最近食前酒という概念を覚えた。
晩酌を始める前に度数の高い酒を飲み、胃を広げる、食欲を増強させてからディナーを始めるという欧州ではありふれたスタイルである。
日本でも立ち飲み屋でまずはサクッと出来上がらせてから本格的な飲み屋を探したり、街バーで一杯まず飲んでから夜の街に繰り出したりするという習慣や文化がある。
何だったら酒自販機やコンビニで缶酎ハイやビールでも買って、それを歩きながら飲んで目的地にまで行くというアル中スタイルもコロナ前はありだった。
そういう時代でもないので、自分はここにまずつまみを自分で作るというプロセスを導入し始めた。
なんか、料理とかしちゃってますよ自分。昔はスナック菓子で飲むか紙皿に冷凍食品出すかというズボラなスタイルだったが包丁と皿や器揃えるとこれが楽しい。
買い出しの含めて、ちょうど前日の二日酔いを飛ばす時間稼ぎにもなる。
そしてその後食前酒の登場だ。これはもうチーズでも一口サイズの柿ピーでも、チョコレートでも、ソーセージでも何でもいい。悪酔い対策であれば生卵一気飲みをキメてからだとかなり持つし二日酔いもしにくい。サクッと準備できるそれ食べてながら、高い度数の酒をショットグラスで一気飲みでもちびちびでもとにかく入れてあとは冷水で流し込む。
遠出の場合ドライブの前に給油するでしょ、という話だ笑
酔うためだけの酒を準備してキッチンドリンカースタイルとして煩わしい台所作業をするというのももちろんあり。
いずれにせよ、いいツマミや飯をいきなり晩酌に使うと最初は酔ってない状態なので結構もったいないことがある。
いいものは単に空腹満たしたり酔うまでに召喚するのはもったいない。
ほろ酔いしめてから良い品を食べるのが一番うまい。
もちろんコンディションが良ければ絶品のものや好物を用意して、さあ飲み始めようというのもありだ。
ただ日によってはスイッチがはいらず、せっかくの品をただ上手くキマらず酔えない状況で浪費していることもある。今日酔えそうにないときは食前酒で整えてからがいい。よくお酒を飲むとご飯が食べられなくなるというが、酒飲みはシラフだと食欲が面倒でわかず酒が入ると食欲が上がるし味覚も冴えるという体質になっている。
気分も上がって食事も楽しくなる。
酒はまずいから食事にはいらない、と思うのはこれ素人の考えであるキリッ
食事だけ純粋にいっぱい食べれば美味しいって時期はもう過ぎてるのよ。ちなみにキメた食前酒はアブサンという玄人気取りのイキリだ。
そして今回自分が作ったつまみ、というかもはや夕飯が「白子ポン酢」だ。
実はこれ作るの2回目である。初回で得た経験から、いらない工程を削除、より簡単に作れるものに改善した。低コスパで誰でも作れる割に抜群に酒飲みの舌に合うのでおすすめだ。
1.鱈の白子(300円〜400円ほど。200円台であれば2パックでもいい)を買ってくる
鮭の白子はおすすめしない。一応同じポン酢和えがあるけども鱈のほうが美味い。
2.白子を洗う
そしてまな板に乗せ紐のような筋を切る。これを切らないと大きな塊で噛みちぎるのも面倒。酒のツマミとして濃厚な味なのでわりと小さめでいい。
3.鍋に水を多めに入れ白子を投入。まず先にこちらだけで茹で始め沸騰させ浮かんできたアクを取る
ネギと茹でるとそれが混じって来るからだ。わりと強く茹でて問題ないし、塩やポン酢を入れる必要もなくただの真水でいい。入れても問題はないが、白子の味は素材そのものが濃厚なので必須ではない。
4.スーパーで売っている100円くらいの青ねぎをみじん切りにして、同じく鍋に投入
青ねぎが理想だが長ネギでも構わない。一度に使い切らない場合まな板が白子で汚れるので先にねぎを切っておく工夫をしておくもいい。例えば2本入りで1本だけ取り出して使い切るとかであれば順序は特にこの限りではない。
5.適当な器にポン酢を多めに入れておく
6.ボウルに氷水を入れておき、おたまや網目の調理器具、ざる等ですくって白子とネギも入れるて冷やす
7.可能な限り水分を取った状態で5にセット
8.冷蔵庫やパーシャルに入れて、適当に何かしながら最低10分ぐらい待つ。完成!
2度の調理でわかったこと
・茹で上がった白子の水分をキッチンペーパー吸い取らなくても問題はない。1度目やったがやってもやらなくても結果は同じで無駄。
ポン酢は味付けが濃いので、おたまですくったときの僅かな水分程度であれば邪魔にならないどころか味を薄めてくれる。キッチンペーパーで押しつぶされる可能性もあるし、単純にかなり面倒だしもったいない。
・塩やポン酢のような味付けとともに茹でずともいい。冷めてからポン酢につけるだけで味が染みる。
白子とポン酢の皿を分けるのも無駄。最初から一緒に浸して冷蔵庫に寝かせる時間が大事
刺身のようにちょくちょく付ける食べ方は合わない。最初から合わせておく。わさび醤油も合わない、ポン酢一択
どうしても他の味を試したい場合2,3キレぐらい他の小皿に茹で終わってすぐ取っておけばいい。
例えばこの一回目の時のように純粋に茹でた状態にしてから後付でポン酢につけるとやや味が物足りない。
当然一気にバク食いで食べ終わるわけではないのでゆっくりちびちびと飲みながら食べている内に、より染みていく。
・使い捨てプラスチックコップなどに水を入れて大きめの氷を冷凍庫で作っておけば役に立つ。これはタンブラーに入れれば普通に酒用の氷としても使える。本日はレモンサワーに使った
・キッチン作業はあれを先にしておけばよかった、これは後で良かったという混乱の連続なので酒で麻痺した頭のリハビリになる。まさに容量の良さを日常でトレーニングして鍛えられる
・そんなバクバク食べるものでもないので、これ一品で足りるレベル。部位も部位なので栄養もエグい。ちなみに余った場合一夜置いておくとかなり染み込んでいる。既に茹でられているので刺身のような劣化の心配がない。
・ネギを使わなければもっと早く作れるしそれでも美味しいが、ネギがないと寂しい。他に料理をするのであれば、予めみじん切りにしてタッパーなどに入れておき、流用すると量も調整できて楽。地味にネギを取るプロセスがめんどい。
・いきなり繋がったパックの状態で白子を全て茹でて、その状態で冷やした後まな板に置いて筋を切るというパターンでもいい。生だと気持ち悪い感触だし匂いもつくのでその順番でもあり。ちなみに茹でる時間は長くてもよく、風味が落ちることはない。
・先に器にポン酢を入れておくと多めに入れてわりと余る。冷めた白子とネギを入れてからちょうど浸し切る感じでポン酢を入れたほうが無駄は少ない
あとがき
この調理法はあくまで面倒がり屋の自分が最低限のコスパと労力によって自宅で白子メニューを再現しようとしたものである。ちゃんとした調理法はネットでも書籍でも公開・解説されているし、個々人のアレンジでより素晴らしい酒のアテとなるだろう。ただ、白子という食材値段の割に美味いのでわりと適当法でもなんとかなるのでおすすめである。
自分は居酒屋に行ったとき白子があればまず頼む。何より白子にハマったのも居酒屋がきっかけだからだ。
最初に食べたのは実は最近のこと。
その当時、役所関連に用事があったあと夕方に立ち寄ったイタリア風の個人居酒屋で偶然出会ったことがきっかけだ。
ワインをメインに洋風のおつまみメニューを推しているおしゃれで薄暗い感じのお店だ。チェーン店のようにガヤガヤしておらず、人ひとり通れるぐらいのカウンター、そして2つほどのテーブル席
カウンターに座る自分のすぐ後ろの棚には酒がずらりと並んでおり、そこから焼酎なども自分で選びオーダーできるこじんまりとしたいい店だった。
そこで「生白子」というものに出会う。
これが今まで食べた居酒屋メニューでベスト3に入る抜群の味だった。基本白子は生は危ないのだが、専属の漁師との個人契約で新鮮なものを取り寄せておりイタリア風の味付けだった。
今住んでいるところと遠くなってしまったしコロナ前のことなのでどうなっているかはわからないが、もう一度味わいに行きたい。それほどの絶品だった。
その他の、例えば海鮮居酒屋などで頼んでもやはり美味い。
ただ居酒屋にあるプリプリの新鮮な白子なんて普通のスーパーにはなくて、こういうのって鍋料理にでもちょっとおまけで使うようなものでしかないとある意味自分から遠ざけていた。
湯でてしまったら固くてパサパサぶよぶよしてる感触にしかならず味も良くないだろうなと想像していた。
ところがところが、勇気を出してちょっと面倒でもやってみると湯でても柔らかいしクリーミーで濃厚、あとポン酢最強という結果が判明した。
問題はあまり売っていないことだが冬が近づいてきたのでもっと増えるかもしれない。今日はいつも売っていない行きつけのスーパーにあった。鍋料理の具材というイメージだけど単品おつまみで十分美味いレベル、これは。
ちょっと調理は面倒で手を出しづらい珍味的食材だが意外と簡単だし呑兵衛には間違いない!
これぞニッポンの素晴らしき酒文化ってもんよ。おまいらもいい酒ライフを楽しむように☺️🍶