elken’s blog

ジャニーズとサッカーを中心にあらゆることを評論するブログ

推しの王子様、惜しの王子様になってしまう

毎週木曜夜やっている比嘉愛未主演ドラマなのだが、今夏のドラマが好調な中、視聴率が回復せずついには打ち切りかという記事まで出ている。

 

自分は毎週楽しみにしていてこれまで全て見ているのだが、実に惜しい作品になっているように思う。

 

乙女ゲームや制作会社舞台で,オタ活や推し活を題材にしているので今どきの内容で好きな人は凄く好きな刺さる作風だ。

 

ただ、推しの王子様、つくづく深田恭子ありきのドラマだったなという感は否めないしそういう意見も多いようだ。

個人的には比嘉愛未の演技はすごくはまっていて好きなのだけれども、なんというか逆にリアルすぎると言われればそうだ。役にハマりすぎていてあまりにも違和感がなさすぎるゆえにファンタジー感がやや欠ける結果になっているわけだ。

 

良くも悪くも比嘉愛未と高田社長は年相応で現実にマジでいそうな感じがある。

普通のドラマだとそれでいいのだが、推しの王子様は深キョンの浮世離れした年齢不相応さが乙女ゲームっぽくて視聴者も自己投影しやすかったのではないかと推測する。

 

乙女ゲームは、主人公の自分のアバターを着飾るために課金するタイプもあるらしくユーザーはゲームの世界で美人になった自分がイケメンに取り合いされるところを楽しんでいる。

比嘉さん、間違いなくお美しいのだが、前述のように年齢が見た目と合っててリアルなのよ。いい年のとり方だと思うし、同世代の一般女性より圧倒的に若く見えることは間違いない。

 

ただ、どうしてもおばさんが若い子と恋愛しちゃって、乙女ゲームしてる感があって、現実を感じてしまうのではないか。個人的には比嘉派なのだが、この映像、やっぱ深キョン前提で脚本書かれてたっぽいなと見ていて思った。

 

ほんとあらゆる点で『彼女はキレイだった』と内容が対になっていて、最新話ですれ違いに気づいて夜の道路で探し合うシーンがそっくり過ぎてびっくりした。

これきっと深キョン知名度や人気で、かのきれと両方盛り上がるつもりのスケジュール(しかもどちらもTverで配信している)だったぐらいに、類似点が意図的かと思うぐらい多い。

 

ただSNS感想調べてもそれほど盛り上がってないし、録画を一気見したという人も多くリアタイ感では圧倒的にかのきれに後塵を拝している。

主演俳優の知名度が無いのも、これは深田恭子ディーン・フジオカで補う前提だったからだろう。内容的にもイケメンで見た目だけは理想のキャラにそっくりな残念男子が中身もかっこよくなっていくという話なので、それほど知名度のない俳優の方が適してはいる。

 

とはいえ、かのきれは華やかな中島健人だし、ずっとSNS使いたがってただけあって盛り上げも上手い。小芝風花ら共演者も楽しそうに番組公式アカウント等で投稿していて時代にあっている。番宣などで特にケンティー小芝風花にイジられまくりなのも微笑ましい。

 

深田恭子の代役で急遽決まって、期待以上にこなしている比嘉愛未、この境遇ほんとに不憫すぎてむしろよくやったと讃えられるべきだし最初から見ている人は絶対気にいるはず。

 

女性社長として奮闘する姿はむしろ比嘉愛未の方が似合っているぐらいだ。

提出した案を作り直さないといけないとか、まさにこの代役とシチュエーションが似ている。もしかしたらそういう反映もあったのではないか、そういう意味では比嘉版は間違いなく素晴しいオリジナル

 

ただ、ただどうしても華がない。ここが惜しい。だってそりゃ深キョン前提だもん、仕方ないよなぁ笑

乙女ゲーム的な非現実世界要素でいえば、比嘉愛未はどちらかというとリアルで味のある女優だ。

深キョンはもっと浮世離れしたゴージャスなキャラクターなので、「世間的に大成功を収めているカリスマ女社長」で、実はその裏ではイケてないところもあるみたいな感じを狙っていたように思う。

 

そしてディーンフジオカとの三角関係で映像美が華やかになるはずだった。

 

何度も繰り返すが、比嘉愛未の場合だとリアルすぎて年相応に見える。決して比嘉愛未が老けて見えると言いたいわけではない。本来、輝く女性社長はこれくらいの程良さがあっているのだが、推しの王子様は乙女ゲーム的世界観が重要で深キョンだからこそ、おばさんが乙女ゲームしてる感を消せたように思う。

 

彼女はキレイだったがキラキラな映像美なだけに、ちょっと地味に見えてしまい、これは深田恭子じゃないとどうしても見劣りしてしまう。最初から比嘉愛未だったとしたらそういった意見も無かっただろうし準備期間も長く取れてよりよく仕上がっていただろう。

 

深キョンブランドありきの設定やスケジュールだったミスマッチなので、ほんと比嘉愛未悪くないだけに落ち込んでいないでほしいなぁと。

自分は好きな女優になったし、ガチで上手くはまってることは間違いない。インスタライブでの映像も見たし共演者のインタビューを読んでも本当に人柄よくて雰囲気もいいと伝わってくる。

 

内容は本当にいいし自分は最後まで見るつもりだ。一話完結型ではなく毎回見たくなる内容に挑戦しているのもいい。BLキャラでてきたり、オタあるある多かったり、かのきれ並のすれ違いがハラハラする。無難な題材や視聴者層に媚びてないのも良くて人を選ぶけど好きな人は凄く好き。

それだけに"惜しの王子様"だ。

 

そもそも今は監督もやっている山田孝之が「日本の映像制作は役者やスタッフの負担が多すぎる。人件費削るためにスケジュールを限界までやっている。自分は監督として睡眠時間の確保は絶対条件にしているし、海外はまず採算のとり方が異なる」と言っていたように、深キョンクラスでも休養に追い込まれるほどブラックな事がおかしい。

 

テレビは基本買い手市場なので、これはもう労働基準法とかそういう法で規制しなければならない問題ですらあるだろう。

売れっ子の深田恭子クラスまでこの労働は異常だ。ただでさえ三浦春馬の件があったのに、次は深キョンだ。

アニメーターとかもようやく給与体系が改善されてきているけど、手塚治虫の頃からこういうクリエーター職というのはブラックで当たり前という風潮が蔓延ってきた。好きで作っているものだからというわけだ。

 

これに関しては最近、BTSメンバーのシュガが韓国の音楽番組に出演しないことについて問われて、似たようなことを語っていたので韓国でも同類のようだ。

労働として正当にアイドルのパフォーマンスに対価が払われていない、と苦言を呈していた。

 

業界全体で保護していく仕組みにならないと結局、次は自分に損が回ってくるからだ。

他所で酷使するから、自分のところで起用したときにパフォーマンスを発揮してもらえないことで損害が発生する。

 

今回の推しの王子様はまさにその典型で、推しの王子様制作陣は悪くないどころか被害者でさえあるのだが、本来深キョンで撮影していればもっと視聴率取れていた可能性は高く、打ち切りの危機にもならなかったかもしれない。

全て深キョンの予定でセットから何まで作っていたのに急遽、休養となってキャンセルというわけで予定が全て崩れた形だ。

 

こういうのってスケジュール管理をしっかりしていないタレントの所属事務所に請求とかできないものなのだろうか、そういう構造にならないと改善されないだろう。

 

甲子園の投球制限みたいに芸能人の活動もある程度規制が必要なのではと考える。海外サッカーでも度々試合が多すぎると有名選手から意見が出ているが、芸能界はアスリート界程休養に関する議論が行われていない。

 

大切な売れっ子を長期的に大切にしようという発想が芸能事務所は一般のホワイト企業と異なる世界なのかもしれない。芸能界は良くも悪くも体育会系や縦社会、昭和文化の典型だ。

売れっ子でそうなのだから売出し中タレントはお察しだろう。早稲田卒業に8年かかった土屋太鳳が数年、睡眠時間3時間と語っていたがどうやら誇張でもなさそうだ。

 

日本の職場自体、電話やFAXを未だに使っているのはおかしいと言われているが、よく見たらオフィスもので普通に電話のシーンがあって日本人は誰も違和感なく見ているという。日本で働くイギリス人が、イギリスではもう使っていないと驚いていた。芸能界は特にそういうアナログや根性な価値観が強いように見える。

 

昔、日本企業と取引していた中国企業はその時儲かればいいと騙して納品しなかったり不良品だろうと質の悪いものを納品したりとめちゃくちゃだったのだが、信頼関係築いてちゃんとやったほうが次回も仕事もらえて長期的に儲かると気づいてちゃんとするようになっていった。

そして日本企業は技術者軽視で、アジアの企業に引き抜かれて落ちぶれていった。

 

日本の芸能事務所もタレント大事にしたほうが長期的に儲かる、と気づいてほしいものだ。結局損が巡ってくるわけだ。

共同で大切にするという発想が求められているのではないだろうか。日本中にある離職率が高くて、求人出しても人が来ないと言っているブラック労働と本質的には同じだ。そして若者はユーチューブみて、テレビを見てくれないと言っているわけだ。

依然としてドラマは面白いし、一人ひとりの演者は素晴らしい。それは山田孝之も「ハリウッドでやっているようなハードなことをできる日本の役者はいくらでもいる、それほど凄い」と語っていた。

 

東京五輪アメリカのメダル候補の選手が途中で棄権して「選手のメンタルケアが大事」という一幕があったけれども、芸能人のメンタルケアも社会全体で考えていくべきだろう。他の事務所であっても同様のように、他の職種も同様、巡ってきて自分や身内の問題にもなる。深田恭子みたいに人気で親しまれている女優が療養というのはショックなことだ。

元気そうに見える人がそうなるのだから誰しも無縁ではない。アイドルも休養多くて、ファンも寂しくて困ることになる。

 

スポーツではライバル選手が怪我したらチャンスであるように、弱肉強食の世界では甘いこと言ってられず、どんな状況でも結果出した人間や勝ち残った人間が偉いのも当たり前の事実ではある。芸能界もそういうところはあるだろう。

 

ただその考え方だけに頼るのも巡ってきて色んな人の損が大きくなるので限界もあるし、だからこそ人類は労働環境や条件について年々工夫をしてきた。弱肉強食だけを正当化すれば産業革命の頃のような労働が当たり前になり、それではいけないよね、ブラック労働正当化すれば困るよねと気づいて改善されていった。

世の中の自浄作用が求められているというか、そのプロセスに終わりはない。

 

ドラマの感想とはズレてしまったがこうして考えると改めて深田恭子療養問題って結構大きな事態というか、軽んじてはいけない根深い社会問題であるように思う。ドラマやアニメ、映画が素晴らしいからこそそういう事情についても考えないといけない、それは美味しい食べ物やお気に入りの製品がどうやって作られているか考えないといけないことと同じだ。

 

自分の好きな、それこそ"推し"の芸能人が療養で休養したら可哀想で辛いのは誰もが同じだ。世の中がそうやって大切な人に無理をさせないように求める構図になっていってほしい、そうならないと守れない命もある。

コンプライアンスやポリコレというけど、厳しく言わないといけないのはこういう労働問題の同じだ、同じかそれ以上に重要

 

例えばかのかれで中島健人に触れたけど、見る機会が多いのは嬉しいけど自分はケンティーに病んで休業して欲しくないと思っている。既にグループ内から2人休養者が出ているからこそ強く思うわけだ。プロ意識高すぎて自分がやらないと、という状態になっていないか危ういときもある。天職だと言う人ほど責任感じて思い詰めやすいのではないかと深キョンを見ても思う。

 

スケジュールを押した結果、スケジュール自体が破綻しドラマも当初の予定では無くなってしまう。推しの王子様は本来もっと取れたほどのクオリティだ。テレビは視聴率0.1%の差が大きな金額にもなり、だからこそプレッシャーがある。

その後のグッズ売り上げや将来的な配信での販売なども左右されるだろう。

 

こうして誰も得しない展開になることもあるので、長期的目線で所属タレントという社員や従業員を大事にしてほしいし、これはあらゆる職場や部活でも同じことだと気づく人が増えれば良い世の中になるだろうになと思う。