本日(この記事を書き始めていた時点では8月15日)は終戦記念日ということもあり日本酒で豪華晩酌をしている。
茹でたマダコが小ぶりではあるけど四本脚の半分で600円弱
そしてアヤボラ貝という珍しいつぶ貝の一種がお造り用として売っていたので初めて食べることに。
割引で時間経過していたので塩水で洗うことにし、丁度蓋が食べにくく見えたので切り落とし、更に半分に切ったほうがちびちびと食べやすそうな大きさだったのでタコのついでにひと手間加工
ここにワンカップ清酒、そして日本の夏らしくラムネチューハイという趣
ツマとして玉ねぎを敷いてあり、もう一皿パーシャルで冷やしておいてある。これで合計1200円ほどのささやかな贅沢だ。
まずアヤボラ貝が思った以上に美味い!コリコリしていて、加工しているときにも思ったけど磯の香りが素晴らしい。わさび醤油でいただく。ちなみに貝殻のそのままの状態で売っている場合、キモは食べてはいけないので注意だ。貝中毒は人類の命を奪っている生物で言うと上位なのである。癖が強い味で、酒好きにはたまらない、同じく香りの強い日本酒で正解だった。ちなみに関東ではほとんど流通していないとのこと、まさに珍味である。
タコと玉ねぎをわさび醤油で食べる事については言うまでもなく美味
タマネギで量をかさ増し作戦はほんと採用してよかった。栄養面、味、コスパ、全て最強だ。そして私情ではあるが貝と蛸の処理にしろ、玉ねぎにしろ本当に高い刺身包丁を買ってよかった。こんな面倒なことは以前しなかったけど、今はここまでの過程が楽しい。
自称"令和の北大路魯山人"として醤油も旨味のある牡蠣醤油にこだわっている。
夕食はこれだけで十分、この3皿をひたすらちびちびとつまむ大人の時間である。
そして本題に移る。
実はこの特集、待ちわびにしていた。
真珠湾攻撃80周年ということで、"受信料を強制徴用するあの局"が新資料発見によって作成した内容だ。あの局、定期的に新資料見つけてるよなぁ笑
TOKIOが新種発見する頻度より高いんじゃないだろうか。
「この度発見された新資料を元に我々は」で冒頭が始まる率は異常あるある
「しかしまぁ自分もおっさんになってこういうドキュメンタリー番組をしみじみ見るのが落ち着くようになったなぁ」と思っていたがよく考えたら厨二病時代からこんな感じの少年だったなというね笑
当時、軍事オタクや銃オタクが集まるサイトがあったのだが「共産主義の崩壊」みたいな連続シリーズがあって当時そこの奴らと、背伸びしあって大人ぶろうとして盛り上がっていたのが懐かしくなった。今晩もあの特番やるよ、みたいなさ。同世代のコアな奴らが集まっていたいい空間だった。
そんな自分、どうせ歴史の授業のときだけワクワクしているような陰キャだったので、大人になっても同じなのよね、哀しいことに。
世間のリア充や"一般の皆さん"の方々は夏といえば花火やプール、歌番組SP、BBQ、SNSでのジブリやポケモン映画の再放送実況、甲子園などがお好きなようみたいですけど、自分のような近現代史好きのミリオタ陰キャにとってはこの戦争番組こそ楽しみな一大イベントなんだよなぁ笑
しかも「あの戦争は間違ってはいなかった」という右翼や、「戦争は二度としてはいけない」という左翼のような政治意識の高い層とも異なり、単純に戦争番組がワクワクする夏のイベントや風物詩として見ているという不謹慎さ。さしずめ夏のオカルト心霊番組を楽しみにしているようなものである。
心霊番組は毎年少なくなるし、明らかに嘘なので子供の頃のように怖くなれずヤラセとして楽しむものでしかないが、戦争番組は史実が年々研究が進むし大人になるほど意味がわかるようになって怖くなるという"優良コンテンツ"だ。
うちのオカンなんて、「心霊番組最近やらなくて寂しいわよ」とばかり言ってるけど生身の人間の歴史の方が余程怖いのよね笑
心霊番組に物足りない人はぜひ来年から、夏は戦争シーズンだと思って楽しみにすることをおすすめしたい。この暗い負の雰囲気もまた日本の夏だといえる。
映像の世紀の再放送もあったし、「仕方なかったと言ってはいかんのです(B29パイロット米軍捕虜に対する人体実験の内容)」と「国防婦人会 銃後の女性たち」も昨日、一昨日と見た。
そしてまさに今日8月15日がクライマックスNHKスペシャル『開戦 太平洋戦争 日中米英 知られざる攻防』というわけだ。
こういう当時の映像を見ると同じ民族、同じ言語を話す自分と同じ歳かもっと下ぐらいの将兵に不思議な同質感を抱かざるを得ない。自分も当時だったらここにいたんだろうな、と。
上官から今もあるような理不尽な上下関係強要されパワハラ受けて、連合兵の首切ったり撃ったりして、慰安婦を利用して飢えに苦しむ毎日だったんだろうなとか、捕虜になったら地獄の虐待されるかシベリアで数十年重労働だったんだろうなと考える。
だからといって今の時代が英霊さんたちのおかげでこうしてご飯食べてお酒飲めてどれだけありがたいと言い聞かされて、現状の日本を正当化させられる口車には乗らないが笑
あの戦争に負けた国民性は今も随所に我が大和民族のあらゆる所作に根深く蔓延っているのである。
女性は国防婦人会に共感しそうだと思った。
今の日本人女性にも通じるリアルな心理描写というか証言が多く、金属供出でお互い監視しあってもっと出せるでしょと同調圧力でマウント取り合うとか今のママ友社会とそっくりだし、男の子が数人いる家庭は偉くて娘しかいない家庭や子無し家庭は立ち位置が低いのって今も田舎では現役の考えだよなぁと。
女性に選挙権や発言権なくて姑に絶対服従で、国防婦人会が社会の役に立てる居場所になっていったというのは、ネットをスマホ普及以降の今使えるようになって政治厨になるおばさんの多さと酷似しているなと考えていた。
とまぁこんなことを考えているが自分の本質は「ちょび髭きたーw」とヒトラー登場で盛り上がる不謹慎キッズの延長である。
この特番があると電報を送っておいた厨二病時代からの友人とは「真珠湾攻撃の時の零戦2機の映像と歴史の教科書の爆破される基地の黒煙の写真で興奮したよなぁ」という思い出話を度々する仲だ。
久しぶりに映像の世紀を見て、『パリは燃えているか』のメロディを口ずさみながら映像の世紀っぽく自分の動作をナレーションするという不謹慎なごっこ遊びにもはまっている。単に銃で撃つゲーム好きでしたみたいなキッズと違って、歴史の授業のときワクワクしていたみたいな陰キャ仲間にしか共感されないこの感覚ね笑
ちょっと前ヒトラーの演説を分析した特番で、当時の軍歌を聞いたドイツの元ユーゲントのおじいちゃんが急にウキウキになりだして「ドイツ人も全然反省ねぇw」と茶化したと同時に、当時俺らも軍国少年だったんだろうなってのが怖くなった。というかたった十数年前に自分は軍国キッズだったからね、と。空母作れ、憲法9条改正しろと厨房ながらにイキっていた。まぁ正直、いずもは楽しみだけど一応護衛艦だからあれは笑
一番に思ったのは当時日本が近代化や練度では先んじていたとして、広大で悠久の中国大陸の指導者というのは侮っては行けないどころか手のひらで転がされているほど老練だということだ。
日独伊三国同盟を中国の再興にとって好機であり、「3国の孤立を招くだけで効果のない有名無実の同盟関係だけ」とみた蒋介石はさすが。大局観のある戦略家やスケール感のある真の政治家は日本では現れたとしても台頭できない、そこに日本型組織がある以上。日本でも真の知米派の米内光政みたいな海軍大臣や総理はいたのだが長くは続かなかった、というか構造的にどうしようもなかった。
蒋介石というと台湾のイメージだが実際は三国志の武将と同じく中国大陸を駆け抜けた指導者なので、本当に老獪なわけだ。
「国民政府を対手とせず」という近衛声明も、田舎の宮相撲のようで日本国民にとっては強気で聞こえがいいが大局を見て考え直してほしいと開戦一年前、香港で蒋介石の仲介者からの交渉条件を得て暗号を送っていた外交官が存在した。
にも関わらず、「せっかく親日政権の汪兆銘ゲットしたんだぞ、逃げられたら誰が責任取るんだ」と突っぱねる日本政府、大本営政府連絡懇談会だ。
汪兆銘も真の中国愛国者なのに売国奴になってしまった可愛そうな人である。
蒋介石「バトル・オブ・ブリテンで苦労されてますけど我々講話して対日戦辞めちゃうかもねぇ、でもそうなったら日本はイギリスのアジア権益を狙っちゃうかもねぇ(チラッ)」
ギリギリの状況でイギリスとのこの駆け引きはおぼっちゃまくんの近衛文麿には絶対に不可能なこと。
「日本が南部からの攻撃によって中国と米英との連絡(いわゆる援蒋ルート)を切断するという情報が信頼できるソースから手に入った」と損害を過大に報告しつつ「ここで中国を見捨てればアジアで民主主義の信頼が失墜するかもしればない」と米英を揺さぶる。
チャーチル「我々は彼を助けるべきだ(こっちもドイツに負けそうだし絶対にアメリカに参戦してもらわないといけないんだよなぁ、中国が西欧の助けを得られないと悟ったら日本と講話してしまう)」
チャーチルが真珠湾攻撃の知らせを聞いて小躍りしたという話は有名だ。
実はアメリカは寛容で1941年下旬、開戦直前の段階でも妥協案があった。南部仏印撤退で物資援助、中国からの撤兵は求めない、と。
米英は一度中国との同盟を断って蒋介石は酷く失望している。中国からのアメリカの中華系ロビー活動を働きかけていたというのは既に伝わっているが、それでもアメリカはまだ対日開戦に及び腰だった。
このあと中国が抗議し、対日戦に消極的なイギリスを好戦的にさせたのがドイツというオチ
ほんと三国同盟さぁ笑
米英はわりと日本に現状維持路線で、特にイギリスはアメリカほど世論では動かない国だと蒋介石は評していた。むしろ米英のぬるさに失望していたほど。
アメリカに日本と戦うように何年も工作していたがそれでもアメリカは厭戦的だった。
ここにスターリンの思惑によるソ連のスパイ活動や国共内戦で毛沢東も関連してくるので複雑ではあるけどもジャンガイシェク(英語の番組ではこう発音されることが多い)の影響が大きいと見る。
ハルノートだけが悪いと言われているが引き返せる道は以前にいくらでもあった。
無能の近衛文麿が家柄よくてかっこいいは絶対小泉進次郎で繰り返すだろうなぁ笑
軍部の暴走は抑えられても、マスメディアに熱狂した国民というのは今のSNSやヤフコメを見ていると再発防止を保証できない。しかも男と見せかけて、国防婦人会と同じで普通の中高年女性がそういう思想にハマりがちで実際リアルでも見たことがある。
ただ思うのはこの強キャラの蒋介石が実はやられ役で、こいつに勝った毛沢東すげぇということ。
ところどころミクロの政策ではやらかしてるけどマクロではマオの勝利という壮大な戦略的視点
ミクロで見ればひでぇ政治家だけどマクロで見れば超優秀、というかミクロとマクロの大きさと細かさや読みの感覚が中国と我が国では異なる。
よく「軍事指揮官として天才級に凄いけど政治家としては無能」と毛沢東を評するにわかがいるけど、歴史単位で見ると実は政治家としてもっと凄い。中国大陸の政治家は古代中国史と同じくスケールが甚大そのもの。
ちなみに自分は周恩来と林彪について軽くではあるが英語文献を読み通していて、三国志というよりも近現代の大陸浪漫に関心が強い。
斯様に中国大陸の老獪、老練な指導者というのはここまで見てる。毛沢東を軍事では凄いけど政治では無能と評している限りまだまだ日本人の大局観は見通しが甘い。毛沢東は称賛するわけではないが政治手腕の見事さで評価しなければならない。あの国はアメリカを手玉に取り、旧ソ連とガチガチの取引を渡り合ったレベルだ。
一見すると中国対アメリカという構図ばかり取り上げられるが、日中の戦いのあとに中ソ対立を乗り切った。中ソ対立にこそ中華人民共和国の老獪さが現れている。
アメリカはやっと、その中国の驚異に気づいたほど最近まで対中政策をずっと見誤っていた程である。
戦前も戦後も技術と練度では中国に勝っているという慢心があって日本人は行動していた。
蒋介石、こんな強キャラだったんだなと今さら気付くというね笑
第二次世界大戦ファンとしては、言葉悪いけど「地味なキャラ」が蒋介石だった、しかし見事に日本は読まれていたなと。そしてこいつ破った毛沢東が更にいるという。
そもそも国共内戦が真の問題で日本の侵攻は表面上の問題と見ていたのが両指導者だ。考え方のスケールからして違い、壮大な戦略がある。どうしても日本人には持てない、想像の及ばない感覚だ。
蒋介石の日記を分析した中国人教授は日本語ペラペラだったけど、日本の場合こういう人材はいたとしても片隅のマニアックな立ち位置で終わる。人材登用のセンスとでも言おうか。
かと言って島国だからそういう視点が持てないかというと、イギリスがこの分野では最強。日本人も戦国時代や、明治前後はアジアでもっとも先進的な観点を持っていた。本来、日本は海洋国家という視点を持っている国だ。
とある時点で日本人が無能になるポイントというのが歴史の一定の法則で現れることを突き止めればならないのではないか、と考える。例えばドイツが近視眼的になって非常に優秀な発明は生み出すが負けてしまうというパターンのように。技術がなくても勝てるという世渡りをよくわかっており、力量差での勝ち方については中国の歴史に莫大なサンプルがあるわけだ。
4千年の歴史凄いアルよ(これ実はすごい台詞だった)
技術どころか国力でも負けていると日中の国力差を見ながら、その弱点を補う行動した蒋介石と、多くの専門家がアメリカに国力で負けているとわかっていたにもかかわらず誤った選択を繰り返していた日本
これは単純にすぐわかる問題ではないな、と思った。
それこそ、若い頃のほうが単純に怖い心霊番組と違って、もっと人生を過ごしてからやっと数十年後わかる違いや"怖さ"なのではないか。
これぞ自分が経験したやっとわかる真夏のホラーである。