elken’s blog

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日本代表対ベルギー代表0-1の敗戦 率直な感想

ハリルジャパンになってから実質初めてとも言える強豪国との二連戦、日本代表は11月15日ベルギー代表と激突した。

この試合はかつてザッケローニ時代に勝ったことがある相手でもあり、ハリルホジッチとの比較の意味合いもあった。

 

率直な感想は「朝早くに見るほどの試合ではなかった」という内容であり実際0-1で敗戦している。

世間の大方の見方としては現代表に対して不満の声が強く、批判される流れになっている。

 

ただ自分の見方としては「そこまで悪くはなかった」という印象を抱いた。過度に悲観的になる必要はなく実際良い部分も多く見られたし引き分けで終えていればイメージは大きく違っていたように思う。

 

その一方で凄く良いというわけでもなく評価しにくい試合、意見が分かれる試合だったと言える。

FIFAランク5位の国にFIFAランク50位ぐらいの国がこの試合を出来たという事実だけを見れば言う程悪くはない。グループリーグでベルギーから勝ち点1を取る、あるいは決勝トーナメント第一戦で塩試合してPK戦に持ち込む姿を想像すればこの試合は絶望的な内容ではなかった。

そういうことをする必要が出てくるのがワールドカップという舞台でもある。

 

特にチーム全体としての守備面は非常に良く、及第点以上の物があったように思う。

プレスの連動は綺麗で青いユニフォームが押し寄せる姿は見ていて面白かったし強豪相手に通用する要素はあった。攻撃は華麗ではないがプレスをかける連動や守備でデュエルし厳しく行く部分では美しいチームに仕上がりつつある。

ガットゥーゾが闘犬ならば井手口陽介はまるで小さな猟犬のようにベルギー代表に喰らいついていた。この二試合を終えてこれから劇的に成長する選手は井手口なのではないだろうか。

失点につながったパスミスと最後に乾貴士に通せなかったパスがあったものの、それがかなり良い成長材料になりそうだ。

 

全体としての守備に大きな不満は無く失点までの戦いがワールドカップ本戦で4試合連続で出来ればベスト8もワンチャンあり得る。

 

ただそれはあくまでワンチャンスをものにできればという前提で、現状の攻撃陣を見るとオフェンスには大きな問題がある。

一言で言えば得点の雰囲気が一切存在しない。

浅野拓磨と原口元気の両翼は得点からはほど遠く、前半のムードから無得点で引き分けに終わる雰囲気を感じずにはいられなかった。

 

一方で浅野はこの試合に高いモチベーションでは行って居てポジティブに表現するならば「果敢」だった。チャンスは確かに作れていた、ただそれを物にできるところまでは行かなかった。全盛期のルイス・スアレスなら決めることができるプレーを狙ってはいたものの浅野拓磨の浅野でしかない。

ベルギーの左サイドのスペースが結構開いていたことを考えると、よりタイトになる本戦でのサイドからの攻撃は残念ながら現状では期待できそうにない。

本人の姿勢や勢いは良い物の才能や技術が追い付いてないのが現実だけれども、まだわずかながら成長のための時間は残されている。

原口元気は更に攻撃面で存在感が無かった。

 

この試合最も感じたのが「なぜ乾貴士をもっとシンプルに使わないのか」という事で、もっと早くから投入してシンプルに乾にもっとボールを渡してほしかったように思う。

乾貴士が入ればパスを集中して出すという共通理解があっても良い気はする。

乾ならやってくれそうという雰囲気がある上に、今の日本人選手でウィンガーとしてのプレーの質が高いのは乾貴士ぐらいしかいない。

世界基準のウィンガーの選手は中々日本から出てこない中で、乾貴士にはスペイン基準の能力がある。サイドから攻撃を仕掛けるというウィンガーの基本的な役割をちゃんとわかっている選手は今のところ乾貴士が日本人最高峰と言っても過言ではない。

 

そして右サイドは「本田早く来てくれ!」と再三思ったほどに迫力とアイデアが足りない。久保裕也も何がしたいのかよくわからないプレーが多く、右サイドは特に人材が不足している。久保のクオリティ自体を批判するつもりはないがこのサッカーには合わないということが判明した。

 

このサッカーをするなら最適解は「左:乾貴士 中央:大迫勇也 右:本田圭佑」のスリートップだと自分は思う、ただ岡崎慎司の得点力も捨てがたい。

見た目の動きの雰囲気だけで本田圭佑が遅いと判断されることは多いが右サイドでのプレーは決して悪くはない、更に酒井宏樹のポテンシャルを最大限に発揮させる効果もある。酒井のためにも本田は必要だ。

むしろ酒井宏樹がこのチームの主役になっていくべきであり、右サイドのアイデアや攻撃力不足を補うキーマンでもある。

 

左サイドにおいてはシンプルに乾貴士を使うプレーが増えれば中央のスペースがもっと開いてくるため中盤も生きるようになる。大迫勇也との相性もかなり良いためやはり乾貴士をより長い時間で見たい。

今の日本代表はとにかくサイドの攻撃力が大きく欠如していて、対戦相手からすればサイドが脅威ではないということは非常に対策として楽な状態になっている。

 

中盤に関しては長谷部誠が不在だった割には機能していて、特に長澤和輝はサプライズと言えるほどクオリティが高かった。

ハリルホジッチがアルジェリア代表監督時代に主力メンバーを外してリヤド・マフレズを見つけたエピソードに長澤の発見は重なる。

 

山口蛍は見る人によって非常に意見が分かれるタイプの選手だ。

日本の戦力を考えれば本戦で綺麗なサッカーはできないし楽しさを求めてもザックジャパン時代の過ちを繰り返す結果にしかならない。

正直今更パスや攻撃面に関して注文を付けても仕方が無く、守備面で効いていれば文句はない。やることはやってるしそれ以外のことができないのは分かり切っているので中盤で組む選手との相性次第で評価は変わる。

山口蛍は「それだけやってくれればOK」という見方をすれば決して悪い選手ではないし、それ以外期待せず開き直って見れば悪くはない。

 

選手個人の質と見るか、中盤をユニットとしてみるかで見方が大きく異なる。

そういうタイプの選手だから今更攻撃面のクオリティを求めても仕方が無く、その辺は割り切って他の選手にどう補ってもらうかを考える方が現実的だろう。

満足はいかないが必要なパーツ、そんな印象を受けた。

ベンゼマがクリスティアーノ・ロナウドの強化パーツならば、長谷部誠の強化パーツが山口蛍だ。

 

とにかくこのサッカーはウィングが覚醒すれば大きく変わる。

中盤と守備は十分な可能性を持っていて実際対戦相手のブラジル代表からはリップサービスは当然ある物の一定の評価は得ている。

チームの基礎部分は順調に完成しつつあるため親善試合の結果に一喜一憂して悲観しすぎることは無いんじゃないかなとは思う。

 

全く光が見えないということは無く、乾貴士がもっと早い段階から起用されるか本田圭佑が復帰するかで評価は見違えるように変わる。

両サイドを少し修正すればそれなりにいいチームになりそうではある、ここが最後の鍵となる場所だという印象を受けた。

ポジティブに捉えればまだサイドには可能性や伸びしろがある。基礎はもう揃っていて後はアタッカーをどう組み合わせるかの問題だ。

左サイドのデュエル要員として原口元気を起用し続けるのであれば右サイドにもう1段階攻撃力が求められる、果たしてハリルホジッチはこれからも原口元気や浅野拓磨に拘り続けるのだろうか。

 

この二連戦、最大の課題が見つかったとするならば両サイドの問題に尽きる。

このチームが抱える問題は明確になった、守備陣と中盤はそこまで悪くはない物のあともう一つ両翼の攻撃力や得点力が必要ということが分かった二連戦だった自分は感じた。

サッカーは点が取れなければ勝つことはできないというシンプルな事実を改めて突き付けられている。