本田圭佑のアーセナル移籍とかいう飛ばし記事www
相変わらず本田圭佑の移籍先を巡る情報は活況としているが、さすがに今回の「アーセナル移籍」は明らかに飛ばし記事だとわかる。
"エアオファー"の達人である本田圭佑ファンはその移籍に信憑性があるかないかをもはや本能で判別することができる。
CSKAモスクワ時代ならばまだ盛り上がることはできたが、さすがに今はあり得ないことに気付く。もう今は2017年でありCSKAモスクワにいたのは4年も前の話だ。
何でもそのアジア戦略における知名度やブランド力、マーケティング力をアーセナルが重視しているらしくアジアでは知名度の高い本田圭佑に白羽の矢を立てたのだという。
恒例の「マーケティングマン」扱いの移籍だが、正直こういった話はもうACミラン時代でうんざりしているのが本田ファンの正直な本音でもある。
ただその可能性を全否定することはできず、こういったなさそうな移籍が思いがけなく成立してしまうことがあるのもサッカーの世界でありいくつかの根拠は存在する。
1:アーセナル移籍自体は難しくない
これまで日本人選手でも稲本潤一、宮市亮、浅野拓磨らがアーセナルへの移籍を果たしており所属すること自体はそこまで難しい物でもない。
入るのは簡単、しかし定着して活躍するのは難しい、そういったクラブがアーセナルでもある。
またアジアでは韓国代表のパク・チュヨンも一瞬在籍していたことがあり監督のアーセン・ベンゲル自体がアジア人を評価している部分もある。
宮市や浅野の場合レンタルでの移籍によって流浪のキャリアを辿ることになったが、本田の場合マーケティング目的なのであればもうレンタル移籍ということはありえないだろう。そもそもレンタル修行に出して成長が見込める年齢でもなく、万が一にも移籍が成立するならばトップチームの戦力として計算されるものだと思われる。
現実にプレミアリーグは非常に過密日程であり出場機会が全くと言っていいほどないわけではない。「カップ戦要員」として少しでも出場すれば「アーセナルで活躍する本田圭佑」を見ること自体はできる上に仮に活躍すればプレミアリーグでの出場も廻ってくるかもしれない。
しかし現実的には「パク・チュヨンの再来」となる可能性が高く、アーセナルにおけるアジア人選手の系譜が確立される結果になるかもしれない。
2:アーセナルFCがアジア戦略を重視しているのは事実
プレミアリーグがこれほど世界的に人気な理由はアジア市場を重視しているからであり、日本が例外的なだけでほとんどのアジア諸国ではプレミアリーグが圧倒的な人気を誇っている。
現実にマンチェスター・ユナイテッドは「世界で最も資産価値の高いクラブ」になっており、かつてほどの栄光を失った現代界においてもレアル・マドリードやバルセロナを上回る資産価値を兼ね備えている。
この現代においてプレミアリーグのチームがアジア戦略を軽視できるはずもなく、特に日本で人気の高いアーセナルはそのアジア戦略のメインを日本だと考えていてもおかしくない。
日本が他のアジア諸国と違うのはイタリアやスペインがイングランドと同等かそれ以上に人気な事、そしてそのイングランドの中ではアーセナルが人気という事である。
プレミアリーグで最も人気なチームがアーセナルFCというのはアジアの中ではかなり珍しく、その希少な国をアーセナルが重要視していないはずがない。
またベンゲル監督はJリーグの名古屋グランパスで監督を務めていたこともあり、その縁もあってアーセナルサポーターの日本人が多いという事情もある。そしてその名古屋グランパスに所属していたのが実は本田圭佑であり、もし移籍が成立した場合「元名古屋グランパス」の監督と選手がそろうことになる。
このことがマーケティングに与える影響は大きく、仮にカップ戦に出場するだけでもその効果は計り知れない。
またかつて香川真司がマンチェスター・ユナイテッドに在籍していた時は日本企業のスポンサーも数多く進出し日本代表レベルの選手を獲得することの意味の大きさは理解しているだろう。
3:現実的にはアーセナルではなくハル・シティ
しかしどれだけ肯定的な理由を探したところで現実的には移籍シーズン恒例の「飛ばし記事」だと考えたほうが自然である。
本田圭佑自信は「出場を優先して移籍したことは無い」と語っており、成長を優先しているが今この年齢でアーセナルに移籍して成長が見込めるかは不透明である。
アーセナルに移籍して"環境先行型"と公言するスタイルによって成長して、果たしてそのクラブでどういったゴールが待っているのかと考えたときに希望的観測は難しい。こちらもまた移籍が騒がれている選手だが、そのメスト・エジルからポジションを奪う事は絶望的に不可能だと言っていい。
今のアーセナルはスタジアム建設費を完済したことで予算が潤沢になっておりビッグネームが続々とやってくるクラブにもなっている。またベンゲル自体若手を優先する傾向もあり、中盤が激戦区でもあるアーセナルで本田圭佑に巡ってくる出場機会はそれほど多くないだろう。
ACミラン時代のようにベンチを温める日がまた繰り返されるかもしれない。いや、ACミラン以上に競争が厳しいビッグクラブであり次々と世界中から有力な選手がやってくる。
その一方でイングランドの2部にあたるチャンピオンシップを戦うことが決まっているハル・シティからのオファーがあるとも言われている。
以前実際にオファーをだし本田サイドが断った経緯があるが、今回CSKAモスクワ時代の恩師レオニード・スルツキーが新監督に就任したことで新たな展開が起こり得る可能性もある。
イングランド2部は下部リーグでありながらも予算は潤沢であり、決して悪い条件のオファーではない。問題はその2部の荒削りのフィジカル的なスタイルで、古き良きイングリッシュフットボールの面影を残しているという事である。
フィジカル的に下り坂にある本田圭佑が、フィジカル重視を前面に打ち出すイングランドらしい2部リーグでどれだけ活躍できるかは未知数だと言える。
その一方で本田圭佑といえばオランダリーグ2部でVVVフェンロを昇格に導いたこともあり、本田圭佑が最も華やかな活躍をしていた時代でもある。2部リーグということでVVVフェンロ時代のような姿が見られるならば本田ファンとしては楽しみでもあり、仮に2部で優勝しプレミアリーグに昇格することができればイングランドの小さな町の英雄になれるだろう。
実際現地メディアの報道によると「あの本田圭佑が来てくれるのか」という論調であり、日本人はプレミア2部を過大評価しており現地も人々もまた本田圭佑を過大評価している。
日本人からすればプレミア2部に本田圭佑が行けるのかという感覚であるが、現地の人々は「ハルシティはそんな大げさなクラブではない」と思っており、逆に日本人もまた「本田圭佑はそんな大げさな選手ではない」とも思っている。
そう考えたときに意外と相性が良さそうな気もしてくるし、スルツキーと2部優勝や昇格を目指してという野心的なプロジェクトをするならばやりがいもあるかもしれない。英語が通用するという事と、サッカーの本場であり2部リーグも情熱的なサポーターが多いという事と、そして昇格すればプレミアリーグに参入できるという事も含めれば魅力的な挑戦かもしれない。
スペインの降格圏のチームや2部のチームの劣悪な施設で過ごしたりアーセナルに移籍し第二のパク・チュヨンになるよりはハルシティの方が快適かつ野心のあるチャレンジもできる。
本田圭佑は「自分が組織を動かし変わっていく過程が面白い」と語っているが、ハルシティならば降格に沈んでしまったチームを再びプレミアリーグに戻れるチームに改革するというプロジェクトに挑める。
本田圭佑が挑戦として選ぶのはよりハイレベルな高みに挑めるアーセナルか、それとも組織改革に挑めるハルシティか。はたまた別の国のチームか、どうなるか見てみよう。