elken’s blog

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ネイマールは本当にPSGに移籍してしまうのだろうか

最初は良くある飛ばし記事の一つでしかないように見えたネイマールのPSG移籍報道だが、徐々に現実味を帯び始めてきている。

バルセロナにとってはメッシの次の時代のエースを託すつもりでいたはずのネイマールがパリ・サンジェルマンを新天地に選ぶことは衝撃だろう。

 

少し前までは「ネイマールがパリに行くことは200%無い」という論調だったが、ここ最近は「半々」という状況になっており、ブラジルメディアは既に合意したと報道している。

 

バルセロニスタ「ありのままに起こってることを話すぜ。来シーズンに向けた補強にワクワクしていたら、主力のエースが出て行こうとしている。何を言ってるかわからねぇと思うが恐ろしいものの片鱗を味わうことになりそうだぜ。」

 

正直なところ自分も今回ばかりは不安になっており、ついにMSN終焉の時、いやバルセロナやスペインサッカーの時代が終わるのではないかという危機感もある。

報道されている移籍金の額は280億円とも言われており、パリ・サンジェルマンが本気を出せばこの金額を支払う事さえ厭わない姿勢に驚愕せずにはいられない。

世界のサッカー勢力図が巨額のマネーによって移り変わろうとしており、もはやスペインの二大メガクラブでさえも太刀打ちできない時代に突入しようとしている。

 

元々ブラジル人選手や南米のサッカー選手は、給与目的の移籍が多いがネイマールもその系譜に連なる存在なのだろう。覚悟していた部分はあるが、まさか本当にここまで現実味がある話になるとは思っていなかったのが正直なところだ。

 

数年後UEFAチャンピオンズリーグでは「シミュレーションもサッカーの一部だ」と擁護していたバルセロニスタが、ネイマールのダイブ行為を目の前でみせられることになるかもしれない。

 

仮にこの移籍が実現するとしてネイマールjrの立場で考えてみると、それは必然のようにも思う。

バルセロナにはリオネル・メッシという絶対的な選手がおり、もともとネイマールが移籍した理由の一つでもあり相性自体はとても良い。しかしそのメッシがいるゆえにいつまでも主役になれないというジレンマも存在する。

メッシがいるから活躍できているが、メッシの存在があるから主人公になれない。

 

PSGならば絶対的なエースとして自身を扱ってくれる上に、高額の給与も弾む。

現実にブラジル代表においてメッシ無しでも活躍できているため、バルセロナの選手と離れることは大きな問題にはならないどころかCLで優勝すればバロンドールさえも見えてくる。

ネイマールほどの選手が一度もバロンドールやワールドカップに恵まれなければ、ペレから「結局ワシを越えられなかった」とお決まりの言葉を受けることにもなる。

燦然と輝くセレソンの歴史に名を残すのであれば、ここで大きなチャレンジが必要となるかもしれない。

更にバルセロナより規模の大きい世界屈指の都市パリで活躍することは自身のブランドイメージを高めることにもなる。

ネイマール

またバルセロナの立場として考えても実はこの移籍は悪い事ではない。

確かにネイマールのプレーはファンタジーに溢れておりその攻撃力に大きな影響を与えていた。サッカーの歴史上最高の3トップとも言われるメッシ、スアレス、ネイマールのトリデンテの一翼を担っていたことは間違いない。

 

その一方でMSNトリオには大きな問題があった。

それはMSNの誰かが不調に陥ったときや代役が見つからない時にバルセロナ自体が弱体化する傾向にあることや、年々影響力を持ち財源の面で大きな負担になっていたという側面もある。MSNが絶対的であり、なおかつ3人とも出場することを強く望む選手であるがゆえに中々新しい選手が移籍してこないという問題もあった。

3人のコンディションが絶好調ならば最高の破壊力を発揮するが、チームが彼ら頼みになっているため時として機能不全に陥ることもあった。

特にネイマールはドリブルでボールを持ちたがる傾向があり、それが打開力になっていることは事実だが時として円滑な連携を阻害する原因になっていたこともあった。

 

未だにバルセロナファンの中でも「MSNよりMVPの方が美しかった」との呼び声は高い。すなわちペップバルサ時代のメッシ、ヴィジャ、ペドロのトリデンテかもしくはアレクシス・サンチェスが加わっていたネイマール以前の時代も同様に人気が高く圧倒的な強さと機能美を誇っていた。

 

逆に今のMSNは彼ら3人が別格過ぎていわば前後分断サッカーのような形になっていた。南米出身の3人にパスを出してあとは彼らのコンビネーションで自由に点を取ってもらうというスタイルがここ数年のバルセロナの戦術でもあり、グアルディオラ時代を知る人々からは本来の姿ではないとも批判されていた。

かつてヨハン・クライフはネイマール獲得時に「チームに船頭は2人も必要ない」と語っていたが、再びメッシを中心にする時代や中盤を重視する時代に戻るのであればバルサらしさも取り戻せるだろう。

現にサンチャゴ・ベルナベウで行われた直近のエル・クラシコはネイマール無しでレアル・マドリードに打ち勝つことができた。必要に見えて必要ではない、それがネイマールなのではないか。

 

仮に280億もの移籍金が支払われ、高給を常に要求していたネイマールが去ることになればバルサの財源は大きく潤うだろう。むしろその資金で有力な選手を獲得したほうがチーム全体としては強化される可能性もある。

例えばネイマールの位置にアルダ・トゥランを起用すれば新しい選手の補強も必要ないだろう。トゥランは高い位置で起用されたときは結果を出していた選手であり、イニエスタのサイドでの起用という奇策もありかもしれない。

また補強という意味ではチェルシーのエデン・アザールやドルトムントのウスマン・デンベレ、ユベントスのディバラは有力候補になる。

「MSNがいるから自分は控えになるしかない」と移籍を断ってきた選手が次々とバルセロナを移籍先の候補として選ぶようになるのではないか。

 

更に中盤の補強もこれで有利に進めることができる。

例えばマルコ・ヴェラッティをトレードする形でPSGから呼び寄せることができればむしろチーム全体としては強化されるかもしれない。280億でアザールかディバラのどちらかとヴェラッティを獲得できればネイマールが残るよりもチームとして向上し、再びCL優勝を果たすことができるのではないか。

現在バルサが宿敵レアル・マドリードの後塵を拝している理由はチーム全体としての戦力の違いにある。MSNは世界最高だが、それ以外の戦力で全盛期の輝きを見せることができなくなっている。

MSN依存の前後分断サッカーから脱却できるならばむしろ次なる飛躍のきっかけにさえなる。

 

ネイマールのドリブルや創造性が強豪チームに対する打開策となっているとの見方もできるが、ネイマールがいるから中盤軽視のサッカーになっていた側面もあることは事実だ。

かつてグアルディオラがチームをロナウジーニョの時代から脱却させたように、むしろネイマールの移籍は良い転機になる可能性すらある。

 

ただ問題はPSGが本当にヴェラッティの移籍を容認するかどうかで、ネイマールまで来て自分の給与の増額を受け入れてくれればバルサ移籍に傾いていたイタリア人は心変わりするかもしれない。

ディ・マリアもヴェラッティも獲得できないどころか、むしろネイマールを強奪されるとなればカンプ・ノウでの逆転劇に対する最大の復讐劇になる。PSGはバルサに敵対心を抱いており、今回のネイマール獲得もある種の復讐に近い面があるのではないか。

悲観的な予測になってしまうがメッシが下り坂に入れば、これから全盛期を迎えるネイマールを中心に据えたPSGに立場を逆転されてしまう事もあり得る。

これでネイマール退団の代わりに移籍してくる選手がパウリーニョともなればその落差にバルセロニスタは耐えられないだろう。

 

しかし同時に再びバルサの時代に変えるチャンスともなり得るのがこの移籍でもある。

元々バルセロナファンの間でもネイマールの移籍を容認する意見は多かった。

「ネイマールが来てからバルサの戦術も、そしてメッシのファッションや雰囲気もおかしくなった」

「メッシだけでなくネイマールまで特別扱いするようになって給与面でのヒエラルキーが崩壊した」

このままネイマールの特別扱いを続ければ、かつてのロナウジーニョのようになってしまう可能性もあり、これから順調に成長し続けバルセロナのために尽くしてくれるとは限らない。

親子で銭闘をし続ける選手を抱えていれば、バルセロナの選手全体に不満が形成されるという問題もある。

MSNの人件費はもはや膨大なものになっており、その維持のために犠牲にしているものも多かった。

そして今のバルセロナが欧州トップレベルのチームではなくなりつつあることも現実であり、改革が必要な時期に来ている。もし仮にPSGに移籍することになったとしてもそれは必ずしも悲観的な物ではないはずだ。

現地点ではもちろんバルサに留まることを願いたいが、移籍を選ぶのであれば無理に止めることはない、それが率直な感想のように思う。

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