「オランダ語」と言われてパッっとどんな音感かイメージが湧く人はいるだろうか。ドイツ語やフランス語、スペイン語なら何かしら聞き覚えがあるがオランダ語となるといまいちイメージがわかない。
サッカー界でもオランダ人選手は多いが聞き覚えがほとんどない。
なぜなら彼らはインタビューにほとんど英語で流暢に答えるからだ。
国際舞台で活躍するオランダ人の殆どが英語を当たり前に話すことができるため、海外メディアからの情報でオランダ語に触れる機会はほとんどない。
個人的にもウェズレイ・スナイデルがオランダ語で話しているのを少し聞いたことがあるくらいで、アリエン・ロッベンのインタビューは完全に流暢な英語で本当に聞き取りやすかったことを覚えている。
そしてそのオランダの言語事情について詳しいのがエールディヴィジ(サッカーオランダリーグ)でのプレー経験がある本田圭佑だ。
本田圭佑はVVVフェンロ時代に個人レッスンとして英語を学習しており、将来のステップアップを見据えてオランダ語ではなく英語を選んだと語っている。
実質的な準英語圏とも言っても過言ではないオランダでは英語だけでも十分であり、オランダの国際競争力はその英語力が支えてもいる。
1人当たりのGDPでは日本よりも遥かに上位の国でありオランダの力は個人の英語力が支えている背景がある。
オランダ人がほぼ全員英語が話せるのは学校での授業以上にTVの英語字幕が何よりも勉強になってるとのこと。
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) 2017年10月10日
日本も学校の授業ではなく、そういった日常に英語の勉強となる機会を設けてはどうか?
意外と無意識に英語への抵抗感がなくなると思う。
そんなオランダ人がなぜ英語が上手いのかと言えば本田圭佑曰く日常のテレビ番組で英語字幕が普及しているかららしい。学校の英語教育よりも日常として触れることの重要性を説いている。
翻って日本の番組を見れば英語も英語字幕も見る機会がほとんどない。
日本のテレビ番組や動画はほぼ日本人向けに作られているため、外国人を意識した英語字幕がほとんど見当たらない。
特にテレビともなると英語音声に対して日本語の字幕はあったとしても、「英語の字幕」となるとほぼ存在しない。オランダの場合はオランダ語が分からない人のために英語字幕も日常のTV番組につけられていて、それがむしろオランダ人が英語を学ぶ手段にもなっているようだ。
youtubeなどを見るとたまに日本のアニメやテレビ番組に外国人向けの英語字幕がつけられている物を見かけないだろうか。またユーチューバーでも外国人向けに英語字幕をつけている日本人投稿者がおり高い再生数を誇っていることもある。
英語字幕をつけたら再生数が一気に増えたという話も良く聞く。
いわゆる「English sub」「eng sub」的な言葉がつけられている動画だ。
日本語で聞いて、同時に下の英語字幕を見て「日本語のこのセリフやフレーズは英語でこういうのか」と比較して学ぶ機会はもっと日常で増えても良いのかもしれない。
ただこれはいきなり始めようとしてもかなり早くてついていけないため、やはり子供のころからオランダ人のように日常のテレビ番組で慣れていく必要はある。
その一方でこれからテレビではなく動画の時代になっていく中でユーチューブのような動画サイトを使うという手段は有効になる。youtubeほど外国語学習において宝の山のような場所は無いほどに充実している。
例えば日本人ユーチューバーを見るのではなく、外国人ユーチューバーの動画を見ると本当にリアルな英語学ぶことができる。
日本人は外国人に比べて自国の動画やコンテンツが充実しているがゆえに、アルファベットで調べるという習慣が無かったり外国語の物は初めから無理だと諦めている傾向があるのかもしれない。
だけれども英語や外国語で調べると本当に面白い物が数多くあるため一度英語やアルファベットで調べる習慣を身につければ、英語教材などいらないというぐらいにyoutubeですべてが揃う。
youtubeで日本語でしか調べなかったり日本の動画しか見ないのは本当にもったいないといほど外国語のコンテンツが充実つしている。
特に面白いのが外国人の旅レポート動画だ。
日本人旅行者がいないようなマイナーな国の動画なども外国人では行ってレポートしている人がいるので良い教材になると同時に旅感覚も味わえる。ドキュメント番組も海外は豊富で自分の好きなジャンルだけでも無数に存在するのでオススメである上に、聞きやすいため入門にはうってつけだ。
日本語字幕なしでも何度も見ていればある程度耳が慣れてくるように人間脳言語能力というのはできている。映像から音声の内容を推察することも良い勉強になる。
またサッカーファンにおすすめの方法がサッカーの試合を副音声の国際実況で観戦するという方法だ。こちらは実況という事もあって非常に早くリスニング能力がかなり鍛えられる。サッカーを見ながら英語を90分も聴いていれば教材向けに作られたテンプレ的な音声よりもよほど勉強になる。
プレミアリーグは特に英語実況のクオリティが高く、むしろ本場の英語を聞きながら試合を見たほうが臨場感がある。
また褒められた方法ではないけども、クラブや代表の名前に加えて「full match」とyoutubeで調べればかなり昔の試合や日本では見ることの難しい試合も含めて90分で観戦することができるためサッカーファンにはおすすめの方法だと言える。
フルマッチ映像が駄目なら厳密にはプレー集やタッチ集も駄目な上に、最近では協会自らアップロードしているところもある。たとえばAFCはアジア予選の試合を90分でたまにアップしていることがある。
将来的に海外に挑戦したいという人にとってもサッカーと英語を同時に勉強できる効率が良い手法になるかもしれない。
子供がサッカーの試合を見るついでに英語も自然に勉強しているという使い方もできる。サッカーが好きな子供に変にリスニング教材を無理に聞かせるよりも、副音声に切り替えて国際音声で流す方が何倍も効果があってリアルな英語が学べるのではないだろうか。
中にはスペイン語やフランス語の実況もあり、サッカー実況特有のスピードで見ることでリスニング力が非常に鍛えられるというのは英語に限らず共通している。
サッカーの国際実況の良いところはリスニング音声を完全に把握しなくとも試合内容は音声関係なしにわかるため、わからない音声を何十分も聴き続ける苦労はあまりないと言う側面にある。
わからない外国語の映画を見続けることは特に苦行だ。
サッカーが好きならばサッカーの映像で十分楽しめるため、リスニングがすぐに聞き取れなくとも自然と脳が覚えている。
こういた「何かのついでに外国語を勉強する精神」のようなものがまさに本田圭佑のいいたいことでもあり、オランダ人は実際にそうして英語を日常の中で学んでいる。
勉強だと思って勉強すると身につかない以前に続かない、それが外国語学習であるよう思う。
日本人は「外国語学習」というものを何か意識の高い高尚なものとして考えすぎてきた傾向があるため無意識のうちに苦手意識があるのではないだろうか。そして自分自身その一人でもある。
本田圭佑の英語が「ホングリッシュ」と最初は言われていてネタにされていたけども、今では通訳なしで国際的な企画にも参加しているように20歳過ぎてからでも十分英語は上手くなる。
モチベーションや習慣が全てだと言っても過言ではない、それが外国語学習だと本田圭佑を見ていると改めて感じさせられた。