メッシをワールドカップ優勝に導く監督はサンパオリか?
今現在サッカーアルゼンチン代表の監督人事が水面下で面白いことになっていて、ホルヘ・サンパオリの就任がほぼ目前まで来ているようだ。
サンパオリといえば今季セビージャの監督としてリーガエスパニョーラの舞台で旋風を巻き起こし、次期バルセロナの監督候補として熱望されているほどリーガで魅せた指揮は評価されている。稀代の戦術家として着実に評価を上げ世界中のビッグクラブが争奪戦に走っている。
その一方で母国アルゼンチンの代表監督としても協会から熱望されているらしく2018年ロシアワールドカップでの指揮、そしてまずは南米予選の突破をこの名将に任せる算段であるようだ。
実際まず南米大陸予選でアルゼンチン代表は苦戦しており、出場権を逃すことも現実的に危惧されるようになってきている。更にリオネル・メッシがトップフォームで参加できる最後の大会とも目されており、何としてでも出場しメッシにワールドカップを掲げさせたいアルゼンチンサッカー協会として救世主となる指揮官をサンパオリと定めたのだろう。
更にサンパオリ自身もメッシを指揮したいと語っており残すはセビージャとの交渉になっている。解任のためにはセビージャ側に違約金を払うしかなく、南米予選突破、ワールドカップ優勝とその違約金を天秤にかけてどちらを獲るかという状態である。
メッシほどの選手の加え、他の人材もワールドクラスが集まり円熟味を迎えるこの絶好の機会を逃せばアルゼンチンは今後20年これだけの陣容をそろえられない日々が続くかもしれない。
この最大の危機であり最大のチャンスである状況に違約金を払ってでもサンパオリを就任させるという大きな賭けに出たアルゼンチン代表がどうなるか、それは全て2018年のロシアワールドカップで明らかになる。
ビエルサイズムを受け継ぐ「サッカーマニア」のサンパオリならアルゼンチン代表を復活させられるかもしれない。現代サッカー界屈指の名将がリオネル・メッシというサッカー史上最高の天才に唯一かけているタイトルを掲げさせることができるかに注目が集まる。
それにしてもここ最近アルゼンチン出身の監督が確かな実績を上げている。ディエゴ・シメオネ、ホセ・ペケルマン、ホルヘ・サンパオリ、マルセロ・ビエルサは有名であり前回ワールドカップでアルゼンチン代表を決勝に導いたのもまたサベーラというアルゼンチン人監督である。
ディエゴ・マラドーナ「誰か忘れてませんかねぇ」
またキューバ革命の英雄エルネスト・チェ・ゲバラも世界的に有名なアルゼンチン人である。南米からは情熱家も戦略家も、理論家も現れる。宗主国からの独立を闘争によって勝ち取ってきた国だからこそそういった偉大なる指揮官が誕生するのだろうか。ラテンアメリカには魅力的な歴史も文化も、そしてサッカーもあり旅情や憧憬を感じずにはいられない。
そんなラテンアメリカの雄アルゼンチンから今リオネル・メッシというサッカー史上最高の天才が誕生し、来年のワールドカップでの王座を目指している。メッシはロシアで歴史を作るのか、仮に優勝した暁には「歴史上もっともすぐれた選手は誰か」という議論についに決着がつくだろう。確実にワールドカップの歴史、そしてサッカーの歴史に刻まれる大会となるはずだ。
それだけ重みのある大会がいよいよ来年に迫ろうとしている。だがまずは現実の問題が山積しているホルヘ・サンパオリが無事アルゼンチン代表監督に就任できるか、そして無事南米予選を突破できるか。現時点ではこの2つが最大の難関であり仮想を語るにはまだ早すぎる。しかしほぼ1年後に迫ったワールドカップに向けて本格的に各国が動き始めているのは事実だ。世界最大のビッグイベントがどのような結末を迎えるか楽しみにせずにはいられない。