elken’s blog

ジャニーズとサッカーを中心にあらゆることを評論するブログ

パク・チュヨンという伝説の夜逃げ師

よく「唯一尊敬できる韓国人サッカー選手」というような話題でパクチソンがあげられるが、自分の場合はパクチュヨンを尊敬している。

この人の何が凄いかというと「散々兵役逃げ回って、結局最後のギリギリで兵役免除勝ち取った」という粘り強さ。

そして自分はこの生き方に憧れ尊敬している。

自分が何かのヒーローや華やかな生き方はできない凡人であることをわかっているがゆえに、こういった現実的な生き方をかっこ悪くてもやっていく姿に憧れている。

よく岡崎慎司や中山雅史に憧れているサッカー少年が「自分は華やかなテクニックは無いけどこういったがむしゃらにかっこ悪くてもゴールを狙う姿を尊敬する」という事と似ているかもしれない。

もう自分自身かっこいい生き方を出来ないことを理解しているからかっこ悪くても最後に勝ったパク・チュヨンに憧れる。ある意味自分の人生の師匠がパクチュヨンかもしれない。

 

決して同じ韓国代表の朴智星のようなかっこいい生き方ではないし尊敬されるような選手ではない。だが誰しもがかっこいい生き方を選べるわけじゃない。

時として無様に逃げ回りながらも最後の大舞台で活躍し大事なものを勝ち取る、そういう生き方もあっていいのではないか。夜逃げでアーセナルに移籍し、そこで活躍できず笑いものにされても彼はギリギリのところで勝った。

パク・チュヨン

そもそも自分の場合パクチュヨンのことは最初ネタにしていた。

某掲示板では「夜逃げ」「ぼっち」「(顔が)韓国の俊さん」などと笑い者にされ自分自身もそれを笑っていた。

 

「いくら逃げ回っても結局兵役に送られるぞ」とか、「ASモナコの移籍話を裏切って急にアーセナルに移籍する夜逃げ野郎」などと笑っていた。アーセナル時代はフリーキック練習用の器具が唯一の友達とか、セルタ時代は「おだてればすぐスパイクをくれる」とか現地での扱いもダサかった。

まさにロンドン五輪までのパクチュヨンの立ち位置はどん底そのものだった。

 

しかしいつまでも笑う事はできなかった。

ロンドンオリンピック、銅メダルがかかった3位決定戦の重要な日韓戦。なんとこの笑い者にしていたパク・チュヨンが鮮やかな切り替えしを決めて日本に先制ゴールを決めた。

この時のパクチュヨンの喜び方は心から「助かった」と喜ぶようなものだった。どれだけ重いものを背負って彼は非難に耐えながらプレッシャーと戦いながら戦っていたのかが伝わってきた。

日本人としては悪夢のゴールだったし「パクチュヨンごときにあの切り替えしを許すなよ!」と思ったが朴主永の思いが打ち勝った。もはやあのゴールで笑い者にすることはできなくなったし、本人も兵役免除を勝ち取り、メダルをもたらした大英雄となった。

まさに負ければ兵役送りの最後の一戦、しかも宿敵日本に打ち勝たなければ韓国社会で「大戦犯」として扱われる立場にいたのだ。

 

韓国社会では兵役に行かない男子はまるで非国民のように扱われ、それに加え日本相手に負ければ「戦犯」のように扱われる。

この一戦で負ければまさにパク・チュヨンは兵役から逃げ回った非国民であると同時に日本に敗れた戦犯になるリスクを抱えていた。

それまでも散々兵役から逃げ回るような行為を行っており、韓国メディアからは厳しく糾弾されており、強制的に兵役に行かなければならないタイムリミット限界の所でまさにパク・チュヨンは日本代表相手に勝利し銅メダルを確定させた。

 

仮にこの一戦で負けていたら朴主永は兵役送りにされ、厳しい韓国の軍隊社会でいじめられていたであろう。韓国軍の体質は非常に厳しい物であり上官にいじめられるのが恒例となっている。その中に兵役から逃げ回っていたことが既に批判されていたパク・チュヨンが送り込まれていたらどうなっていたかだろうかは想像に難くない。

日本人には想像ができないが、これほどのモチベーションで彼らはあの試合に挑んでいた。結局オリンピックサッカー日本代表は因縁の対決にも破れ、釜本邦茂以来数十年ぶりのメダルを獲得することもできなかった。

しかしモチベーションの差を考えたときそれは必然だったのかもしれない。本来サッカーとはこれだけの厳しい戦いを行って結果が得られるものなのである。

 

パクチュヨンは兵役から逃げ回っても最後の最後の大会で勝ちきった。

人生のかかった重要な普通では立ってもいられないようなプレッシャーの中で結果を出す。"負ければ地獄送りの試合"で勝ちきる、そういうことを大事な舞台できっちり達成できる人がどれくらいいるだろうか。

常人が経験しないようなプレッシャーのある舞台であれだけのことができる、自分はその凄さに圧倒された。

かっこ悪い生き方かもしれない、確かに逃げ回ったかもしれない。

でも最後の最後大事な勝負に勝って人生を変えた。

韓国国民の大戦犯になるか大英雄になるかの極限の勝負で勝ちきった。

だから自分はこの伝説の夜逃げ師のかっこよさに憧れるのである。