今の久保裕也がオランダ時代の本田圭佑に似てきてる件
久保裕也がベルギーリーグの試合でまたゴールを決め、しかもそれが中央をドリブルで4人ぶち抜きのスーパーゴールだからすごい。素晴らしい個の力でのゴール、ベルギーでその実力が進化していることを証明しつつある
迷わずまっすぐ前にドリブルし相手ディフェンダーを翻弄しそしてしっかり決めきる、理想的な中央突破のプレーで今日本の海外組プレーヤーの中で最も乗ってる選手の一人であることは間違いない。
しかもベルギーリーグのヘント加入が今年の1月でシーズン途中加入にもかかわらず7試合5ゴールというのが凄い。スイス時代を合わせれば今シーズン17ゴールになる。レベルに差はあれど今日本で最もゴールを決めている選手で、他海外組がゴールに苦戦している中で唯一ゴール量産の朗報をもたらしてくれているのが久保。
久保のゴール量産の背景にある要員はとにかく仕掛けようという意識やゴールを取ろうという意識があるように思える。ゴールを狙う意識が今最も高い。スイスのヤングボーイズ時代に「仕掛けなければ点は取れない」ということを言っていたけどまさにそのプレースタイルを体現していてそれが数字に表れている。
ゴールはケチャップのようなものだという名言のように今そのケチャップが爆発的に溢れ出している。
そしてその姿はかつての本田圭佑を彷彿とさせる。本田圭佑はオランダリーグのVVVフェンロに移籍した後2部降格を体験する。
「俺のキャリアで2部なんてありえないと思っていたから。2部でアシストやチームプレーをしても注目されないでしょ。ゴールに餓えてる。とにかくゴールという意識に変わった。」
その2部落ちをきっかけに本田圭佑はゴールに注力するようになりその爆発的活躍によってオランダリーグ1部に復帰、1部でも活躍しスアレス、アフェライ、本田圭佑でエールディヴィジの若手三銃士とも言われていた。
その後ワールドカップ前年にCSKAモスクワに移籍し、CLで活躍し南アフリカワールドカップで岡田ジャパンのセンターフォワードとして2G1Aの大活躍により日本代表をベスト16に導いた。
今ベルギーリーグはかつてのオランダリーグのような立場にある。オランダリーグがかつてのような競争力を失いベルギーリーグがそのかわりに育成リーグとして躍進しつつある。ちょうどかつてのエールディヴィジが今のジュピラーリーグに当てはまる。
オランダリーグで頭角を現した本田圭佑、ベルギーリーグで次の段階に進化しつつある久保裕也、どこかその2人の姿が重なる。
かつて本田圭佑に感じたギラギラ感、それが久保裕也にはある。ギラギラした若手、何かを勝ち取ってやろうという野心、その意志は最近の彼の言葉にも表れている。
「今は自分で突破できる選手になりたいという思いが強い。相手を背負っても前を向ける強さも必要だと思います。ベルギーは個人能力を高められるリーグ、すべてポジティブに捉えています」
「ベルギーはスイス以上に相手選手との対人プレーが多いし全体にスピード感もある。個人でゴールに直結するプレーを見せるなど何らかの違いを周囲に見せないとダメだと思います」
かつて本田のやった意識改革、メンタル面の改善、それに近いことを久保はフィジカル的なプレー面と同時並行でやってるようにも見える。「突破できる選手になりたい」「ゴールに直結するプレーのように違いを見せないといけない」という言葉にはゴールゲッターやストライカー、フォワードとしてのメンタリティを感じる。
フォワードやゴールというのは水物のようなものがある。メンタルが乗っていけば取れることもあるしいくらやっても取れない時がある。不思議とメンタル面が向上してる時は取れるといろんなフォワードが言っているし、水物的要素があるというか不思議な物でもある。
プレーは良くないけどギラギラしている選手が取れたりいいプレーをしてるはずなのにあとちょっとで取れなかったり。今の所久保の場合それが上手くはまっている。
龍が如くの登場人物のようなそのギラギラ感、ゴールを仕留めるハンターの顔つきは日本代表の決定力という意味でも期待できる。かつて本田圭佑は「成り上がる奴は決めるところで決める」と言っていた。
プレーの質の面ではドイツリーグ組の選手にはまだ追い付いていない部分はあるが「もってる男」という意味では久保に何かを感じる。来年のロシアワールドカップはもしかしたら久保にとって持ってる大会、なりあがる大会になるかもしれない。更に小林祐希にもそういう要素を感じる。2011年前後の日本サッカー界が明るすぎただけに、今の状況はパッとせず物足りなく感じるがちゃくちゃくと水面下で成り上がろうとギラギラした野心にあふれかえっている選手がいる。
こういう時にスターや救世主というのは不思議と出てくる。ロシアワールドカップはもしかしたらそういった「サプライズ」の大会になるかもしれない。