だから自分なりにこうして何度か韓国関連の記事を書いているのだが立場が曖昧に見えることもあり理解されにくい難しさもある笑

ちょっとでも韓国に好意的ならばそれで拒絶して去ってしまう人もいるし、小難しい話はそれだけでシャットアウトする人もいる。

 

そしてまだ自分自身勉強の身だ。

韓国に対する感情は複雑だ。

ただ、それ以上に韓国人の対日感情はもっと複雑だ。

note.com

 

なぜ韓国にここまで興味があるかと言われれば説明が難しい。韓国というだけで単純に嫌韓か反日かという左右に近いグループ分けがすぐにされがちな現代だ。

日本の主張にも韓国の主張にも全面賛成するわけではない。ただ、サッカーの試合だけは絶対に日本を応援するというだけだ。逆に日本にいくら理解がある韓国人でも日韓戦のときだけは絶対韓国応援という韓国人がいたらそれは微笑ましいし自分と立場が似ている。

 

今回の災害についても、普段不謹慎な人たちが集まっている掲示板なので多少嘲笑する書き込みがあるのは仕方ない。

「そもそもイルベは中国だろうが日本だろうが、全てネタにする。」

目の前にあるものは全て茶化して叩くというのが万国共通のネット文化だ。

不謹慎狩りをしすぎると面白くない。彼らは自国の韓国ですら朝鮮だとして自虐で叩くのだ。

 

そういうノリに対してマジになるのはまさしく冗談の通じない余裕の無いネット民である。だからある程度、そこについてはこちらも理解する柔軟さが必要だ。

まるでそれが韓国人の全てであるように曲解してガチで怒り出してしまうとまさしく同レベルとなる。

 

逆に韓国の掲示板にも極端な日本人の反応が翻訳されて伝わっていることは多い。

そういう悪い部分だけを意図的に翻訳して、良い部分は翻訳しないことで間違ったイメージが伝わってしまうというのは災難だ。バベルの塔の話ではないが言語が分離され、未だに翻訳という技術が完成されていないことによりこういった誤解や対立がすぐ発生してしまう。人間はまだ言葉の行き違いすら解決できていない生き物なのだろ。相手の言葉の意図を理解していないこと、それを仲介する人が偏っている場合があること、これらについても考える必要があるのだと思う。